今と昔と、受け継ぐものと [ミュージアム]
組み合わないパズルのピースのような。
9月下旬に差し掛かった頃、アムステルダムの南西にある街、Leiden ライデンにやってきた日の続き。
2019年6月に再オープンしたMuseum De Lakenhal ミュージアム・デ・ラーケンハルにて。
2019年6月に再オープンしたMuseum De Lakenhal ミュージアム・デ・ラーケンハルにて。
※ 前回のお話は、こちら。
この街ライデン出身のFloris Verster フローリス・フェァスター(1861-1927)の作品で、
"Bloemen en Bladeren"「花と葉っぱ」 1888
"Bloemen en Bladeren"「花と葉っぱ」 1888
花瓶に活けられた植物の静物画って派手なものが多い印象だったけれど、この絵はそうではなく。
色褪せてきた葉っぱで、何かの白い花。 地味なんだけど、なんか惹かれた。 秋っぽいからかな。
色褪せてきた葉っぱで、何かの白い花。 地味なんだけど、なんか惹かれた。 秋っぽいからかな。
オランダ領だったインドネシア生まれの画家
Tinus van Doorn ティヌス・ファン・ドールン(1905-1940)の
"Vlaamse Kermis"「フランドルのケルミス」1934
Tinus van Doorn ティヌス・ファン・ドールン(1905-1940)の
"Vlaamse Kermis"「フランドルのケルミス」1934
ケルミスとは、今では移動遊園地と訳されてるけれど、
縁日、サーカスとか、ゲームなどの屋台が出たり、皆でワイワイするお祭りみたいな感じのよう。
縁日、サーカスとか、ゲームなどの屋台が出たり、皆でワイワイするお祭りみたいな感じのよう。
パッと見て、シャガールっぽいと思った一枚。 またフランツ・マルクの影響も受けてるらしい。
ライデン出身の陶芸家・彫刻家の1900年の作品で
Willem Coenraad Brouwer ヴィレム・クンラート・ブラウワー(1877-1933)の花瓶と壺。
Willem Coenraad Brouwer ヴィレム・クンラート・ブラウワー(1877-1933)の花瓶と壺。
模様が面白い。 同時に懐かしくも感じるので、なぜだろうと思ったら、色合いが子供の頃好きだった、
カラフルな砂糖コーチングのクッキー、どうぶつヨーチに似てるからかもしれない。
カラフルな砂糖コーチングのクッキー、どうぶつヨーチに似てるからかもしれない。
ライデン出身のHendricus Petrus Bremmer ヘンドリクス・ペトルス・ブレマー(1871-1956)の
"Stilleven met fles, schotel en ui"「瓶、鉢、玉葱のある静物画」1894
"Stilleven met fles, schotel en ui"「瓶、鉢、玉葱のある静物画」1894
すごく細かい点描画で、ズームすると・・・
・・・いろんな色の絵の具の点々がいっぱい。 印刷の網点を思い起こさせる。
ヘンドリクス・ペトルス・ブレマーは、画家の他に、
芸術ジャーナリスト、評論家、収集家、美術商でもあったよう。
芸術ジャーナリスト、評論家、収集家、美術商でもあったよう。
美術講座も開催してて、そこに来ていたのがヘレーネ・クレラー=ミュラー。
ブレマーは、クレラー=ミュラー美術館のベースとなる夫妻の収集品へのアドバイスもしていたらしい。
ブレマーは、クレラー=ミュラー美術館のベースとなる夫妻の収集品へのアドバイスもしていたらしい。
オランダ領だったジャワ島生まれのJan Toorop ヤン・トーロップ(1858-1928)の作品、
"Twee Bomen"「二本の木」1897頃
"Twee Bomen"「二本の木」1897頃
この芸術家はオランダにおけるアール・ヌーヴォーでもたくさん作品を残している。
※ その展覧会の話は、こちら。
※ その展覧会の話は、こちら。
で、その娘さんの作品もあって・・・
・・・Charley Toorop チャーリー・トーロップ(1891-1955)の作品で、
"Driedelig Kammerscherm met Wolken en Bloemen"「雲と花の三扇屏風」1918
"Driedelig Kammerscherm met Wolken en Bloemen"「雲と花の三扇屏風」1918
なんだかとっても力強い。
クレラー=ミュラー美術館で自画像を観たことがあるけれど、大きな目がとても印象的だった。
クレラー=ミュラー美術館で自画像を観たことがあるけれど、大きな目がとても印象的だった。
先に紹介した点描画のヘンドリクス・ペトルス・ブレマーも
チャーリー・トーロップを支援して販促してたよう。
