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計量所の今と昔 [街並み]

白と煉瓦の可愛いお家。

ANNO 1605

1605年とあるから、あの当時、すでにあったんだ。

あの画家も見たかしら。

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8月中旬にひとり散歩した時のお話には、もうひとつだけ補足があった。

Dam ダム広場から出発して、
最初の目的地のNieuwmarkt ニューマルクト広場に・・・ 

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・・・Waag 計量所を見に行ったのは、すでにお話した通り。 

広場で開かれる市場の品々を公的な場所の秤で量って
信頼できる公正な取引や税の徴収を目的にしていたよう。

現在、地上階はレストラン・カフェになっている。

建物自体は15世紀頃に造られたもので、
元々はSt.Antoniespoort 聖アントニース門という城門だったという。

地上階が計量所だった頃、上の階はギルドハウス(職業別の組合の事務所)として使われ、
その中に、外科医ギルドが入っていたことから解剖劇場があったそうな。

学生や一般への人体の解剖の公開。 

その様子を描いたひとつが、マウリッツハウス美術館所蔵のレンブラントの絵、
"De anatomische les van Dr. Nicolaes Tulp" 1632
『テュルプ博士の解剖学講義』みたい。

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でも、私がここに来たのは、そのの背景に浸るためではなく。
レンブラントの話は、後で知った・・・。)

この角度かな・・・とイメージを重ねる。 

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"De Sint-Antoniuswaag in Amsterdam" 1780-1790頃
『アムステルダムの聖アントニウス計量所』

春にRijksmuseum Amsterdam アムステルダム国立ミュージアムで、
この絵を見たから。

描いたのは、オランダの画家 Isaac Ouwater イサーク・アウワーテル(1748-1793)。 

実物と絵画・・・微妙に、ずれてたかな。 

有名でない画家の絵だけど、面白さがいっぱい詰まってる。 

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中央には、蚤の市なのか、陶磁器絵画が並ぶ。 
今ならミュージアムに展示される貴重な資料になるものだろうね。

女性2人は立ち話に夢中。
そのそばに立つ男性と子供は、長いおしゃべりが終わるのを待ってるのかな。

それとも女性が価格交渉してるのかしら。 
男性が別のも指さして、これも付けてもらって、なんて言ってたりして。

当時の服装、こんなふうだったんだな。 

足元にはゴミが散らばってる。 

右後ろで背中を向けた人たちは、計量所の壁に立てかけられた品である絵画を見ている。

左奥には、計量所前に置かれた麻袋か何かと荷運びの馬が。

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右部分には、あら・・・もしかしてこの人は、壁に向かって用足し? 

写真左部分には、壁に立てかけて置かれた絵画。 蚤の市の品。 

街灯の横には、もうひとつ何かが書かれたような立て札みたいなのがある。 
あんなに高いところにあるの、読めるのかしら。 あ、オランダ人、背が高いか・・・。
背が伸びたのはもっと後世になってから?
近くで読むために、横に木箱が階段のように置かれてるとか。

がいたり、雑草が生えていたり。 もその辺にいるのに、、平気なのかなぁ。 
地面は石畳の部分と煉瓦畳の部分と。

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そして、絵画の左部部には、街並みが。 運河の向こう側に跳ね橋もある。

広場の下を運河が流れているのだ。 計量所の下を通って右側に。

犬の左を歩く2人は、裕福な人たちのよう。 周りの人たちと服が違う。

切妻屋根の建物の上に煙突。 
計量所の上にもあったけど、このV字Y字型になった煙突もデザイン的に面白く。

当時の街の様子、暮らしが見える絵は、とても魅かれる。
何してるんだろう、この人は?と、ひとりひとり、見てしまう。  

どこか絵本に通ずるものがある。

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そんなわけで、実物のある場所を見てみたくて、ここへ来た。 

でも、V字・Y字煙突はもうなかったし、広場に面した建物も少し変わってしまったものもある。

計量所自体も、修復(保全と復元)中。  
この5月から始まったよう。 2014年12月まで続くらしい。 

あと1年以上もかかるんだなぁ。  キレイになった頃に、また来よう。

 

