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夏、冬、部屋の使い分け [ミュージアム]

リビングに、ガラス張りの温室みたいな一画があったらいいなぁ。

それと、縁側も欲しい。

台所天井円錐形で、匂いが上に抜けるようにして・・・


・・・と、望むものを足していくと、へんちくりんな家になるかも。

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5月初旬、列車で北上して訪れた街、Enkhuizen エンクハウゼンにある、
Zuiderzeemuseum ザウダーゼーミュージアム本編の続き。

現在いるところは、ポルダー(干拓地)のエリア。
亜麻を乾燥させるオーブンのある漁師さんの家を見た後・・・

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・・・次に見たのは、こんな家。 庭ではこげ茶色の羊が放牧されていた。

向こう側の傾斜のきつい方の屋根の方にまわると・・・

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・・・入り口から中が見られた。 ここは家畜小屋

解説板によると、アムステルダムから見て北にあるWaterland ワーテルラントにあった農家
その地は大小のが多く、農地も細やかに多くの水路が巡らされてるところ。

になると、家畜小舟牧草地へ送られ、ずっとそこで過ごす。
 
空いた家畜小屋の壁は水漆喰を塗られ、
の期間にがいた泥炭腐食土の敷かれていたところには粗めの砂が。

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さらに、一部は上をで覆って、そこにテーブル椅子が置かれる。

そして、農家の住人は家畜小屋へと移るのだ。  
の間のLDK、彼らはそこで生活をする。 というのも、涼しくて快適なんだそう。

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真正面を見ると、小さな机に調理器具。 その右横に、奥へと続く扉。

あの開いた扉の向こうが本来の人が住む居住空間

11月の初め頃、が来て寒くなってくると、たちは家畜小屋へと戻される。
暖房が必要になってくるので、家族は再び元の部屋へと移るみたい。

・・・と、農家さんの夏の暮らしに驚いた。

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来た道を振り返ると風車がキレイに見えたのでズーム。 カモメやアオサギもいるのが、わかるかな。

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次に入ったのは、こちらの家。 卓上には食べかけのパンや、かじったリンゴが(本物じゃないけど)。

ついさっきまで誰かがいたような展示でリアルな感じ。

テーブルの横に同じ高さの引き出しを置くのはいいアイデアだな。 これは便利そうだ。

この家は・・・

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・・・裏に納屋が併設されている。 その片隅にあった気になるもの。 

今まで見てきた家の多くにもあった。 井戸みたいな囲いの上に、板の蓋。
 
これは Regenbak レーヘンバック・・・雨水を貯める水槽
Regenton レーヘントン(天水桶)と同様、雨樋と繋がってるよう。

 ※ レーヘントンの写真のある記事は、こちら

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納屋と言ってもかなりの広さ。 作業場として使われていたみたい。

解説板によると、この家の主は、
ここで小舟を作ったり修理したり、近所の人のための大工仕事をしていたらしい。

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彼が亡くなった後、二人の息子がその仕事を継いだよう。

彼らは小船の修理をし、余生を魚釣り密漁で送ったらしい・・・。 

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冒頭の写真と同じ温室。 1900年くらいのものだそうな。

この温室も移築されたもの。 
アムステルダムの南西にある街Aalsmeer アールスメーアから。 ←今では世界最大の花市場があるところ。

で、ポルダー(干拓地)エリアからStadsgracht スタッツフラハト・・・都市運河エリアへ。

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次に入ったのは平均的規模の農家で、住んでいたのは夫婦とその娘2人だったとあった。

10頭のと1頭のを飼っていたよう。 
隣接する家畜小屋納屋も大きく、牛乳缶も幾つか並んでいた。

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キッチンらしき部屋。 右に調理用ストーブ。 卓上にも灯油が燃料の調理器具。

天井から下がるランプの傘の淡い緑がキレイだ。

の間、家族はこのキッチンで過ごし、眠るのは屋根裏だったそうな。

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光が差し込む明るい部屋に、白地に青の模様の食器の置かれた円卓。 

この部屋は玄関入ってすぐ右手にある部屋。
1920年代では、家の右側にある部屋がきちんとした最高の部屋だったそうだから
客間とか応接間にあたるのかな。

・・・なんか久々に客間とか応接間って言葉を使った気がする。
一般的に今の日本の家にあるのかな・・・リビングしかない?

