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ウィーンでイタリア、時々パリ [ウィーン 2014 冬]

まだカメラやパソコンが無かった時代の

クリエイティブな古の人々の焦点も

なかなか新鮮。

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2014年12月に行ったオーストリア旅のお話。 ウィーンでの4日目の続き。

Kunsthistorisches Museum 美術史博物館エジプト青カバに会った後・・・

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・・・建物の上の階へとやってきた。 天井画ですら貴重なアート。

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階段の踊り場にだって、彫刻が並ぶ。 クリスマスツリーの存在が薄れるほど。

上の階でまず見たのは、イタリア・スペイン・フランス絵画のエリア。
その中のイタリア絵画を堪能。

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Raffael ラファエロ(1483-1520)の絵。
 "The Madonna of the Meadow" 1505または1506年 『草原の聖母』

パリルーヴル美術館にも、これと雰囲気が似たラファエロの絵がある。
タイトルは、『聖母子と幼児、聖ヨハネ』1507  ← 写真の都合上、後ほど登場。

ラファエロじゃないけど、美術史博物館には同じテーマの絵があり・・・

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・・・主にローマで活躍したCarlo Maratta カルロ・マラッタ(1625-1713)の絵。

"Mary with Child and John Baptist as a Boy" 1704
訳は『幼子イエスと少年のような洗礼者ヨハネといる聖母マリア』でいいのかな。

200年でかなり現代風な感じになった。

青衣をまとった聖母マリアつながりで・・・

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・・・ヴェネツィア出身のLorenzo Lotto ロレンツォ・ロット(1480-1556)の絵。

"Madonna with Child and the Saints Catherine and Jacob the Elder" 1527/1533頃
・・・『幼子イエスと聖カタリナとゼベダイの子のヤコブと共にいる聖母』かな。

天使の金髪の巻き毛と、聖母が身にまとう衣服のがキレイで、撮った。

ゼベタイの子のヤコブは、イエスの使徒で、帆立貝がシンボル。
昔々、スペインサンティアゴ・デ・コンポステーラで遺骨が発見されて、
そこが巡礼地になったという、そんなお方。

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対になってる、主にパルマで活躍したCorreggio コレッジョ(1489-1543)の絵。

左: "The Abduction of Ganymede" 1530 『ガニメデの誘拐』
  ガニメデはギリシア神話に出てくる美少年。 ゼウスの使いのワシにさらわれてるところの絵。 
  神々の杯にワインを注ぐ給仕へーべの後継者として誘拐されたという説も。

右; "Jupiter and lo" 1530 『ジュピターとイーオー』
  ローマ神話でのジュピターは、ギリシア神話ではゼウス
  loはラテン語で、ギリシャ神話に登場するイーオーという女性。 河の神さまイーコナスの娘。

  イーオーに恋したゼウスは、暗黒の霧となってイーオーを手放さず誘惑中・・・みたいな図。
   よく見ると腰に手を回してキスを迫ってるのだった。

ゼウスって、強引なんだから・・・。

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美術史美術館の中は、めいっぱい壁を使った展示もあり。 そばにいる人がかなり小さく見えるほど。

聖書神話のテーマが続く中でも、発想豊かな面白いデザインで気分転換できたのは・・・

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・・・ミラノ出身の画家 ジュゼッペ・アルチンボルド Giuseppe Arcimboldo(1526-1593)の絵。
 "Flora" 1589 『フローラ』。 額縁がオシャレだった。 

フローラは、ローマ神話に出てくる豊穣の女神だそうな。
絵では、花や葉っぱで飾られてるだけじゃなく、まで花や植物の模様になってるのだった。

アルチンボルドの絵は、他にもあって・・・

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"Fire" 1566 『火』。 髪の毛は薪で燃えてるし、目にはロウソク、アゴはオイルランプ・・・という。

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"Water" 1566 『水』。 こちらは、魚、貝、海老、蟹、タコ、イカ、そしてカメやカエルも。

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"Sommer" 1563 『夏』。 にこやかなその横顔は、野菜や果物でできている。

鼻はピクルス用の小さなキュウリ、頬の桃が美味しそう。

写真では分からないけど、藁を編んだような服は、
襟にアルチンボルドの名前、袖山あたりに1563と年が、これまた編まれたように入ってる。

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"Winter" 1563 『冬』。 枝だけの木に伝うアイビーだけ緑の葉。 

さびしげ・・・確かに、冬はこんな感じだけどね。

ちなみに、パリルーヴル美術館にも、アルチンボルドの絵がある。
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四季が揃って展示されていた。 左上から時計回りに、冬、秋、春、夏

