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商売道具と職人さん [ミュージアム]

古い窓ガラスが好きだ。

びろろんとしていて、見えそうでよく見えない。

均一でない厚みの透明感

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5月初旬、列車で北上して訪れた街、Enkhuizen エンクハウゼンにある、
Zuiderzeemuseum ザウダーゼーミュージアムでのお話。 

本編と合わせて仕事場編も並行して開始。

屋外展示には、普通の民家の他に、職人さんの作業場お店などもある。

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Borstelmakerij ボルステルマーカライ・・・ブラシ製作屋さん。

建物はエンクハウゼンの北部のVissersdijk フィッサースダイク(直訳:漁師堤防)にあったもの。

1880年頃に街にやって来たHeiman Akker ハイマン・アカーさんは、
この家で、家庭用のブラシホウキを作っていた。

彼の息子も、孫もブラシ製作に携わり、1913年には家の裏に小さな製作所を作る。
1930年には従業員16人。 第二次世界大戦中はドイツ軍に機械を没収されたので製作所は閉鎖。

戦後、二人の孫が事業再開したものの競合相手が増えたため、難しかったようで、
1970年代には製作所をやめたらしい。

訪れた時は誰もいなかったけれど、奥に見えるブラシにユーロの値札があったから、販売もしてるみたい。

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Zaadwinkel ザードヴィンケル・・・種屋さん。

カウンターの上には天秤分銅。 その左側を見ると・・・

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・・・チーズ、卵、豆などが・・・ん?

この家は18世紀初めのもので、所有者は雇われの農夫や市場向け園芸家だったよう。
1832年の書類では、持ち主は農業家Jan de Haan ヤン・デ・ハーン。 
最終住人は彼の二人の孫で、牧畜業者と牛乳行商人。 1955年まで住んでいたらしい。

1972年にミュージアムに移築。 
家の前部分は、おそらくお店として使われていたのではないかと推測され、
それっぽく仕立ててあるよう。

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脇道にある建物に入ると、右手に木の扉に描かれた。 煉瓦に見えるところもペイントされた部分。

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天井からは、がぶら下がる。 薄い水色にオレンジ色がいい感じ。

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棚にもたくさんの。 おや・・・日本発見。

De Beste Japanlak ・・・最高の日本ラッカー?
どうやら、Japanlak ヤパンラックとは、漆(うるし)のことらしい。 

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奥の棚にもパッケージが。 レトロっぽいものが並ぶ。

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脚立を頭上に収納するのもなかなか。 天井が高いからね。

ここは、Schildersatelier スヒルダースアトリエ・・・家屋塗装業者工房

地図に書かれてあったのを見て、最初、画家のアトリエ?と思ってしまった・・・。
Schilder スヒルダーって、画家の他に家屋塗装業者っていう意味もあるんだな。

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写ってないけど、ここには本物の職人さんがいた。

番地、表札、トイレ・・などプレートの仕事を引き受けてくれるらしい。
パッと見、琺瑯のように見えるけど、そうではなく、キレイに塗って書いてあった。

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Timmerwerkplaats ティマーヴェルクプラーツ。 木工作業場・・・

・・・としてディスプレイされてる場所。

道具類は全て、ミュージアムコレクションから選ばれたものらしい。

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棚の上にもいいものが並んでる。 

モノクロ写真のあったところには、以前は錆びついた鍵の束がかかってたんだ・・・なんて、
後で9年前に訪れた時の写真と見比べてみて楽しんだり^^。



作業場に細々と並ぶ多くのものたち。

乱雑に置かれていそうで、そうではない心地よさ。



これも、あそび裕度ってものなのかな。



だから、歪みになる。
完璧でない美しさって、あるよね^^。

nice!(43)  コメント(16) 
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コメント 16

ナツパパ

プレートの色合いと自体が良いなあ。
...あ、形ももちろん素敵です。
「お父さんの部屋」って作ってもらえるのかしら。
オランダ語でなんというのかなあ。
by ナツパパ (2016-09-13 20:07) 

mitu

なんだかワクワクします!
看板描きの職人さんに弟子入りしたいな・・・^^
by mitu (2016-09-13 20:11) 

めぎ

博物館でショーウィンドウに並べて展示するより、ずっと分かりやすく、心に残りますね~
ミュージアムでありつつテーマパークみたいな感じ、とっても素敵。
プレート、作ってみたくなりますね。
by めぎ (2016-09-13 20:20) 

ぴーすけ君

わくわくして写真を見ました。
細かに展示されてますね。
自分たちが いかにラクに生活できているか分かります。
by ぴーすけ君 (2016-09-13 20:54) 

(。・_・。)2k

ペンキの缶 なんだか懐かしい感じがします
こういうのうちにいっぱいありました

by (。・_・。)2k (2016-09-14 00:05) 

竹口要

朽ちた雰囲気がもうたまりません。
缶の錆びとか、木の古めかしさとか~!!
匂いの想像までしてしまいました(笑)
木工作業場も気になります、一見雑に見えて整然と並んでいる感じ。
そして椅子も。

歪みも趣き、ホントそうですよね。
歴史やその人の背景なんかまで感じられたりして、
味わい深さが好きです。
ツマ。

by 竹口要 (2016-09-14 02:43) 

はな

1枚目のガラスの写真、素敵ですね。(^^)
by はな (2016-09-14 08:19) 

ハリネズミ

風車がオランダらしいステンドグラス、これは・・・・高そう!
絵付けタイプのステンドグラスっていちばん高価なんですよね^^;。
塗装業者さんのプレートがすてきで、長期滞在中ならオーダーしたいです。
by ハリネズミ (2016-09-14 08:35) 

angie17

仕事で伺ったレストランに、
ヨーロッパの古い窓ガラスが使われていて、
【ドイツの窓】と呼ばれていた・・・と聞きました。
透き通っていない感じが、良いですよね。

by angie17 (2016-09-14 16:11) 

