機械と道具、職人の沼 [フローニンゲン 2016 春]
そういえば、
黒猫で、ハチワレじゃないのに
胸元とお腹が白いの
いる、いる。
4月中旬に行ったオランダの北東部の街、Groningen フローニンゲンの旅話、2日目の続き。
フローテ・マルクトの広場で塔へ上るためのトークン(コイン)を入手し、
塔のオープンまでにまだ時間があったので、近くを散歩。
そして、煉瓦造りの建物の下にあるアーケードでたまたま見つけた・・・
・・・Grafisch Museum Groningenへ入ってみた。
グラフィックス・ミュージアムとは、製版印刷関連のミュージアム。
エントランス入ってすぐに見えたのが、手動の印刷機。
白っぽく写ってる四角いところは手前に跳ね上がるようになってて、紙をセットするもの。
その下の台に活版(活字を並べて作った版)を設置して、ローラーでインクを塗り、
セットした紙を上にかぶせ戻して、奥の鉄のプレートの下で圧力かけて印刷する・・・みたい。
これが文字と絵を組んだ版。 金属の枠との隙間には込め物。
そして枠内の上部と左側には万力と呼ばれるもので、
四角い穴のネジを調節し、突っ張るようにして固定するもの。
印刷すると、こうなる。 シェパードだ。
木製の棚に並んでいるのは、そんな組版用の万力や、込め物と呼ばれる道具。
込め物は、文字間、行間、余白など配置よく並べるのに使われる。
上の段にあるのが万力。 先のシェパードの版でも使われてた、四角い穴が空いてるもの。
右に並んだ万力、中央部分に微妙な段差があるのは、そのネジの調節でできたもの。
なんだか4コマ漫画のような版もある。 カードなど小さな印刷物を作る・・・
・・・手動式卓上平圧印刷機。 垂直になった面にさっきの版が見える。 手前側には紙をセットする面。
最初は、版も紙も取り外してある状態で使い始める。(以下、長いから飛ばしてくださっても^^;)
まるいディスクの上にインクをチョンチョンと置いて、左横のハンドルを引くと、
V字型に開いたところの間にあるローラーが上がってきて、ディスクのインクがつく。
と同時に、V字部分は手前部分が上がって閉じられる。
ハンドルを引くごとにディスクは少しずつ回転する。
最初はインクが均等にディスク全体に行き渡るように何度もハンドルを上下して操作する。
それから版を取り付け、手前部分には紙を設置。
ハンドルを引くたび、ローラーは版にインクを塗りながら上がり、
新なインクを得て、また版にインクをつけて戻ってくる。
で、ローラーがディスクの方へ上がってる時に、V字部分が閉まって版が紙に密着、
印刷されるという仕組み・・・と、ネットで動画を探して見た。
こちらは、ドイツのメーカー Krause(クラウゼって読むんだろうか?)の石版印刷機。
それと、石版。(右の石版の写真はKamoさんが撮ったもののトリミング。)
石灰岩の石版を使って紙に印刷する(リトグラフ)のための機械。
リトグラフというと、今の時代ではアルミの版を使うのが主流だけど、以前は石版だったそうな。
どんな風に石版を作るのかも面白そう。
しかし、版を置いたり、のけたりするの、重いだろうな・・・。
そして、大きな機械、Original Heiderberg オリジナル・ハイデルベルグ とあった。
版が平面で、先に登場した手動式卓上平圧印刷機と仕組みはほぼ同じ、
版全体に圧力がかかってスタンプを押す感じ。 これは自動で大型。
写真を撮ってる時は動いてなかったので、後でネットで動画を探して見た。
新しい紙を給紙し、印刷し終わった紙を排紙する長細いパーツが、
稼働時に風車の羽根のように回転してるのを見て、
この機械がウィンドミル(風車)と呼ばれてるのに納得。
ハイデルベルグ社は、1850年創業のドイツの印刷機メーカー。
(日本ではハイデルベルクでなくハイデルベルグと濁った音になってたのでそれに合わせた表記に。)
これはOriginal Heidelberg Cylinder オリジナル・ハイデルベルグ・シリンダー(38x52cm)。
版は平面。 給紙されて紙がついた円筒(シリンダー)が、版の上を回転する。
版と円筒(シリンダー)の接地面だけ圧力がかかって、間に挟まれた紙に印刷されていくという仕組み。
版が、円筒(シリンダー)の下へ行ったり来たりするので、
その時にローラーでインクも塗られるよう・・・と、これも探した動画で見た。
このミュージアム、ワークショップ(体験型講座)がメインみたい。 あと展示会。
置いてある機械の説明も何も書いてなくって、調べるのに苦労した・・・。
昔は、印刷物が完成するまで、その工程ごとに様々な種類の機械があったけど、
今の時代は、なんでもパソコンでできる時代。 文字のフォントも種類が多い。
全てがそうじゃないけれど、簡単に言うと、パソコンで文字や写真などレイアウトして版を作って、
あとはプリンターへ出力して印刷するだけの印刷物もある。
すごい変化だな。
活字といえば、思い出すのが、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」。
ジョバンニが学校の帰りに活版所へ寄って、活字拾いのアルバイトをしていた。
ピンセットで小さな活字を拾って、文選箱に入れていく。
天の川、カラスウリ、ラッコの上着、天気輪の柱・・・カンパネルラ。
メインはタイトルにもある銀河鉄道なのだけれど、私にとっては、
なぜか特に印象的だったのが、活版所のシーン。
読んだのは、どこの出版社のだったか・・・歴史的仮名遣いの文庫本。 日本に置いてきてしまった・・・。
大きな印刷機のあったフロアの上に、白と黒で印刷したグラフィック作品の展示会室、
その上には、さらにロフトが。
棚に並んだカラフルなインク缶や紙。 ここは子供向けのワークショップの部屋のよう。
子供向けといっても、使う道具は本格的。
面白かったのが、印刷したものを乾燥させるために吊り下げる木製バー。
ビー玉が使われていて、差し込むとうまく留まるようになってるみたい。
サクッと、30分ほど見学して出てきた。
以前アップした番外編の活字は、このミュージアムで撮ったものなのでした。
↑ クリックすると、その記事へ。
現代では、ニュースもネットで読めるし、
印刷の必要もない電子書籍もあるよね。
私は印刷された本、好きだけど^^。
ちょっと訪問サボっていたらもう2つも記事が!