右にあるのが、先に述べてたラファエロ『聖母子と幼児、聖ヨハネ』1507

そして、再び、聖書のお話で・・・

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北イタリアオランダで活躍した、Follower of Caravaggio カラヴァッジョの追随者の絵。

 "Christ and the Disciples in Emmaus" 1614年以前か、1621年頃。
『エマオでのキリストとその弟子』

カラヴァッジョ(1571-1610) 自身が描いた絵『エマオの晩餐』は1601年らしい。

追従者の絵が気になったのは・・・

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・・・その食卓に何が並んでるのかと思ったから。 

パンワインレモン・・・そして、中央のお皿には、なんだか分からないけど、葉っぱ・・・。

 <追加>
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 いただいたコメントに牡蠣?というお話が。 でも牡蠣じゃなさそう。 

 色は悪いけど、これはエンダイブ(キクヂシャ)

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ナポリ生まれのLuca Giordano ルカ・ジョルダーノ(1634-1705)の絵。

"St.Michael Vanquishing the Devilsaround" 1664
『反逆天使を成敗してる大天使ミカエル』・・・かな。

大きな絵なので高い位置にいる主役よりも、ついつい目の高さに近い部分に目がいってしまう。 

気になるのは・・・

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・・・絵の左下にあるの伸びたのも見える足の裏とか・・・

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・・・大天使ミカエルに踏まれてる反逆天使がさらに踏んづけてる反逆天使の薄くなった頭にあるつの

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Francesco Furini フランチェスコ・フリーニ(1603-1646)の絵。

"The Penitent Mary Magdalen" 1634頃 『悔悛のマグダラのマリア』

暗闇に浮かぶような白い肌、長い髪、そして、うるっとした瞳が美しく。

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ヴェネツィア出身のJacopo Tintorette ヤコポ・ティントレット(1518-1594)の絵。
"Susanna Bathing" 1555/1556頃。 『スザンナの水浴』 植物や動物が細やか。

編み込みの髪のスザンナ、庭でちゃぽんと水に足をつけて鏡を見てる。
そんなところを覗き見してるおじさま(長老)ふたり。 聖書に出てくるお話を基に描いてあるらしい。

どこかで同じようなテーマの絵を見たと思ったら、これまたルーヴル美術館だった。
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Théodore CHASSÉRIAU テオドール・シャセリオー(1819-1856)の
 "Suzanne au bain" 1839 ・・・『水浴のスザンナ』

私の好みでいうと、シャセリオーの絵の方かな。

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ヴェネツィアで活躍したPaolo Veronese パオロ・ヴェロネーゼ(1518-1594) の絵。
"Lucretia" 1580/83頃 『ルクレティア』 紀元前6世紀にいた女性で、短剣で胸を刺してる。

この画家の絵は、またまたパリルーヴル美術館でも見たことがある。
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縦6.77m × 横9.94m とかなりの大きさの『カナの婚礼』1562-1563頃。

レオナルド・ダ・ヴィンチモナリザ向かいにあるのだった。

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ヴェネツィア出身のAntonio Canal アントーニオ・カナール
いわゆるCanalleto カナレット(1697-1768)の絵。

"The Dogana in Venice" 1724/30 頃 『ヴェネツィアの税関』

グラン・カナルの入り口あたりと解説に。 
奥に見える丸屋根の建物は何かしらと後で調べたら、
ジュデッカ島Le Zitelle(レ・ツィテーレ?)という教会

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同じくカナレットの絵で、"Riva Degli Schiavoni in Venice" 1724/30頃
『ヴェネツィアにあるスキアヴォーニ河岸』かな。

中央に見えるは、サン・マルコ広場大鐘楼のよう。

カナレットの絵を見てると、絵画の同じ場所に立って現在の様子を撮ってみたくなる。 

この画家もまた画家で・・・

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・・・Bernardo Bellotto ベルナルド・ベッロット(1721-1780) という名。

この絵は、"Vienna Viewed from the Belvedere Palace" 1758/61
『ベルヴェデーレ宮殿から見たウィーン』

解説によると、に見える丸屋根の建物はKarlskirche カールス教会

ということは、中央尖塔シュテファン大聖堂
地図で確認すると、庭園にあるのは、Salesianerinnenkirche という教会みたい。
Salesianerkircheという表記もあった。 ・・・何て読むんだろ。


・・・と、パッと見て気になる絵だけを主に見て行ったのでした。

それにしても、話、長すぎるって^^?