もし、今、画家がこの場所を描いたなら・・・

マルクトのお店の販売や荷降ろしの人、カフェでお茶する人たち、
あちこちに停められた自転車や、自転車に乗って走り去る人、
スマホ片手に道を探す人や、携帯で左右にうろうろ歩きながら話す人、
ベンチに座って寛ぐ観光客・・・

そして、私みたいにデジカメを構えて撮る人なんかもの枠の中に入るんだろうな・・・。

 

※ 写真はSONY。


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コメント 13

TaekoLovesParis

一枚の絵の中から、次々物語を考え出していく面白さ、ですね。
18世紀末の画家が描いた絵と同じ「計量所」がまだ残っているんですね。計量所でチーズを量るって、異国小道Ⅰで読んだような。。
昔って、素朴な暮らしだけど、衛生観念が今と違うんですよね。用足しとかゴミとか、ね。
by TaekoLovesParis (2013-10-05 01:09) 

匁

これは面白いですね!
計量所の今と昔ですか?!
これは匁にとっては貴重な資料になります。
ありがとう。


by (2013-10-05 07:52) 

KittyKai

絵画と比べてみると面白いですね~。
ずっと昔の絵なのに、建物もあまり変わっていないというのはなんだか素晴らしいな。
ヨーロッパへは行ったことがないのですが、きっと歩いているだけで絵画を鑑賞しているような気分になれそうです。
by KittyKai (2013-10-05 10:52) 

めぎ

ああ、ここ、通ったなあ・・・と思い出しました。あの頃はまだ夏だったなあ。
今、この画家がその様子を見たら・・・見慣れない東洋人が歩いてる!ときっと絵の中に描いてくれたんじゃないかな♪
いや、画家の多くは写真家になっているかも知れませんね。
by めぎ (2013-10-06 04:06) 

母ちゃん

昔からかわらず建っているって、不思議な感じがしますね~。可愛らしい町並みを歩いていると、色々考えられて楽しいでしょうね(^^)
by 母ちゃん (2013-10-06 06:11) 

hatsu

今と昔、こうやってみると面白いですねー。
時代を超えて生き続けている街や建物、すごいなぁ^^
by hatsu (2013-10-06 09:08) 

ナツパパ

すごい!!
建物や街の様子がここまで残ってるなんて、素晴らしいです。
by ナツパパ (2013-10-06 10:53) 

krause

この辺り、時々歩いていました。
by krause (2013-10-06 11:52) 

miffy

Y字とV字の煙突残っていたら面白いのにね~
塔も角があったのが丸くなっちゃてるんですね。
跳ね橋は今も絵の通りなのかな~
絵の中に残る景色が今も変わらずあるのって素敵ですね。
by miffy (2013-10-06 21:55) 

カエル

絵画の中に自分がいるなんて考えただけでも
わくわくしちゃうわ!
何が面白いかって、そこまでじっくりと風景画を見たことがなかったので、
Inatimyさんのおかげで楽しみ方を教えてもらった気がするわ。

背の高い案内は、きっと馬車に乗った状態でわかる高さなんじゃないかな~?と思ったりして?
その頃のオランダ人は猛烈に背が高かったなら別だけど、ちょっと高すぎるよね?

by カエル (2013-10-07 11:52) 

luces

生活感があふれている楽しい絵ですね。

by luces (2013-10-07 19:04) 

moz

絵画とおんなじ景色が見られるって、とっても貴重ですね。
日本だと広重の53次の景色みたいな感じですね。 ^^
オランダ絵画やはりいいなぁ~。オランダの光と空の感じはやっぱり独特ですね。
壁に向かって・・・用足しはダメダメです 笑
by moz (2013-10-09 20:10) 

Inatimy

→皆さま 
『計量所の今と昔』のお話に、nice! & コメントありがとうございます。 寒い雨の金曜日、最高気温が11℃。 ・・・室内でフリース着て、暖房つけてます。 

→TaekoLovesParisさま 
スゴイ、よく覚えてくださってますね~、そうなんです、計量所でチーズやバターなど量ってたんですよ、昔。 夏の期間だとオランダのいくつかの街でチーズ市が開催されていて、計量所のある広場でチーズの取引の様子が見られます♪ 絵画から見る昔の人々の暮らしと衛生観念、興味深いですよね。 どうしてこんなにゴミが、って。 室内の絵画でも床に紙が落ちてたり、 