チャーリー・トーロップを支援して販促してたよう。
ユトレヒト生まれのTheo van Doesburg テオ・ファン・ドゥースブルフ(1883-1931)の作品、
"Compositie III"「コンポジションIII」1917年
"Compositie III"「コンポジションIII」1917年
このステンドグラスは学校の先生の家の階段の踊り場を飾っていたらしい。
テオ・ファン・ドゥースブルフは、この街ライデンで、
モンドリアンらとともにDe Stijl デ・スタイルという芸術運動で活動をともにしていたよう。
モンドリアンらとともにDe Stijl デ・スタイルという芸術運動で活動をともにしていたよう。
同じくテオ・ファン・ドゥースブルフのステンドグラスで
"Compositie I"「コンポジションI」1916-1917年
"Compositie I"「コンポジションI」1916-1917年
こっちの方が可愛いな。
展示室の真ん中にピアノが置いてあったりも。 ドイツのピアノメーカーのC.BECHSTEIN製。
アムステルダム出身のCornelis Danckerts コルネーリス・ダンケルツ(1664-1718)の地図。
"Kaart van het Hoogheemraadschap Rijnland 2de druk" 1687
「ラインラント高治水管理委員会の地図 第2版」・・・という訳になるのかな。
「ラインラント高治水管理委員会の地図 第2版」・・・という訳になるのかな。
地図の左端が北海。 上部、赤い半円部分がアムステルダム。
その左下にある巨大な湖がHaarlemmermeer ハーレマーメーア。 この湖、現在はもう無い。
その左下にある巨大な湖がHaarlemmermeer ハーレマーメーア。 この湖、現在はもう無い。
いわゆる干拓地。 揚水は風車ではなく、当時では珍しい蒸気の力で動くポンプ場を作ったらしい。
それで水を汲み出して1852年に乾燥、そこに街ができていったよう。
それで水を汲み出して1852年に乾燥、そこに街ができていったよう。
現在、スキポール空港がある場所が昔は湖だったというのも興味深い話。
展示室と繋がった一画に礼拝堂のような場所があった。
館内案内図にSchuilkerk スハウルケルクとあったから、隠れ教会と訳すのかな。
館内案内図にSchuilkerk スハウルケルクとあったから、隠れ教会と訳すのかな。
背後の窓からの光で、主祭壇の絵が撮れず。
主祭壇の左側にあったもの。 祭壇っぽいけど、右側にノブや鍵穴の跡があった。
この向こうにも部屋があるのかも。
この向こうにも部屋があるのかも。
右下の・・・
・・・まるっこいウサギが可愛かった。
また、別の展示室に入ると、天井に生き物が。
Zaagvis ザーフフィス・・・ノコギリザメだ。 約1670年とあったから350年近く前のもの。
Zaagvis ザーフフィス・・・ノコギリザメだ。 約1670年とあったから350年近く前のもの。
計量所にあった外科医のギルド(同業者組合)の会議場に吊り下げられていたよう。
そのままの形をずっと現在まで維持してるのがスゴイ・・・。
そのままの形をずっと現在まで維持してるのがスゴイ・・・。
階段室の上部にぐるりとステンドグラスがあった。
その下はこんなの。 手すりの曲線、弧を描く階段のステップ、六角形のタイルが素敵。
トイレもまたオシャレでね。 手洗い場がタイル貼りなのだった。
サイドにちゃんと石鹸置きまでついている。 水が切れるように、切れ込みまで入ってて。
壁の蛇口をひねると、この顔から水が出てくるなんて。 なんて楽しい。
こういうの好きだな。
暮らしが楽しくなるデザインっていいと思う。
暮らしが楽しくなるデザインっていいと思う。
ミュージアムのお話はこれでお終い。
でも、この日の話は、まだ続く^^。
でも、この日の話は、まだ続く^^。
>まるっこいウサギ
私のこと?(笑)
蛇口が変わっていると
水出してみたくなります
>暮らしが楽しくなる
ゆとりが持てます
(^^♪
by みうさぎ (2019-10-18 16:14)
こんにちは。
「フランドルのケルミス」複雑でないシャガール風かな(笑)
ダークな背景で色彩がより鮮やかに感じます。
「コンポジションIII」平面構成・課題のお手本の様なデザインです。
モンドリアン、成る程です。現代に繋がる感じのデザインですね。
水出口に遊び心あり、サイドの石鹸置きは機能的。
楽しいデザインです!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2019-10-18 17:47)
海外って美術館でも撮影出来るのが良いですね!