Inatimyさん、記事更新のペース早い~~~
印刷機械の展示は興味深いですね~
そのうち本は全てデジタルになっちゃうのかな、と思ったりしますが、やっぱり紙の本は良いですよね。
by めぎ (2016-06-28 22:03)
版画も印刷機もかっこいいです。
どれも現役なんですね。
by luces (2016-06-28 22:53)
めぎさんといっしょ、本は紙のがいいわ
シェパード 味があるわ。綺麗すぎないとこが良いのかな
興味深い展示ね、印刷機とか、美しいフォルムでいいなって思うの
無機質で無駄のないって、素っ気なくて、遊びごころがほしいものね
by engrid (2016-06-29 00:43)
ああ...好きだぁぁぁ...こういう印刷物!!
わたし版画フェチなんです。
わが家は木版画で飾られているんですよ。
...先日訪れたデューラーハウスでも愉しかったし。
ここ、行きたいなあ。
by ナツパパ (2016-06-29 08:57)
電子書籍、苦手です^^;。
嵩張らず便利なのかもしれないけれど、装丁も含めて楽しみたいなぁ。
ビー玉付き木製バー、かわいくてすてきなアイディア♪。
by ハリネズミ (2016-06-29 08:59)
印刷機 すごく興味あります
機械そのものがアートですねえ(^^)
by (。・_・。)2k (2016-06-29 11:17)
私の生まれ育った場所は印刷業が多くて、こういう機械の少し大人版かな?がたくさんあった。友達の家も印刷やってたから印刷の音や紙はとてもなじみ深いです。細かい作業をされていたんだろうなって思います。印刷のインクの加減がまちまちでいい味だよね。
最後に、木製バー可愛いね。上手いよね。
by カエル (2016-06-29 18:05)
こういう機械、大好きです♪
どんな仕組みになっているのか考えるだけでワクワクします。
基本、紙の本を読んでますが、電子書籍も使ってます。
電子書籍は旅する時には軽くて便利です。
by miffy (2016-06-29 21:51)
(@@*)うわーー♡うわーーーー!♡
と、心の中で叫びながら萌え萌えで拝見しました!!!
アンティークな機械も素敵だし、活字も可愛い♡
いいなぁ。ここ、じっくり見に行きたい♪
写真も撮り甲斐がありますね♪
by momo (2016-06-29 21:56)
印刷機も、すごい技術の塊だったのでしょうね。
それが、、電子書籍に変わって、いくというのも、時代の流れですし、また、資源を無駄に使わずに済むわけです。
by テリー (2016-06-29 22:52)
銀河鉄道、歴史的仮名遣いの文庫本なんてあったんですね。
読んでみたいな ^^
むかーし活躍していた印刷機たちなんですね。説明もなく、ただおいてあるだけ? ワークショップでもあるそうですけれど、興味がわいた人には説明も欲しいかも?
機械たち、良い味出してますね。ハウルの城のようなそんな感じの素敵な機械のおじいちゃんたちですね。
by moz (2016-06-30 06:29)
「番外編」の活字だ~!!と、すぐわかりましたよ♪
印象的でした。
名刺を活版印刷にしたいなーと夫と話していたので
こういうレトロな印刷系、とても興味深く拝見しました。
味わいがやっぱり全然違っていてすごく好きです。
本も、印刷がやっぱりいいですよねぇ!!
デジタルは味気なくって&目が疲れます。。。
それに「紙」が落ち着きます~!
