白く包まれる [野・並木道]
まだ、野でキツネやタヌキは見たことがないけれど。

前回の話、氷点下の並木道に行った日の続き。 南の街へと続く農道を歩く。
歩行者、自転車、たまに農作業車が通る道。 許可ない自動車は通れないみたい。
農道にはアスファルトが敷かれた部分。 草は霜で白っぽく。

途中、農道から見た並木道。 東の方へずっと続いてる。

目指す木はあそこ。 ここ、私は左側を歩くようにしてる。
自転車は右側通行なので、同じように右を通ると後ろから自転車が来ても分からない。
左側を歩けば自転車と対向になるから、早く気づけてよけられるのだ。
前方に馬に乗った人。 来るかな、と、馬が横を通るのを想像してドキドキ・・・

・・・でも、曲がって、水路を超えていった。

遠くの囲いにも馬。 家に帰るんだなぁ。

馬に乗った人が歩いていった道。 後ろ姿は小さく点になっていった。

白い。 木材も、草も。 そして私が吐く息も。

キーンと音がしそうなほどの寒さ。

シンプルな線で構成された風景がどこまでも続く。

振り返って見る並木道。 遠くに薄ら。

柵の向こう、野の真ん中からは、アオサギがじっとこっちを見つめていた。
私も黙って見つめ返したり。

犬の散歩のおじさんと挨拶を交わし、後ろ姿を見送る。

白い霧の中に消えていった。
・・・え、霧? 白い! 目指していた木も、いつの間にか消えてる・・・。
太陽も肉眼で見えるほど、厚い層の向こう側に。

慌てて振り返ると、さっきまで見えてみた並木道がない。 すっかり白い霧に飲み込まれていた。
だんだんと濃くなり、周囲から押し迫まるような霧。 ・・・と、ここでカメラのバッテリーが切れた。
氷点下だとバッテリーの消耗が激しい。
一瞬にして心細くなって来る。 広い野にひとりっきりだ・・・。
農道脇でしゃがんで、交換。 どうしてだか、気持ちが焦る。
映画なんかで、急いで逃げたいのに車のエンジンがかからないシーンが頭に浮かんだ。

動く気配は横の水路で氷上を歩くオオバンだけ。 あたりを見渡しても誰もいない・・・他に誰も。
白い霧に包まれて、このまま消し去られてしまいそうな感じになる。
ふとKamoさんの話を思い出した。 霧の日でもなかったそうだけど。
出張先で外食後、のどかな村でホテルに戻る道が分からなくなったという。
30分あまり彷徨い、きっとあれはタヌキに化かされたんだ・・・と。
どうにも寂しくなって、来た道を戻った、足早に。 気がつけば、走っていた。

突然、目の前に現れた並木道。 歩いてる人を見かけてホッとする。

白鳥は、まだ野の同じところにいた。 何そんなに慌ててるの?とでも言いたげな顔。

犬の散歩のおねえさんについていく。
前に誰かが歩いているのは、少し安心。
車で山道を走る時、前の車の動きでカーブを知るのに似た感じ。
といっても、ここはまっすぐ一直線の並木道なんだけど・・・。