→匁さま 
計量所で使ってた量りなどもあればもっと良かったんですが、今回は場所だけで。 またどこかの街で計量所見かけたら撮ってきますね♪

→KittyKaiさま 
欧州の街には築数100年の建物はざらにあるし、建物の中は改装されて変わっても外観はそのままだったり。 え、ここにピザ屋さん?なんていうのもあるし。 パリには今と昔を比べた写真集もあったし興味深いです♪ 建物大好きなので、散歩しててもなかなか前に進めないですけど・・・。 時間があったら、この計量所のカフェでお茶でもしたかったな~。 

→めぎさま 
そうだ、すれ違いだったんですよね、一日違いで。 この翌日にめぎさんが。 あの頃は確かに暑かったですよねぇ。 観光客の多くがカメラを持ち歩く今、旅の記念にと撮った写真に、妙な姿勢でカメラを構えた私が写り込んで、どこかの国で笑われてるんだろうな~・・・なんてたまに思ったりします(笑)。 

→母ちゃんさま 
そうそう、妙な感じありますよね。 京都の街中を歩いてて、ふと、通り抜けしようと御所の敷地に入った時、昔からあるんだなぁ・・・と不思議な感じが。 歴史の教科書に出てきた場所だと余計にそうかも♪

→hatsuさま 
この計量所を作った人たちが亡くなっても、その後もずーっと時を経て、今に残ってるのも不思議ですよね。 何百年も。 そして、上手く保存・修復されて、この先何百年もまた生き続けるんだなぁ・・・。 しみじみ。

→ナツパパさま 
昔はもっともっと水辺のままのところや水路や運河があったアムステルダム。 少しずつ埋められて土地が増えてきて微妙に街の様子は変わって来てるんでしょうけれど、それでも同じような風景が残ってるのは貴重ですよね。 絵画で知ってる場所があると、ますます引き込まれます♪

→krauseさま 
ふふ、オランダにいらっしゃった時、火山噴火で足止めもあり大変でしたよねぇ・・・。 めぎさんもkrauseさんも歩かれた計量所、奥が深いな~。 

→miffyさま 
微妙に計量所の建物も外観デザインが変わってますよね。 絵画の写真を持ち歩いてたわけでもなく、頭の中にあるイメージ頼りで、同じ角度を探すの大変でした。 跳ね橋もなくなってて、通りになってましたよ~。 昔の面影があるだけでも魅力的ですよね。

→カエルさま 
絵画や画家について詳しくないので、自分の興味に任せての絵画鑑賞(笑)。 絵本に共通点を見つけたのは、絵本『ぶーちゃんとおにいちゃん』(作:島田ゆか)というのを持っていて、主人公の犬の兄弟の他に部屋や庭の様子が面白くて。 植物が成長してたり、ウサギが別のことを始めたりとかページを繰るごとに微妙な違いがある絵本。 観察、楽しいの♪ 馬車と立札の関係には納得♪ 今では識字率が高いけど、昔は限られてたかもしれないしねぇ。 ふふ、いくらなんでも立札高過ぎるよね。

→lucesさま 
暮らしの様子たっぷりな絵画で、ひとりひとりの行動が気になるのでした♪ この画家が見てた風景、別の画家が描いたら、また一味違った様子が描かれてたでしょうね~。

→mozさま 
アムステルダムの計量所は、ガイドブックで知っていても実際にはまだちゃんと見に行ったことがなかったので、ミュージアムで絵を観たのと、Kamoさんの散歩の勧めでいい機会を得ました。 近いと、いつでも行けるからとつい後回しになってしまうんですけどねぇ。 広重の東海道五十三次も面白いですよね。 西の起点の京都の三条大橋はよく歩きましたが、まったくガラリと変わってしまっているけれど(笑)。 オランダ絵画、春に再オープンした国立ミュージアムで撮ったのがたくさんあるので、また少しずつ登場させますね~。
by Inatimy (2013-10-11 22:40) 

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