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mitu

結婚式のおまじない、サムシングブルーのブルーは、聖母マリアのイメージとのことでしたが、なるほど青い服着てますね~
母なる海の色でもあるし・・・花嫁さんは見えないところ(ガーター等に)
何か青色のものを身に着けると幸せになれるというおまじないです^^
by mitu (2015-12-02 07:45) 

ハリネズミ

アンチボルトの絵、独創的ですね~!
美術館で見る分にはいいけど、お部屋に飾るにはちょっとコワイかも^^;。
Inatimyさんが気になった伸びてる足の爪、私も気になる!
爪きりで抓んであげたくなりますね^m^。
by ハリネズミ (2015-12-02 08:10) 

yk2

追従者のテーブルの葉っぱは、ひょっとして牡蠣なのかな?。レモンの隣にあるのが殻開けナイフ??。


>ゼウスって、強引なんだから・・・。

ここ、笑わせようと思って書いたでしょ?(笑)
人間の行いならば、やってることは誘拐監禁連れ回しに・・・(以下自粛^^;)の常習犯だもんね~、ゼウス様ったら。

も1つ序でに、シャセリオーのシュザンヌは初めて見ました。これ、ルーヴルにあるってこと?。元より影響関係があるのはものの本で読んでましたが、この絵は特にギュスターヴ・モローに影響与えてそう。

by yk2 (2015-12-02 11:25) 

ぴーすけ君

アルチンボルドの絵はどの時代で見てもきっと斬新なんでしょうね。
by ぴーすけ君 (2015-12-02 12:20) 

(。・_・。)2k

ゼウスみたいに強引なのってどうなんでしょうねぇ
俺 自分から迫れない人なんだよなぁ
そのせいか彼女は年上ばっかり(笑)
てか ふくよかな女性の画が多いんですねぇ

by (。・_・。)2k (2015-12-02 14:25) 

kaname

アルチンボルド!!
ほかの絵がどんなのだったか瞬時に忘れるくらいの
すんごいインパクトですねっ!!
とか言いつつ「スザンナの水浴」の額縁を凝視してしまったり
やっぱり一番最初の天井画に戻ってみたり♪
どれも近づいて色の濃淡などをじっくり見てみたいです\(^o^)/
ツマ。
by kaname (2015-12-02 15:06) 

engrid

inatimyさんに解説していただくと、より興味が湧くし
視線のポイントも、楽しかったり、そうなのねみたいな感じもあって
うれしいです
by engrid (2015-12-03 01:16) 

めぎ

ああ、懐かしいところです・・・20年くらい前、仕事を辞めて新たに勉強していた頃、この先自分はどうなるのかな、これがいつか実る日が来るのかな・・・と思いながら、何度もここを訪れて絵を見てました。だから、ちょっと辛い重苦しい気分が甦るところでもあります。美術館の中の空気のにおいまで思い出しましたよ。
by めぎ (2015-12-03 17:52) 

テリー

ウィーンの美術史博物館には、沢山の絵画がありますね。
そして、どこかの美術館で、見たような絵も、沢山ありましたね。
相方は、また、この美術史博物館を見に行きたいと言っています。
by テリー (2015-12-03 18:23) 

miffy

宗教画やギリシア神話物は同じ題材でも画家で全然雰囲気が違いますよね。
晩餐のお皿の葉っぱ、私も牡蠣の殻かな?って思いました。
アルチンボルドの絵はなぜか引き寄せられちゃいますよね~
好き嫌いがあるみたいですけどね。
美術史博物館は興味深い絵がいっぱいありすぎて時間がいくらあっても足りないですよね。



by miffy (2015-12-03 22:16) 

shino*

ふくよかは富の象徴だったのでしょうか
今の時代もそうならいいのに(笑)
by shino* (2015-12-04 21:39) 

shino*

今の時代もふくよかさんがモテたらいいのになぁ(笑)
by shino* (2015-12-04 21:41) 

coco030705

こんにちは。
ヨーロッパは美術品の宝庫ですね。すばらしいです!
ラファエロの絵、なんともいえない魅力があります。素敵。
カラヴァッジョもいいですね。
アルチンボルドの『フローラ』。綺麗でかわいい感じ女性の顔がどちらかというと素朴だから、お花が引き立っていいですね。額縁も。
アルチンボルドの四季は「夏」が来日したことがあるように思います。季節の表現がおもしろいですね。
ほんとにすばらしい絵画の数々、やっぱりヨーロッパへ行きたいなぁ。


by coco030705 (2015-12-05 08:42) 

