１年前と８年前の秋

この日、何してたっけ。

たまに昔の写真を見返すと、可笑しくなることがある。

同じ頃、同じ日に、同じところに行ったり、同じものを食べてたり。

10月の中旬、といっても、実は1年前のことになるのだけれど。

日々追われてるうちに、ブログに載せそこなった写真があったので、

季節はちょうど秋だし、と、引っ張り出してきた。

昨年のお話の始まり、始まり。

やって来たのは、アムステルダムから車で30分ほどのところ。　

Utrecht  ユトレヒトの近所にあるDe Haar デ・ハール というお城。　写真は城門。

お城は割と新しく、19世紀に作られたもの。

城門手前に架かる煉瓦の橋から見ると、外堀には落ち葉筏。

キレイな紅葉が見たいね、と選んだのがこのお城だったかな。

実際は日本ほど色の変化はないのだけれど。　黄色くなりかけては、風で飛ばされ散る、って感じで。

城門の扉は、赤と白のストライプに黒。　

赤と白が城主 Van Zuylen ファン・ザウレン家のファミリー・カラー。

先に進むと、左側に馬の顔の像がついた煉瓦造のアーチの門が見える。　

そこをくぐると、向こう側には・・・

・・・煉瓦造の壁にぐるりと囲まれた広場 Stalplein スタルプレイン。　

オランダ語で stal スタルとは、厩舎という意味。　スタルプレインは今でいうとガレージ広場かな。

現在は一部がカフェ・レストランになっている。

門を入って右手の奥に、ショップ兼チケット売り場がある。　写真、左の建物。

昔1890年頃は近くに列車の駅もなく、城主は、馬、馬車、車をたくさん所有。

ゆえに、厩舎、馬車の収納庫、またその仕事に従事するスタッフの家が必要となり、

お城の南西に作られた総合ガレージ兼住居が、ここスタルプレインの建物。　

このデ・ハール城へ来るのは2度目。　最初に来たのは、もう8年ほど前。　時期もちょうど同じ頃、秋。

当時はスタルプレインには、まだカフェ・レストランもなく、ガランとしてて使われてなかった。

その時にお城の中はガイドツアーで見たので、今回は庭だけ見学のチケットを買った。

マロニエの並木を歩いて行くと・・・

・・・右手にお城が見えてくる。　お城は右の建物。　左はゲスト用の建物Châtelet シャトレ。

現在、お城の所有はファン・ザウレン家から財団の手に移ったらしい。

左のシャトレだけ、まだファン・ザウレン家所有のよう。

ファン・ザウレン家は、17世紀初に南オランダ（現在のベルギー）に移住した一族。

バラ園には、ほんの少しだけ咲いてるバラが残ってた。

19世紀に建てられたこのお城のベースになったのは、

14世紀の要塞化された農場家屋や居住できる塔などの崩壊した城の残骸。

それを継承したファン・ザウレン家の男爵が再建を決意。

その男爵が結婚した相手が、ロスチャイルド家の裕福な女性だったのもあり、費用も労力も惜しまず。

中央のは井戸なのかな・・・周りに柱があってバラが這うように伸びていた。　ガゼボ風。

1892～1912年にわたる再建に携わったのは、オランダの建築家Pierre Cuypers ピエール・カウパース。

アムステルダムのCentraal Station 中央駅や、Rijksmuseum 国立ミュージアムをも作った人。　

パーゴラの下を歩く。　紅く色づいてるのはヘンリー蔦。

再建を果たした男爵とその夫人は、お城を常の住居とせず、

1年の内の1ヶ月だけベルギーからオランダに来て、デ・ハール城でゲストとともに過ごした。　

それが9月。　その伝統がずっと引き継がれて、以前は9月にはお城も庭園も一般公開されてなかった。

今は所有者が財団に移ったから、違うのかもしれないな。

De Kapel 教会・礼拝堂。

この教会は、19世紀に今のお城が建つ前からあるもの。

昔、この辺りはその教会と16の農場が存在した村だったよう。

お城の大庭園を作るために村が取り壊されることになり、

1kmほど東に作られた新しい村に住人は移動したんだそうな。　で、教会だけがそのままに。

お城の周りを反時計回りに歩いていく。　ゆっくりと庭を散策。　三角に刈られた木が面白い。

その木があるのは、ローマ庭園。　というのは、ローマ時代の競馬場の形をしてるからなんだとか。

緑生い茂る大きな木に隠れてしまってるけど、写真の右端にさっきの教会がある。

その教会の窓。　中には入れなかった。

シンプルなステンドグラスの向こうに、壁の模様がかすかに見えた。

デ・ハール城は、周りを水路に囲まれたお堀のあるお城。　跳ね橋が見えるところが正面入り口。

山や丘の上の高いところに建てられたお城がある一方、