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何気なく置かれた作業道具も、心惹かれる。 車輪にが入るだけで心地よく。

この農家さんの一室には、農業貸付銀行のディスプレイもしてあった。

一週間につき数時間ほど営業してる間、
さっきの客間キッチン廊下待合室でもあったよう。

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こちらは、父親が営んでいた洗濯屋を継いだ男性とその家族が住んでいた家。

一家団欒はキッチンのこの部屋で。 今でいうLDKかな。
2人いたお手伝いさんは、洗濯屋の従業員とともに裏に隣接した家で食事してたみたい。

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町の裕福な家庭だったそうで、男性は何回か評議員も務めていたとか。

豪華な調度品で飾られた部屋は、日曜、特別な機会だけに使われたらしい。

洗濯屋の建物の方は、仕事場編でいずれ登場予定。

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やっと14:30頃に落ち着いて食べたのは、林檎のタルト

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手前が私のKoffie verkeerd コーヒー・フェアケーァト。 

オランダ版のカフェオレと言うのかミルクコーヒーと言うのか。

奥がKamoさんのカプチーノ。 

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そうそう、レストランにたどり着く途中で見た家のにあったハート形も可愛いかった。

こんな遊び心もいいね。



家畜小屋LDKになったり、

家の右側が最もいい部屋で客間になったり、

日曜特別な日だけ使う部屋があったり・・・と、季節配置場合による使い分け。


・・・そんな感覚が新鮮だった。



我が家は、夏も冬も、来客も、どんな時でも、ずっと同じLDKで・・・^^;。

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コメント 14

ぴーすけ君

生活臭がするっていうか リアルな再現ですね~。
♥の鍵のところ、かわいい遊び心ですね。
by ぴーすけ君 (2016-09-23 21:20) 

luces

日差しいっぱいの音質が良いなと思います
きれいに維持するのは大変なのでしょうね
by luces (2016-09-23 22:52) 

(。・_・。)2k

どれもお洒落ですねぇ
日本もこういうセンスだったら良かったのに

by (。・_・。)2k (2016-09-23 23:54) 

engrid

ぬくもりがあるのね
木製の椅子やテーブル、サイドの引き出しと
どれも柔らかな線で作られてるからかしら
どの部屋のランプも素敵、、
オシャレで実用的
by engrid (2016-09-24 00:27) 

aru

家の中も外もおしゃれですね。
いいなぁ~こういう自然!
by aru (2016-09-24 06:37) 

アールグレイ

青い壁に茶のこじんまりしたお家、かわいいです^^
室内の家具やインテリアも、ぴったりと雰囲気があって素敵です。
あたたかい感じが、心地よさそう。
青いフローリングに青いカーテンで統一された部屋もシックでいいですね^^
by アールグレイ (2016-09-24 08:37) 

moz

季節によって家の中でも移り住んだりするんですね。
それに用途に合わせての家。使いやすく仕事しやすく済みやすくの知恵なのでしょうね。
色々と望むものを足していくと、そうですね??
ハウルの動く城みたいになるのでしょうか?? ^^;
by moz (2016-09-24 08:56) 

mitu

タルトタタン・・・♪の季節ですね~美味しそうです・・・♪
家の中に土間があったらいいなぁ、温室みたいな縁側とか、ヤギやポニーがいる庭とか・・・望みの暮らしを考えるのは楽しいですね(^・^)
ハート、かわいい^^v
by mitu (2016-09-24 08:58) 

ハリネズミ

作業道具の置かれた壁際に植栽された木、
壁に捕りつけられた木枠からして今後エスパリエ仕立てになるんですね。
客間って祖父母の家や実家にもあったけど、いまの住宅にはないかも。
ときどきしか来ないお客さんのために一室をキープするのって、もったいない!
by ハリネズミ (2016-09-24 09:03) 

よしころん

素敵ですねぇ♪
我が家もなんでもLDK派です(笑)
by よしころん (2016-09-24 19:10) 

miffy

家畜小屋を夏のお部屋にするのって面白いな~
狭いお家だったら同じ部屋の中で家畜と暮らしている所もあるから
あまり不思議ではないのかな。
平均的規模の農家でもそんなに大きな立派なお家に住んでるんですね。
各部屋にあるランプがどれも素敵ですね。
by miffy (2016-09-24 21:31) 

ナツパパ

見応えのある家々です。
ここに言ったらずっと見ていそうだなあ。
家具や雑器食事など、それぞれ時代考証もしているのでしょうね。
作り物ではない雰囲気を感じます。
by ナツパパ (2016-09-24 22:24) 

