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牛も獅子もロバだって [ミュージアム]

オランダで一番背の高い教会の塔、ドム塔は、
ユトレヒトで一番高い建物でもある。

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9月の初め頃に出かけたオランダ中部の街 Utrechtユトレヒトの話の続き。
ホットドッグ専門店でお昼を食べて、ドム教会の裏道を歩き、オランダ人ローマ法王の像に出会った後。

国家遺産の建物の横を抜けて出てきたのがドム塔ドム教会の間を走る通り。
を背に街を南下していく。


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途中で見た小路。 両手を広げた幅よりも狭い。


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こんなに細い道だけど、ちゃんと名前が付いている。 アーブラハム・ドール路地

路地に入って行きたい気持ちを抑えて先に進むと、間も無く見えてくるのが・・・

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・・・Sint-Catharinakathedraal シント=カタリーナカテドラール。 聖カタリナ大聖堂
でもCatharijnekerk カタライネケルク、カタライネ教会としての名の方が通ってるよう。

その左に見える建物は・・・

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・・・15世紀に建てられた肉屋ギルドの建物。 ギルドとは職業別の組合のこと。
屠殺場・食肉販売所として使われていたところ。

キリスト降誕シーンを描いた絵やミニチュアでも登場する

そんなシーンに立ち会ったを食べても構わないのかとか、
教会のすぐ隣に生々しく屠殺場・食肉販売所があるのも、私としては少々不思議な感じ・・・。

で、この日の目的はカタライネ教会・・・

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・・・に隣接するMuseum Catharijneconvent ミュージアム・カタライネコンフェント
カタライネ修道院博物館。 宗教芸術品のミュージアム。

天使ステンドグラスは、1917年製で、ユトレヒト
聖母被昇天教会(Onze-Lieve-Vrouw-ten-Hemelopnemingkerk)にあったもの。

教会は解体されてもう存在しないのだけれど、ステンドグラスの一部だけがミュージアムに残ってる。 


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"Kruisiging en 6 taferelen uit het lijden van Christus" 1515~1520年頃のもの。
「キリストの受難から、磔と6つのシーン」

私自身は子供の頃から神社仏閣の方が暮らしに身近だったゆえ、
海外に旅行するまでキリスト教文化に触れたことはほとんどなかった。


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オランダの画家 Hendrik Valkenburg ヘンドリック・ファルケンブルフ(1826-1896)の
"Stichtelijk uurtje in de Achterhoek" 「アハターフックでの教化的な時間」1883。

アハターフックはオランダ東部の地方。
プロテスタントの人生において聖書からの言葉を読むことや耳を傾けることはとっても重要な位置を占め、
それは教会ででも、家の中でもそうだったよう。

日曜の午後には老いも若きも聖書の周りに集まったそうな。

先日のニュースでは、オランダで何か信仰してる人は年々減り続けていて、今は49%。
そのうちの4人に1人はカトリック、約15%がプロテスタント、5%がイスラム教で、
残りがその他の宗教だそうな。


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"Brede en Smalle weg"「幅の広い道と狭い道」 1635頃。
描いた人は、Laurentius de Neter ラウレンティウス・デ・ネーター(1600-1650)かと、
推定のようで?マークが付いていた。

男女が人生での重要な岐路に立っている。 どちらか一つを選ばなければいけない。
誘惑に満ちた楽で幅広い道を行くか(右)、自ら十字架を背をって狭い道を歩んでいくか(左)。

天使は正しい方を指し示している。 そこに立つ一本の木も緑が生い茂った枝で明確にしている。

でも・・・生きてると迷うことが多いよね。 

ちょっとお茶目なのもあり・・・

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・・・丸めた舌を突き出してるかのような動物はに見えるけれども 実はライオンらしい。
大小、どちらも近づいてよく見てみると、たてがみのようなものがフサフサっぽく描かれてた。

これら二つは、13世紀ごろの西ドイツのもの。 Aquamanile アクアマニレといって、
中にが入れられ、ミサの中で聖職者手を洗うのに使われるとか。

でも、これをぱっと見たとき、私の頭には牛の形をしたミルクピッチャーが浮かんだのだった。

キリスト教にとってライオンは、福音書記者マルコの象徴でもある。
残り3人の福音書記者の象徴は、マタイ(人・天使)ルカ(雄牛)ヨハネ(鷲)