平な大地に建つ城は、守りのために周りを水で囲む必要があったよう。

正面にあった、紋章を持つ像が怪しげ。　グリフォンかな。

歩いて来た道や教会の方を、跳ね橋から見る。

エントランスの前の床に貼られたタイル。　正三角形、正方形、六角形をピザ切りした形でできる模様。

このタイルに、紋章のパーツが含まれてる。　

アルファベットの I みたいな円柱、そして、菱形３つのがそれ。

円柱は van Zuilen家。　菱形は van de Haar家。

元々この地にいたのが、ファン・デ・ハール家で、

結婚してその子孫が、ファン・ザウレン・ファン・デ・ハールと名乗ったよう。

さらにその後、ファン・ザウレン・ファン・ナイェフェルト・ファン・デ・ハールとなったとか・・・長い。

エントランス前から見えた壁の顔。　ひとつは、苔むしたガーゴイル（雨樋）。

開け放たれた正面の扉には、ドラゴン風なドアノック。 扉にも円柱と菱形の装飾。

その横の小扉そばにも顔。　以前来た時は正面の扉が閉められていて、この小扉から中へ入った。

正面の扉の上にステンドグラスも。

お城内部のガイドツアーは、なかなか面白かった記憶が。

お気に入りは、厨房。　ピカピカの銅鍋がずらりと並んだ様子は圧巻だった。　

逆光で薄暗めだけど、お城の正面の様子。

右にチラッと見えてるのは、隣の建物のシャトレとを結ぶ渡り通路。

小さな門を抜けて、450mもの長さのある大きな水路の手前を左に曲がって歩いてくると・・・

・・・再び庭園が見えてくる。　周りをぐるっと一周してきた。

本当は、もっともっと広大な敷地なのだけれど、お城の周りで精一杯。

今回も端から端まで見られなかった・・・。

こうして、黄葉が入り混じる木々のデ・ハール城を後にした。

・・・と、そんな1年前のお話。

ちょうどモンシャウ城の話を書いている時に、お城で

あ、そういえば・・・と思い出したのだった＾＾；。

タグ：自転車

コメント 15

早く世界征服して
お城 全部手に入れたいなぁ〜
やっぱ カッチョイイっすよね〜（＾＾）

by (。・_・。)２ｋ (2015-11-13 21:29) 

赤の使い方が絶妙ですね
日本ではつい沢山色を使ってしまう傾向が・・・
3色まで！って規則作ればいいのにね（笑）
by shino* (2015-11-13 21:53) 

赤と白がファミリーカラー、なかなかにはっきりしてる取り合わせ
シックな色合いではないのね、少しビックリ
庭園を作るために、むらごと移住とか
趣味のスケールが違うわね
by engrid (2015-11-14 00:56) 

厩舎、ドイツ語だとStallとLが2つです。同じようで同じじゃなくて、面白いな♪
お写真、とても丁寧に撮った感じがしますね～
by めぎ (2015-11-14 03:22) 

小さな国土とは思えない、広々とした自然豊かな風景が多いですね~
１年前の写真、ひっぱり出してきて大正解です!
とても素敵な秋のひとときですね＾＾ウットリです
オランダに行ってから、赤色が好きになりました、ホントに赤と白と黒の色使いが印象的ですね・・・♪
by mitu (2015-11-14 06:21) 

この記事の赤と白のストライプ模様を見て、
楳図かずおさんちの「まことちゃんハウス」を思い浮かべたのは
私だけかしら・・・・？＾＾；
城門の扉、赤白ストライプに黒が映えてすてき♪。
真っ赤なベンチもかわいいなぁ＾＾。
by ハリネズミ (2015-11-14 08:55) 

赤いベンチ、可愛いですね～。
赤い色っていいなぁー＾＾
by hatsu (2015-11-14 09:51) 

お城にバラは似合いますね。ピエール・カウパースがお城の再建にも加わったということは、国家的プロジェクトだったのかしら。それともやはり、ロスチャイルド財閥の資金力？財団になっていれば、ずっと、公開されますね。ローマ庭園を前にしたお城の写真、整然として立派で綺麗ですね！スタルプレイン＝ガレージ兼住居の前に自転車が置いてあって、オランダらしいな、って思いました。
by TaekoLovesParis (2015-11-14 10:03) 

お城が素敵～(人´∀｀〃)｡o○
絵本に出てきそう。
by ぴーすけ君 (2015-11-14 11:23) 

白いバラとお城の写真がいいですね。
by テリー (2015-11-14 15:54) 

デ・ハール城の形ってお話の中に出てくるお城って感じですよね。
内部は意外と近代的でちょっとイメージとはずれてたけど・・・
緑の中にある赤いベンチ、可愛いですね。
ベンチに座ってお城とお庭をずっと眺めていたいです。
by miffy (2015-11-14 16:29) 