めぎ

夏は家畜小屋でって、しかもちゃんと改装して使うなんて、面白いですね!
いつもの家はそんなに暑かったのかなあ・・・
家畜さんたちは夏の間は外で寝るのですね~
襲う動物もいないっていうことですよね。長閑ですね。
by めぎ (2016-09-25 03:06) 

Inatimy

→皆さま「夏、冬、部屋の使い分け」のお話にnice!やコメントをありがとうございました。子供の頃は部屋の中の模様替えをよくしていたなと思い出しました。夏は窓辺に近いところにベッドを置いたり、冬は机を明るい窓際に移したり^^。今は、引越しの時にしか配置換えはないなぁ・・・。

→ぴーすけ君さま
さっきまで人が座っていたかのような錯覚に陥る再現でした^^。扉のハートの部分、ドアを開けるたびに微笑んでしまいそう♪

→lucesさま
温室、上部に棚を渡して空間を有効利用してるところもいいですよね^^。ここまできちんと管理するのは大変でしょうねぇ・・・。

→(。・_・。)2kさま
遠く離れた日本とはまた違ったセンス、色使いやら、道具やら、暮らし方やら、いい刺激になりますよね^^。

→engridさま
昔のものって、曲線の装飾が多いですよね^^。なめらかな感じで視覚的にも優しく、気持ちも和むような。ランプの明かりも柔らかそう。

→areさま
とってもナチュラルな屋外展示でした。ぶらりと散歩する気分で、あちこち中を覗いて^^。天気にも恵まれて良い日でした♪

→アールグレイさま
色の使い方が面白いですよね。家も、外から見ると小さそうなのに、中を覗くと広い・・・みたいな^^。懐かしさの漂うアンティークなものたち、インテリア雑誌のようでした♪

→mozさま
夏に家畜小屋に移る大胆な部屋の使い方には、ただただビックリ。オランダの夏、日本に比べると涼しめですが、たまには猛暑の日もあったんでしょうね。ふふ、ハウルの動く城、私の好みを足していくと、そんな感じになりそうです^^。

→mituさま
5月の話・・・今はもう9月の終わり、すっかり古くなってしまいましたね^^;。オランダ、リンゴのタルトは年中食べられます♪ 私のオランダの冬のイメージはアップルボルかな。丸ごと林檎を生地で包んで焼いたお菓子でカスタードソースなんかを上からかけていただきます♪ あ〜土間のある家もいいですね〜^^。ロバも飼いたいな。

→ハリネズミさま
私もレンガの壁の木枠に、これはいいな、と感嘆でした^^。何の木だろう・・・林檎系かな。客間や応接間、昔はそんなに頻繁にお客さんを迎え入れてたのかしら、って思いますよね〜^^。我が家なんて、食卓ですら作業台と兼用になったりもするし・・・。

→よしころんさま
レンガの家、いいですよね^^。私にとっては子供の頃読んだ「三びきのこぶた」の世界♪ なんでもLDKで住むのって便利ですよね〜。お客さんが来ることで、いつもより片づけに力が入ったり^^;。

→miffyさま
平均的って本当に国によって違いますよね、その尺度。TVで見てても、家計のやりくりに困ってますって人たちが住む家って普通に大きな庭がついてるし、部屋数も4〜5部屋ありそうなんですよ^^;。展示されてた家のランプ、飾りがいろいろ付いてて綺麗でしたよ〜。

→ナツパパさま
いつかオランダにお越しの際は、ぜひこのザウダーゼーミュージアムへ♪ 生活雑貨もミュージアムのコレクションで、とっても魅了されるものばかりでした^^。さりげなく置かれてるものでも、陶器だったり、木製だったり、素材もさまざま。家具、調度品もじっくり見てると、あっという間に時間が経ってしまいそうです♪

→めぎさま
壁まで塗り直して、ってすごい手のかけようですよね^^。割りと涼しめなオランダだけど、たまには急に気温が上がる猛暑の日も昔もあったんでしょうね〜。扇風機もウチワもないだろうし・・・。家畜小屋から牧草地に移される牛たち、ワーテルラントは水の大地のその名の通り、水路が多くって、周りを水で囲まれたような牧草地が多いんですよ。だから襲う動物も水路を渡らないと牧草地に上がってこられないという^^。
by Inatimy (2016-09-26 21:16) 

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