だいず

いい雰囲気♪
乞ういうトコロで 日本のもの発見すると
妙に誇らしいというか…嬉しいですよね(*´ω`*)
by だいず (2016-09-14 20:21) 

けん

どうもご無沙汰です^^;
昔のガラスはたしかに味があって写真撮りたくなりますよね。
漆がヨーロッパにいってるなんて驚きです。
日本にもこーゆーふーに缶に入って売っているんでしょうか。
気になります。

by けん (2016-09-14 20:27) 

miffy

当時のままのディスプレイ面白いですね。
この道具はどんな風に使ったのかな?って想像するのも楽しいですね。
職人さんの実演を見るのって好きです。
以前、フィンランドのトゥルクにあるミュージアムで閉館になるまで実演を
見ていたことを思い出しました。

by miffy (2016-09-15 20:42) 

mamii

ペンキの缶が沢山ありますね。
看板の職人さんのもので懐かしいですね。
by mamii (2016-09-15 22:01) 

momo

はぁ~(*´ー`)人 ムチャクチャ素敵**
こんなお家に住みたい(笑)
by momo (2016-09-16 09:01) 

engrid

昔のガラスいいですよね
ステンドガラスになってるのかな ペイントかな
均一でない、波打ってるようなところ
そこから眺める、外の景色がすてきなのよね
道具がないげなく、でもきちんとおかれてる
職人さんの仕事部屋ですよね、、眺め回していたい
漆の缶、何に使われてのかな接着剤ふうかな
by engrid (2016-09-18 20:44) 

Inatimy

→皆さま「商売道具と職人さん」のお話にnice!やコメントをありがとうございました。職人さんがそれぞれ使う特殊な道具も、ちょっぴり年季が入った普段見ることのないものだから、珍しくもあり、かっこ良くもあり^^。専門の作業場っていいなぁ。

→ナツパパさま
かっこいいですよね、職人さんの作ってくれるプレート♪ 「お父さんの部屋」オランダ語だと”Paps Kamer”かなぁ・・・。現実、世のオランダのお父さん方は、自分の部屋って持ってないみたい^^;。

→mituさま
こんな風にプレートにスラスラ書けるといいですよね〜^^。トイレのプレートもかっこよかったです♪

→めぎさま
屋外ミュージアム、散歩気分で楽しめるところも気に入ってます♪ 5月だったけど、天気が良くで暖かくって。そうそう、日本でいうテーマパークみたいな感じでしたよ^^。プレート、レンガ造りの家に住んでいたら、頼んでいたかもしれない〜。

→ぴーすけ君さま
なんでも便利になってきてるので、少し前の不便さが懐かしく感じたりして、それも妙ですよね^^。一手間かける、そんな逆戻りも、いいのかも♪

→(。・_・。)2kさま
いろんな種類のペンキの缶、展示されてました。私の実家にあったのは、ニスとか木塀に塗るコールタールの缶だったなぁ^^。

→竹口要さまのツマさま
職人さんの仕事するところって、かっこいいですよね。要さんの作業場アトリエもおしゃれだろうな〜なんて思ってたんですよ^^。身近にあるツマさま、羨ましいです。創り出す人を表す作品、まっすぐそうで、そうではないところ、その何気ない曲線なんかも味わいありますよね〜。

→はなさま
手書きの風車のステンドグラス、このプレートの職人さんのアトリエにありました^^。

→ハリネズミさま
へ〜高いんだ、さすがお詳しい♪ ステンドグラス、風車や模様が手書きでした〜。塗装業者さんのプレート、かっこよかったですよ。持ち家で煉瓦の家に住んでいたら思わずオーダーしてただろうなと思うほど。郵送してくれるのかなぁ・・・なんて気になってたり^^。

→angie17さま
ドイツも古いステンドグラスが多そうですよね^^。ゴシック様式の大聖堂や教会もたくさんあるし♪ ガラスがないようなガラスより、歪んだ風に見える方が目隠しにもなって好き^^。

→だいずさま
ディスプレイが凝っていて、とってもいい雰囲気でした♪ 鎖国中にでも交流があったオランダ。そのオランダで日本のものを見つけるのって、なかなか感慨深いものが^^。

→けんさま
お久しぶりです。お元気そうで何より^^。漆、私もまさかオランダのミュージアムで、何気ない棚の缶の並びに見るなんて思ってもみなかったのでびっくりでした。今、日本だと瓶入り、缶入り、チューブ入りといろいろあるみたいですよ♪

→miffyさま
見たことがあるような道具でも日本のとはちょこっと違ってたりするので、それも面白く。職人さんの実演もじーっと見入ってしまいますよね^^。フィンランドのトゥルクのミュージアム・・・その響きだけでも面白そうでワクワク。

→mamiiさま
たくさん並んでいました、ペンキの缶。古そうなパッケージデザインな上、錆び付いたところや汚れも味わい深いものに^^。

→momoさま
どんどん新しく便利な家が建ったりしてるのに、木造の古い床や壁の家って、なぜか心地よく感じますね^^。移築された家々、たまらなく魅力的でした♪ 

→engridさま
ステンドグラスに」風車や模様がペイントされてるようでした^^。こう言う不均一な波打つ窓だと、家の中が丸見えにならないから、いいなぁって思います♪ 明るさはそのままだし。漆、何に使ってたんでしょうね〜。まさかこんなところで見つけるとは思っても見なくて^^;。
by Inatimy (2016-09-19 19:45) 

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