日本のお城も素晴らしいけれど、
外国のお城って見るもの見るもの楽しそうで ♪
折角行って、折角撮った写真は、
どんどん思い出して載せないとね。忘れてしまわないうちに ＾＾
by MIKUKO. (2015-11-15 18:05) 

細かい装飾や細工に魅入ってしまいました（＠＠）*
赤と白のストライプは・・・・↑私も楳図さんが頭を過ぎりました（笑）
by momo (2015-11-17 08:59) 

写真に興奮し過ぎて・・・
大興奮大興奮、鼻血が出そうです！！！
行ってみたい行ってみたい行ってみたいー！！
壊れ始めたツマ。
by kaname (2015-11-17 18:57) 

→皆さま「1年前と8年前の秋」のお話にnice!やコメントをありがとうございました。今度このお城に行く時は、また秋かしら＾＾；。次行く時は、ガレージ広場のカフェを覗いてみようかな。どんな食べ物があるんだろう♪

→ (。・_・。)２ｋさま
世界征服されてかっこいいお城が手に入ったら、ぜひ教えてくださいね＾＾。馬車に乗ってお祝いに駆けつけたいと思います♪

→shino*さま
赤、白、黒、と渋いですよね、この城門の扉も♪日本のたくさんの色使い、それは一時記憶の際にTVのセット見てても思いました〜。バラエティー番組は特に。オランダのセットが地味すぎるのかしらねぇ＾＾；。予算の関係か・・・。

→engridさま
赤と白、紋章にすると映えますものね〜＾＾。庭園のために村ごと移しちゃうあたり、住人は快諾したのかしら・・・立ち退き料とか・・・とついつい現実的なことも頭に浮かびますよねぇ。

→めぎさま
stal が Stallとは、ドイツ語と似てますね〜。全く違うものもあれば、近いのもあり、面白いです。発音はドイツ語の方が明瞭で、オランダ語は何度聞いてもあやふやな音が多いかな＾＾；。写真、ブラブラと散歩してお互いの位置を確認しつつも、のんびり撮りたいように撮って楽しめました＾＾。たまに撮ったものを見せ合いっこ♪

→mituさま
オランダ本土は九州サイズしかなく、日帰りであちこち行けるのに、広い気がしますね＾＾。私もオランダに来てから、色使いをとても意識するようになりました。結構インパクトのある色合わせもあり、花の寄せ植えに補色使い取り入れたり＾＾。

→ハリネズミさま
「まことちゃんハウス」検索して見ましたよ〜。すごく大胆に塗ってあるのでびっくりしました＾＾；。やっぱり、赤と白はちょっぴり使うほうがいいな・・・。でも、どこかで見たような感じと思ったら、オランダの灯台の中にこんな赤と白のストライプのがあります♪

→hatsuさま
赤と白のファミリーカラーに合わせてのベンチの色かも＾＾。差し色に赤っていいですよね〜。

→TaekoLovesParisさま
行った時にお城のバラ園に咲いてたのはほんの少しだけでしたが、最盛期だとかなり見応えありそうなほどバラが植えられてました♪お城の再建は、国家的プロジェクトでもなかったようですよ。やっぱり財閥の力でしょうね〜。それまで荒れ放題だったのに。スタルプレインの自転車、オランダらしく、しっかりオレンジ色でもあったり＾＾。

→ぴーすけ君さま
素敵な外観ですよね〜、レンガ造りというのもなかなかいい感じで。でも地盤がそれほど頑強でもなく、お手入れしないとひび割れてくるんですって＾＾；。

→テリーさま
幾つか咲いてた中で、一番よさげなバラを選んで、お城を背景に撮ってみました＾＾。

→miffyさま
19世紀にできた割と新しいお城だから、中も近代的ですよね＾＾。ドイツのお城のほうがはるかに古いものが多いから、思ってたのと違うというギャップも我が家は楽しめました。ベンチに座ってのんびり、いい時間流れそうです♪

→MIKUKO.さま
日本のお城も見所満載ですよね〜。石積みの方法も様々で、襖絵とか欄間とか、天井画もあったり。なにより開け放つと大広間になるのも面白い。撮った写真で、まだ忘れてるの日のが残ってたので、またいずれアップしますね＾＾；。

→momoさま
赤と白のストライプで楳図さんというのは連想ゲームのようになってるのかしら＾＾；。私、全然知らなくって、検索かけてびっくりしましたよ〜。灯台みたいな家。オランダの灯台に赤と白のストライプのがあるので。住宅街歩いててこんな家に遭遇すると仰天ですよね。

→kanameさまのツマさま
イベント無事に終了されたようですね＾＾。お疲れのところ寄ってくださってありがとうございます。お城の中も、面白いですよ〜。撮影不可だったので思い出にポストカードを数枚買いました。いつか訪問された時はぜひ。すごいキッチンなので＾＾。
by Inatimy (2015-11-17 20:45)