カエルさんの口から水が出てくるのも面白いですね。
by ma2ma2 (2019-10-18 18:10)
いいなあこのカエルさん…自分のうちでもこんなの欲しいなあって思ってしまいました。
だって、毎日栓をひねってカエルさんから水が出てきたら楽しいですよね~まあカエルじゃなくてもいいんですが、おさかなさんとかもいいかな。
うーん、どこで調達できるかな…(かなり真剣に考えてしまった♪)
by めぎ (2019-10-18 20:22)
今回御作品の中では「雲と花の三扇屏風」が刺さりました。
点描画も興味深いです。
弧を描く階段、これはかなり施工に時間がかかっているのでは?と思いましたw(^^
ライオンの口から水が出る仕様は多いですが・・・これは何だろうw
ノコギリザメのノコギリ部分が長~い!
by marimo (2019-10-18 20:57)
こんばんは、ライデンって有名なライデン大学のある街でしょうか?
実際に見てみたくなる作品ばかりです。
by Yamamoto (2019-10-19 00:57)
アヒル?のステンドグラスが可愛いですね(^^)
ステンドグラスが家にあったら素敵だろうなぁ。
by そら (2019-10-19 05:32)
古地図がおもしろいですね。
今と比較すると、土地開発の歴史とかも感じられて。
by YAP (2019-10-19 06:52)
350年も前のノコギリザメ
凄いっすネェ〜
by (。・_・。)2k (2019-10-19 11:31)
こんにちは^^
点描画ってすごいですね。
よくもまあ、この様に細かく描けるものだと思ってしまいます。
ステンドグラスは素朴で親しみやすい感じですね。
タイルの組み合わせ方で模様が素敵になりますね。
by いろは (2019-10-19 16:16)
展示室の真ん中にあるピアノ、誰が弾いてもいいのかな?
こんな素敵なお部屋でだったらレッスンも辛くないかも。
ステンドグラスのある階段って素敵ですね~
ステップのタイルも好みです。
by miffy (2019-10-19 18:04)
この蛇口、熊かな?
仰るとおり、実用的なものに遊び心を持たせる、、、こういうセンス、大好きでやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2019-10-19 19:40)
花瓶と壺、どれも素敵、、ぐるりと一周眺めたくなります
タイル張りのデザインも
螺旋階段、おしゃれ踊り場に、カーブしている一段一段も
良いよね
by engrid (2019-10-20 01:01)
お久しぶりです^_^
秋らしい葉っぱの絵画やシャガールのような抽象画など、良いですね。
六角形のタイルの階段や壁の蛇口も、アンティークでおしゃれで面白いです。
by アールグレイ (2019-10-20 10:42)
僕もコメント入れるのはちょっと(?)久し振り(^^ゞ。
ヴィレム・クンラート・ブラウワーの花瓶の文様が懐かしく感じる理由は、きっともう1つ別にも有るんじゃないかなぁ。漱石の個人的な趣味で『我が輩は~』の装丁にヌーボー様式が採用されて以降、明星だとか文芸誌の表紙が猫も杓子もそれ風だった時期が有ったから、僕らが子供の頃の児童書や科学の本なんかにも、こう云った影響、デザインが施された装丁の本がまだ多く残っていて、それらを無意識に手にしてたせいなんじゃないか、とも思うんだ。例えば与謝野晶子の『みだれ髪』の藤島武二とかさ、それと意識しない内から、僕らのそばにはアールヌーヴォー的なものが有ったんだなぁ~って。いなちゃんも間違いなく本が好きな子どもだったでしょ?(^^。
by yk2 (2019-10-22 11:44)
→皆さま「今と昔と、受け継ぐものと」のお話にnice!やコメントをありがとうございました。このミュージアムはライデンの市のミュージアム。幅広いコレクションでかなり楽しめました^^。建物も面白いしね。
→みうさぎさま
丸っこいうさぎの形の蛇口があってもいいかも^^。可愛い。どこだったか、動物園の水道の蛇口が動物シリーズで、すごく面白かったんですよ。やたらと水出して手を洗いたくなるような。
→Boss365さま
シャガールの影響濃いですよね^^。コンポジション、こういうモンドリアンっぽいものって商事で試したくなるんですよね。かなりモダンになっていいと思うだけどなぁ。石鹸置きまでついてるタイルの手洗い場はさすがな感じでした♪