・・・言ってることが年寄りっぽいですね・・・(汗)
でもやっぱり古いものって惹かれます♪
ツマ。
by 竹口要 (2016-06-30 06:59)
わー、おもしろそうですー
リトグラフちょっとやったことあったんですが、やっぱりアルミでした。
昔は石だったんですね~
しかし、紙のつっかえ棒、棒じゃなくてビー玉って、
なんか落ちてきそうでちょっと心配です。
by nicolas (2016-06-30 16:33)
学校出て印刷会社に勤めたことがあります
当時はインクの臭いが苦手でした
今はなんか懐かしい匂いになりました
by soujirou-3 (2016-07-01 16:50)
→皆さま「機械と道具、職人の沼」のお話にnice!やコメントをありがとうございました。あまりにもマニアックすぎて面白くないかもと心配してたんですが、意外と興味を持ってくださってる方が多くてうれしかったです^^。何だろう、って調べ始めると止まらなくなっちゃって^^;。
→めぎさま
いえいえ、毎日更新のめぎさんに比べたら、私、更新のペースは早くないですよ・・・週3日の火・金・日だし^^;。印刷機、何も解説がなかったので、検索しまくりました〜。何者か少しわかってスッキリ。本の匂いが好きだし、表紙や帯で選ぶのも楽しみだから、手にとってずっしりと重さも感じて読みたいです^^。
→lucesさま
lucesさんは版画もなさってましたよね。毎年年賀状は手作りだし、ブログで拝見するの、楽しみでもあります^^。ミュージアムに置いてあった機械、卓上のはちょっと欲しいな、なんて思いました〜。
→engridさま
ほんの30分で駆け足で見たとはいえ、内容の濃い展示でした。印刷機械って、そんなに身近にあるものでもないので、目新しくって^^。紙の本、いいですよね〜、紙質や文字の大きさ、挿絵なんかも。本に合わせて、しおりを選ぶ楽しみもあり♪
→ナツパパさま
気に入っていただけてよかったです♪ 何を隠そう、我が家もマニアックな二人なのでした^^;。ミュージアム好きなんです。ここの他にもオランダにはリトグラフのミュージアムもあるし、アムステルダムのレンブラントの家でも実演が見られますよ^^。
→ハリネズミさま
新聞はネットのニュースでもいいかなとは思うけど、物語などじっくり少しずつ読むものは本がいいですよね^^。そうそう、装丁も綺麗なのがいいし、本に合わせてしおりを選んだりも。ビー玉つき木製バー、会社によく似た原理の書類を差し込んで止める文具があったけど、やっぱりビー玉なのがいいなぁ♪
→ (。・_・。)2さま
昔、ドイツの新聞社を見学したことがありますが、そこの印刷機もすごかったです^^。大きな輪転機。刷り上がった新聞が頭上を移動するのも圧巻で♪ 機械も昔のは味わいがありますね〜。
→カエルさま
印刷機も大小さまざまですよね。子供の頃、近所に印刷関係のお店ありました^^。写植機とか、当時は何してるんだろうって不思議で。小学生の頃、よく先生の印刷物の手伝いもしてて、手回しの輪転謄写機とかふと思い出しました。当時はまだコピー機が一般的じゃなかったもの^^;。
→miffyさま
旅先でちゃんと読書なさってるんですね〜。旅するときに本を持っていくのって、かっこいいなぁ・・・と思いつつ、私、持って行っても忙しくって読めなかったり^^;。一時帰国のときには日本で何冊か買って、帰りに読んでます♪ でも重いんですよねぇ、本って、確かに。
→momoさま
アンティークな印刷機に萌えてくださって嬉しいです^^。撮ってきてよかった〜。時間があったら、ワークショップに参加するのが一番かも。私たちの横でも二人が指導員に説明受けて何やら作業してました〜。卓上の小型のだったら欲しいかも♪
→テリーさま
電子書籍も読むのに電気がいるし・・・すっかり電子書籍に変わっていったら、何百年後でもそれって残るのかしら・・・って心配で。紙の書物だとすごい年代のものまで今の時代に残ってるけど^^;。
→mozさま
あえて歴史的仮名遣いのものを選んで買った文庫本、最初は慣れなくて苦労しましたが、やっぱり浮かび上がるイメージや雰囲気がよかったです^^。印刷機、何の解説プレートもなかったです^^;。でも、自分で写真を頼りに調べていく作業もなかなか面白く♪ ハウルの城、いい例えですね〜。あの映画、好きです^^。オランダでDVD買ったんですよ。オランダ語と日本語というのも面白く♪
→竹口要さまのツマさま
番外編の活字、覚えてくださってて嬉しいです♪ 活版印刷の名刺、いいですね〜。是非是非。私も本は印刷された紙のが落ち着きます^^。画面で見る文字は、ニュースぐらいでいいかなと。じっくり、読み進めていくものは、やっぱり印刷されてるものが一番好き♪
→nicolasさま
私もてっきりアルミだと思ってたら、石版だったという。となると、ロートレックの頃は、どうだったのか、と気になってきたという^^;。やっぱり石版かな・・・残ってるのかな、今でも。ビー玉、うまく落ちないようになってましたよ^^。
→soujirou-3さま
印刷会社だと使うインクの量も多いでしょうね〜。インクの臭い、きついと大変ですよね。雑誌もたまに激しく臭うのがあって、欲しい特集なんだけど手に取れなかったり・・・^^;。紙の匂いは好き。
by Inatimy (2016-07-04 23:16)