帰り道。 一匹の羊がこっちを見ていた。 自分を励ますように羊に手を振ったのだった。
・・・と、前記事と合わせて、ほんの1時間ほどの南の並木散歩。
しかし、この何日か後、再び南の並木に行くことになる。
その話はまた別の機会に。
みなさんなら、どう?
濃霧でも引き返すことなく、先まで行く?
タグ:並木道
空気が冷たくって 白い息がはぁ~って
寒そう~。
by ぴーすけ君 (2015-02-03 20:18)
心細くなりそうです。
太陽の光が届くまで時間がかかるのですね。
お日様がありがたいと感じます。
by ami (2015-02-04 06:03)
お馬に乗った写真も犬の散歩をしているお姉さんも
シルエットがとても素敵ですね。。
引き込まれそうな感じで・・静寂のなかに浮かび上がる
シルエットがとても素敵です。^^
by baby_pink (2015-02-04 06:51)
連れがいるならいいけど、ひとりぼっちじゃこの濃霧、
不安にかきたてられて私も即、回れ右~!
そして私も走るだろうなぁ^^;。
馬に乗った人は趣味の乗馬ではなく、移動手段として
馬を使っているのかしら。
by ハリネズミ (2015-02-04 10:04)
前半のワイドな切り取りいいなー
霧の世界ステキだね☆
霧でにつつまれた風景って幻想的で大好き
雪山に向かう途中の農道で
1メートル先も見えない朝霧の中を車で走ったときは
とてもわくわくしたよー(・∀・`)
by ふゆん (2015-02-04 10:59)
幻想的な景色に目が釘付けです。
素敵だなあ。
お住まいの方々のは日常的な風景、でも、わたしは
非日常の雰囲気に酔いました。
by ナツパパ (2015-02-04 12:18)
一人は心細いよ~(;´д`)
馬、普通に車道歩いていますよね。
ラウンドアバウトも車と同じ車線に入っていて
最初見たとき「馬!!??」と驚きました。
こちらも毎朝氷点下で、田舎道は凍ってガチガチ。車の運転が怖いです(>_<)
by ねこの手 (2015-02-04 18:55)
氷点下って何度?
全身に貼るカイロはらないとやっていけなさそう(^^;
霧の世界。恐いけど映画ミストを思い出しました。。。
by けん (2015-02-04 22:48)
こうして見ると幻想的ですね~空気感が素敵です。
濃霧だったら・・・知っている道なら行っちゃうけど、知らないところはやめておくかな。
足下も見えなくなって、まっすぐの道でも落っこちちゃいそうだし。
それに、自転車が来たらと思うと怖いですよねえ。
by めぎ (2015-02-05 01:15)
馬に乗っている人と遭遇するって、素敵ですね~^^
霧がかかった風景もすてき。
うん、でも確かに不安になりますね。
私は突き進んで迷子になるような気がする(笑)。
by hatsu (2015-02-05 06:29)
さ、さ、寒そう~!
私は小心者なので、間違いなく引き返します^^;
馬を日常に乗ってるってかっこいいなぁ。
映画の中の風景みたいです。
by akko (2015-02-05 09:05)
絵本の中の世界みたいですね~
それにしても寒そうです
ハーって息をはくと、ゴジラごっことかできそうですね(^^)
by mitu (2015-02-05 10:18)
氷点下の並木道
白い霧に草には露がありていて、幻想的。
こちらも早朝は、草が白くなっていますが、日差しと共に消えていきます。
そちらは、日中も続くし、霧が濃くもなったりするのですね。
見えなくなると、不安になりますね。
人の姿に安心するお気もちがとてもよく伝わってきます。
羊は癒されますね^^
by アールグレイ (2015-02-05 13:29)
深い霧ですね~。幻想的ではありますが、ちょっと怖いくらい。
by 母ちゃん (2015-02-05 20:25)
霧の中に一人取り残されるのは心細いですね。
異世界に迷い込んじゃったみたいな感じ。
馬に乗った人が違う時代の人みたいに見えました。
不安だけど、私だったら戻るよりも先に進むかな~
知らない世界を見てみたいです。
by miffy (2015-02-05 21:26)
すごい!
印象派の世界。
馬が登場なんて・・・。
どれもうっとり見惚れました。
ローアングルの特に好きだわ♪
by shino* (2015-02-06 00:19)
幻想的
もう魅了されて見とれるばかりです
人の姿に、なにか生きてるそんな感じを受けたりもします
by engrid (2015-02-06 00:41)
素敵な風景・・・・* と言ってられないんですね;;一人っきりで
濃霧が・・・となったらやっぱり引き返しますね、私も。
目的地目指して歩いてるなら、早足で目的地に急ぎますが。
私が生まれ育ったところは一面田んぼの平野ですが、
祖父に、たぬきに化かされた話をよく聞きました。
村から村へ歩いていると、全然辿り着けないんだそうです。
by のの (2015-02-06 12:55)
今回は「いなちみぃ~地元で遭難する」の巻かと思った(笑)。
by yk2 (2015-02-07 17:10)
→皆さま「白く包まれる」のお話にnice!やコメントをありがとうございました。霜が降りて野が真っ白、道端の草も真っ白で、まさか私自身も霧で白く包まれることになろうとは・・・。あんなに青い空も見えてて晴れていたのに^^;。月曜の今日は気温も上がって6℃くらいかな。ベランダのクロッカスやムスカリ、まだ芽が出ず・・・。大丈夫かなぁ。
→ぴーすけ君さま
氷点下の日、キーンと空気まで凍ってる気がして、寒かったですよ〜。モコモコの厚着です^^。
→amiさま