怖かったのが・・・

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・・・壁に頭を持たれかけて、床に倒れ込んでいた人。

驚くことに、これ、作品。 ものすごくリアルで今にも動き出しそう。

米国のDuane Hanson デュエイン・ハンソン(1925-1996) の
"Derelict Woman" 「見捨てられた女性」1973 

このアーティストの作品を初めて見たのは、ドイツシュトゥットガルト州立美術館
床拭きをしてる女性("Putzfrau"「掃除婦」1972)で、怖くて近寄れなかった。


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動物好きには、キリストが乗ってるロバにも目がいく。 多分、エルサレムに入る場面。
"Jezus op de ezel"「ロバに乗ったイエス」1940年頃。

そうそう、ロバキリスト降誕のシーンに登場する。
あとはと三賢者の乗ってきたラクダくらいで、意外なことにこのシーンにはは出てこない。

聖書に登場する動物植物に注目して現在とのつながりを見るのは割と好き。


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一番上の階では"Rembrandt en de Gouden Eeuw"「レンブラントと黄金時代」展をしてた。
レンブラント先駆者追随者の絵画作品など集められて。

途中、窓からカタリナ教会を眺めて一息。 少々歪んだガラスが味わいあり。


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最後はミュージアムカフェで甘いものを食べてお茶する時間も忘れずに。
飲んだのはカプチーノ。 林檎タルトはふたりで分けっこ。


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中庭では、何かイベント開催中。 
木からぶら下がったペーパーランタンが綺麗だった。 オレンジオランダらしいな。


ユトレヒト街散歩の話はあと1回で終了予定^^。

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ma2ma2

ヨーロッパはイギリスしか行ったことないので、オランダとかも行ってみたいです(^^)
by ma2ma2 (2018-10-23 18:11) 

よしころん

倒れた女性の絵、inatimyさんがその場で写真を撮られたのかと思ってしまいました( ゚Д゚)!!
by よしころん (2018-10-23 18:42) 

そら

キリスト教かぁ
少し興味あります、キリストの歴史を紐解くのもいいかなぁ(^^)
by そら (2018-10-23 19:02) 

riverwalk

大きい犬さんと小さい猫さんかと思いました。
色んなところに動物が出て来るのが楽しいです^_^
by riverwalk (2018-10-23 20:10) 

KOME

わっ、倒れてるだけでなくケガしてるんじゃないの、と最初思いました。
by KOME (2018-10-23 22:40) 

snow

ペーパーランタン夜は灯ともるかな?
灯ともったとこもみてみたいな(^^)/

by snow (2018-10-24 00:45) 

めぎ

こんなに色々とディープなものを見てくると、ミュージアムカフェがホッとしますねえ。
オランダって実は結構カトリック多いのですね。
by めぎ (2018-10-24 05:59) 

oko

小路、人がすれ違うのも大変そうですが
絵になる場所ですね〜
by oko (2018-10-24 06:33) 

初夏(はつか)

「ロバに乗ったイエス」可愛い^^
天使のステンドグラスも、美しいですね~。
林檎タルト、おいしそう。
寒くなり始めると、食べたくなります♡
by 初夏(はつか) (2018-10-24 08:21) 

(。・_・。)2k

いろんな意味で覗き込みたくなる作品ですねぇ
倒れた人 (笑)

by (。・_・。)2k (2018-10-24 11:14) 

JUNKO

石だたみの道や小路、魅力がいっぱいのヨーロッパです。オランダは言ったことがないので興味深く拝見しています。
by JUNKO (2018-10-24 17:19) 

DON

狭い路地裏
大好きな場所~(^^ゞ

by DON (2018-10-24 19:31) 

テリー

狭い路地でも、名前があるとはいいですね。
オランダで、何かを信仰している人が、49 % とは、驚きですね。
半分以上が、無神論者ですか。

by テリー (2018-10-24 22:12) 

moz

アーブラハム・ドール路地、手を伸ばすと両方の壁にとどいてしまうような路地、石畳の少し曲がった先に何があるのか? ついつい? 行ってみたくなりますよね。路地ってなんとなく気になります。^^;
見捨てられた女性、本当にリアルで誰か倒れているようです。こんなのあったらやっぱり近寄りがたいかも? 何かの劇でもやっているかと? ^^;;
オランダってプロテスタントの国ではなかったでしたっけ?
そうなんですね、カトリックの方が多い国なんだ ^^
by moz (2018-10-25 07:34) 

miffy

狭い路地、心惹かれますね~
どこに繋がっているのか気になります。
何でもあまりにもリアルすぎる作品は近寄りがたいですよね。
林檎のタルト美味しそうですね~
by miffy (2018-10-25 20:56) 

kyon

女性がリアルで怖いですね^^;
こういう路地を歩くのも楽しそうですね。
狭い視界がひらけた先に、何が待ってるのかな。
by kyon (2018-10-26 22:06) 