Inatimy

→皆さま「ウィーンでイタリア、時々パリ」のお話にnice!やコメントをありがとうございました。限られた時間で、何を見るか、迷いますね^^;。イタリアは私はまだ行ったことがない国。まずはヴェネチアがいいなぁ・・・などと夢だけ。あ、そうそう「エマオの晩餐』一枚画像追加しました。

→mituさま
サムシングブルーの青の意味、そうだったんですね^^。フランスでは女の子の赤ちゃんでも淡いブルーの服だったりするんですが、それも聖母マリアからのイメージだったかな、確か。

→ハリネズミさま
部屋に飾るには、独創的すぎますよね、アルチンボルドの絵^^;。飾るなら無難なところで、カナレットのベネツィアの風景がくらいかな・・・。ふふ、足の爪がきになる方が私以外にもいて嬉しいです^^。

→yk2さま
テーブルの葉っぱ、牡蠣に見えるけれど、撮った写真を見ても、やっぱり葉っぱなんですよ。大きくトリミングした写真、記事に一枚追加しときました^^。ゼウスって、強引なんだから・・・、は素直な感想ですよ、ほんと。エウロペも連れ去られたんですものねぇ。スキャンダルまみれの神々の世界・・・。シャセリオーのシュザンヌはルーヴルにありますよ。ドゥノン翼の1階(日本でいう2階)の19世紀のフランス絵画の大作の間に。アングルとかアリ・シェフェールと同じ部屋。写真でもわかるように、私の背からかなり高いところに展示してあるんですよ・・・^^;。

→ぴーすけ君さま
アルチンボルドは独特の世界ですよね、目の付け所が違ってて^^。きっとこの先もずっと斬新なままなんでしょうね♪

→(。・_・。)2kさま
ゼウス、強引すぎですよね、神の力や権力を目一杯使って^^;。今の時代だと確実にに犯罪ですものねぇ。ふくよかな女性の絵、見慣れてくると、あ、いいんだこれで、って強気になれます♪

→kanameさまのツマさま
さすが美術史博物館だけあって、いろんな意味で楽しめる絵がたくさんありました♪ アルチンボルド、斬新ですよね〜。ぼーっと天井画を見てても、いつもと違う空間にいるってことが気分転換に^^。

→engridさま
なんせドイツ語と英語の解説だから、その場で読んでもちゃんと理解できなくて、好き勝手に絵を楽しんでます・・・^^;。あとで調べて、あぁそうなのか〜、と驚き。1枚の絵で2度楽しめてお徳感はあるかも^^。

→めぎさま
人生の中で何度か決断を迫られることもあるし、その判断が正しいのかどうか、不安に押しつぶされそうになることもありますよね。めぎさんは今、充実したご多忙な日々を過ごされて、あの頃の積み重ねが実ってますね^^。私もあれこれ努力していこう。

→テリーさま
ウィーンの美術史博物館、本当にたくさんの作品が展示されてますね^^。全部見るには1週間あってもたりないのかも。もし住んでいたら、年間パスポートみたいなのを買って通ってみるもの楽しそう。

→miffyさま
『エマオの晩餐』の絵、ぱっと見では牡蠣に見えるんですが、実はそうではないようで。記事にさらにトリミングで大きくした写真を追加で載っけておきました^^。アルチンボルドの絵を見ると、日本の浮世絵で人体で人の顔を表現したを思い出します。歌川国芳・・・だったかな。美術史博物館、広いですよね〜。また行けるといいな。

→shino*さま
ふくよかさ、いいですよね^^。今の時代、マネキンもスリム化してる感じ・・・身長と体重の健康的な標準体型でショーウィンドーを飾ってほしいです^^;。

→coco030705さま
何を食べているのか、周りの人は何をしているのか、身につけている装飾品、植物や動物、いろんなものが気になってじっくり見てると、絶対に時間が足りなくなってしまいます^^;。有名どころじゃない絵画も、面白いものがたくさんあって見に来てよかったなぁとしみじみでした♪
by Inatimy (2015-12-07 19:17) 

カエル

ヒトの顔が素敵過ぎる!
こんな時間が欲しい。。。
by カエル (2015-12-23 12:12) 

Inatimy

→カエルさま
ミュージアムで過ごす時間、自分なりのテーマを見つけてそれを追い続けるのも楽しいですよね〜。以前、私は「手」を追いかけたことが^^。
by Inatimy (2015-12-29 00:52) 

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