曇りの日が1週間続いたりしてたので、太陽の光がとっても貴重な冬。ウキウキして出かけて、晴れて青い空が見えていたのに、急に白く薄暗く、寂しくポツンと野っ原にひとりでした・・・心細かったです^^;。
→baby_pinkさま
朝もやの中でぼんやりと浮かび上がるシルエット、いい雰囲気でした^^。くっきりした風景も美しいけれど、こんな物の境界線が曖昧な風景も、別の穏やかさがあって落ち着きますね。・・・真っ白の中はちょっと寂しかったけど^^;。
→ハリネズミさま
他に歩いている人がチラホラいたならまだ大丈夫だけれど、真っ白で誰も他にいないとなるとねぇ・・・神隠しにでも遭いそうな^^;。しかも氷点下でスゴく寒いし。馬に乗った人は、この近くの農場の方みたい。移動手段でもあり、趣味でもありかも。移動手段に自転車が多いオランダ、節約の意味でも馬はさらにいいかも。こがなくていいし^^。
→ふゆんさま
他に人がいれば、ワクワク気分どまりだったけれど、誰もいなくなったら、ものすごく寂しくなって来て^^;。家にいる時に窓の外が真っ白だと、ずっと窓辺に張り付いてスゴーい、って見てます^^。雪山の霧もワクワクしますよね〜。スキーのリフトに乗ってる時の濃霧とかも、ドキドキしたなぁ。
→ナツパパさま
最初は青い空が見えていたのに突然の濃霧のために1時間で切り上げ・・・。心細さに耐えられず。濃い霧の日もよくあるんですが、歩いてるところは人がまだ多いので、こんな野っ原の真ん中でひとりは初でした^^;。Kamoさんが一緒なら幻想的で素敵な雰囲気をもっと堪能してたかも^^。
→ねこの手さま
馬、普通に歩いてますね〜。アムステルダムの中心も騎馬警察で、馬に乗った警官もたくさんいるし。馬大活躍。車に乗らない私ですが、自転車でも怖くって、歩いてますね^^。健康にはいいかな、運動不足気味だし。
→けんさま
この日の氷点下は、マイナス5℃でしたが、風もあったので体感温度はマイナス8℃くらいかな。ダウンコートでモコモコになって外に出ました^^。映画「ミスト」怖いですね〜、予告編探して見ましたよ・・・原作がスティーブン・キングだというのに納得・・・^^;。これ見てたら、野っ原でもっと怖くなってたかも。
→めぎさま
幻想的な風景ですよね〜。きっとKamoさんと一緒だったら、先に進んでただろうけど、ひとりだとどうも心細くって。ワクワクよりも寂しさが勝ってしまいました。そうそう、霧の中から突然自転車がくるのも怖いかも。ランプを点けてるとはいえ。
→hatsuさま
ここを歩いてると、その近所の農場の方が馬を連れてたり乗ったりしてるので、出会うたびにドキドキ。つややかな毛並みも素敵なんですよ。ここの農道は隣町まで一直線なので、迷うことはないけれど、あの先まだ2km以上はあったので・・・^^;。誰にも会わずに2kmは心細すぎ〜。
→akkoさま
体感温度マイナス8℃はブルブル寒かったです・・・手袋してても手先が冷たくなってきて。寒いし、心細いしで、私もこれ以上は無理〜と引き返しました^^;。久々に走りましたよ、こけなくってよかった〜。馬飼ってるお家も多いからか、本屋さんには馬の雑誌も。馬の塗り絵もありました^^。
→mituさま
もうハーっ、ハーっして、ゴジラごっこで頭がくらくらするほど遊べるかも^^。寒い日でした。散歩の犬も足冷たかったでしょうねぇ。
→アールグレイさま
この日は出かけたときは青空で天気がよかったんですよ。なのに突然白く霧が押し寄せてきました。ひとりだとさすがに心細くて、さっさと帰路へ。その後は一日中どんよりと霧の濃い薄暗く・・・。いつもならまばらで草を食んでる羊もみなと群れてかたまっていましたよ。
→母ちゃんさま
本当に濃い霧でした。幻想的なんですけどね、恐がりなので、ひとりだと心細く、大急ぎで引き返し^^;。走って、こけなくてよかったです。
→miffyさま
度胸がありますね〜miffyさんは。濃霧でも先に進んじゃうとは。先にコメントいただいた方の中に、映画「ミスト」というのを教えてくださって、その予告映像見たら余計に怖くなっちゃいましたよ。馬に乗った人、素敵ですよね。馬を飼ってる人、オランダ多いようで、道路でも馬の乗った専用車を牽引して走ってます^^。
→shino*さま
馬、牛、羊、鳥・・・と野ではいろいろ遭遇するのがとっても楽しく^^。メトロの駅からすぐなんですけどね、ここの野は。ローアングルの、すっごくあやしいげな姿で撮ってます^^;。この日の後、また何日かしてこの野へ。写真たまってしまって・・・整理しないとなぁ。
→engridさま
白鳥も羊も、氷点下でも動物たちはそのまま外で・・・たくましいですよね〜。幻想的な雰囲気の中、ワクワクを超えて、心細くなって、帰り道の羊に和みました^^;。
→ののさま
誰かと一緒ならもっともっと幻想的な風景の中で写真を撮ってたかもしれないんですけど、妙に寂しくなって来て、寒いし、お腹も減って来たしで、引き返しました^^;。やっぱりタヌキに化かされることってあるんだ・・・Kamoさんもホテルから近くのところで食事して、来た道を引き返したはずなのに、って言ってましたよ。
→yk2さま
きっとあのまま先に進んでたら「いなちみぃ~地元で遭難する」の巻だったかも^^;。今まであちこち異国の街に住んだり旅したりしてますが、何事もなく無事なのは、この恐がりな性格のおかげもあるかも♪ 濃霧で足下が見えずに、水路に足突っ込んでブーツが濡れちゃうのも嫌だしな〜・・・って、誰かさんの海でのことも思い出してたのでした^^。
by Inatimy (2015-02-09 18:18)
ふらっと寄った異国の地だったら戻る。
知ってる近所だったら進むかな。
それにしても深い霧だね。
by カエル (2015-03-14 14:45)