→ma2ma2さま
美術館によってはできないところもあるのでサイトや係員さんに聞いて確認してから撮ってます^^。カエルかどうかよくわからないんですよね、魚ぽい感じもするし。
→めぎさま
カエルなんだろうか・・・多分、魚のホウボウだと思うんですよね、このデザインが主流だったその時代、パリでもよく使われていたモチーフだし^^。こういう蛇口、欲しいですよね。ドイツ人さんに相談してみたくなります。
→marimoさま
屏風、すごいインパクトありますよね。見え方が違うというのか。階段、何気ない階段でもカーブがオシャレで、たまらない魅力^^。手をかけてあるものっていいですよね。蛇口、私の意見ですが多分、魚のホウボウではないかと。・・・欲しい。
→Yamamotoさま
ライデン大学がある街です。有名なんですね^^。
→そらさま
アヒルかな・・・と私もチラッと思ったんですが、確か、解説には白鳥ってありました^^。ステンドグラスのある家、素敵ですよね。小さくてもいいから欲しいなぁ。
→YAPさま
古地図、面白いですよね^^。今、自分が住んでるあたりなんかを探してみたり。今ではビル街なところでも、昔は何もない野っ原だったりもして。
→(。・_・。)2kさま
すごいですよね、何百年たっても、その形を維持してるなんて・・・・ミイラみたいに^^。外科医のギルドに飾ってあったっていうから、保存するため何か特別な処置してあるんでしょうね。
→いろはさま
点描画、すごいですよね、延々と点だらけなんですもの^^;。根気があるなぁ・・・と。ステンドグラスも、すごくオシャレでモダンで。家に欲しいなぁ・・・なんて思ってしまいます。もしできるなら、どんなデザインがいいかな、植物模様も捨てがたい、と妄想膨らみます♪
→miffyさま
勝手に弾いちゃいけない感じがするので触りませんでした^^。って、私、楽譜も読めず。ここのピアノ、何かイベントの時に演奏されるのかなぁ。階段の踊り場のタイルもいい組み合わせですよね。周りの雰囲気にぴったり。
→ぼんぼちぼちぼちさま
この蛇口、多分、魚のホウボウだと思います^^。いいですよね。口から水が出るの、好きなんですお風呂屋さんのライオンとか♪
→engridさま
階段オシャレですよね。踊り場の前後で、ステップの弧が逆になってるんですよね^^。こだわりのデザイン♪こんな家を作ってみたい。このミュージアム、ジャンル様々で楽しめました。
→アールグレイさま
お久しぶりです^^。ブログに寄ってくださって嬉しいです。再開されたんですね。このミュージアムはコレクションだけでなく、建物がまた素敵で、凝ってるなぁ・・・と展示室への移動途中もキョロキョロ。
→yk2さま
ビックリ・・・お元気そうで何よりです^^。コメントありがとうございます。素直に嬉しい。本の装丁、なるほど、そうかもしれないです。子供の頃、割と本は好きで、というか本のある雰囲気が好きだったのか、街の図書館にも学校の図書館にもよく行ってたし、古本屋さんを覗いたりも。友達の家に古い文学全集だったか童話集があって借りたこともあったし。食べるの好きな私だから、てっきり「どうぶつヨーチ」のクッキーに似てるからかと^^;。
by Inatimy (2019-10-22 22:05)
面白い記事でした。
「フランドルのケルミス」は、シャガールっぽいし、動物の絵が得意だったフランツ・マルクの雰囲気もあるわね。色がきれい。
2013年のクレラー・ミューラー美術館展の時に、ヤン・トーロップの点描がたくさん来ていました。ヘンドリクス・ペトルス・ブレマーもその時、知りました。ライデン出身の著名人なんですね。
「デ・スティル」運動もライデンで、だったのですね。「デ・スティル」の建築家リートフェルトの椅子に似せたのを昔、使ってました。ライデンはオランダ最古の大学都市って習ったので、古い町と思っていたから、新しいい芸術運動の場所とは意外でした。
スキポール空港が、昔、湖だったのも、へぇ~って驚きです。
by お名前(必須) (2019-10-26 23:01)
上のコメント、ログインしてるものと思って、書いたら、してなかったので、名無しのguestになってしまいました。すみません。
by TaekoLovesParis (2019-10-26 23:05)