Inatimy

→皆さま「牛も獅子もロバだって」のお話にnice!やコメントをありがとうございました。キリスト教に詳しいわけでも美術に精通してるわけでもないので、シンプルに気になった絵や動物絡みを^^。ひとまずとって、後で検索して、なるほど、そうだったのか・・・とやっとわかるという・・・。

→ma2ma2さま
私は逆にイギリスはまだ行ったことがなくて^^;。オランダの隣にあるのに。

→よしころんさま
倒れた女性、リアルでしょ、実物大だし、服も靴も、そのまま使われてた古そうなものだし。怖くって、これ以上近寄れず^^;。

→そらさま
キリスト教、私はまだまだ知らないことばかり^^;。芸術としては興味あるので、それを通してわかってきたことが多いです。

→riverwalkさま
手洗い用の水を入れるのが、動物の形というのも楽しく。動物や植物、いろんなところに登場するので、そこからキリスト教文化に近づくのもいいかなと^^。

→KOMEさま
これ心臓に悪いですよね、何かあったんじゃないかと、私も最初ギョッとしました・・・^^;。

→snowさま
ペーパーランタン、夜は灯ったかもしれませんね。夏時間だったので、暗くなるのを待ってたら帰宅時間が遅くなるので、見られず^^;。

→めぎさま
宗教芸術ってキリスト教でも仏教でもディープですよね。結構な量で、上の会のレンブラントと黄金時代まで宗教色が強かったので、ちょっとクタクタ^^;。オランダはプロテスタントのイメージが強かったんですが、信仰してない人が一番多くて、次がカトリックでした。南部がカトリック多いんですよ。行事ももたくさんあるし。

→okoさま
小路、横丁、裏道といったものが好きで、ブログのタイトルにも異国小路とつけたほど^^。

→初夏(はつか)さま
馬じゃなくロバってところがまた可愛く。聖書では普通のロバでなく子ロバだったとか、親ロバもそばにいたとか、いろんな説があるようです^^。

→ (。・_・。)2kさま
きっと、いろんな意味で覗き込んでいった人が多かった作品だと思われます^^。私はあまりにも怖くて、写真を撮った位置から先は近づけず・・・・動き出しそうなんですもん。

→JUNKOさま
オランダと言えばチューリップが定番のようになってますが、それ以外にもいいところ、面白いところがたくさんあるのだと少しでも広がっていくといいなぁと^^。チューリップの写真、この春のですが、冬頃に登場予定です^^;。

→DONさま
狭い路地裏、小路、横丁、裏道・・・惹かれますよね、そそられますよね^^。

→テリーさま
狭い路地でも名前があるので、場所がわかって大助かりです^^。日本ってエリア、街区、何丁目としか分からなくって・・・。オラン人の宗教、プロテスタントが多いのかと思いきや、だんだん教会離れして、教会もイベント会場と化してるところが多いみたいです。

→mozさま
小さな路地はその先に何があるのか気になる場所^^。ミュージアムに行く前だったので、時間が気になり撮るだけに。倒れてる人、あまりにリアルで本物かと・・・ギョッとなりました。オランダ、意外にもカトリックが多く。北部より南部の方がカトリックを信仰されてる方々が多いみたいです。

→miffyさま
あまりにもリアルで、ひょっとしてドッキリ?なんてカメラ探したりとかしそうですよね^^;。が張って起き上がりそうで、怖くて近寄れませんでした・・・。林檎のタルト、オランダで滅多に大きなハズレがないので、大抵これ^^。

→kyonさま
倒れた女性の作品、リアルすぎますよね・・・これ先の小路なんかにあったら絶対誰かが通報しそう^^;。オランダ、路地が多くて、誘惑ありすぎ・・・なかなか先に進めなくって。
by Inatimy (2018-10-30 19:27) 

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