SSブログ

ノコギリ、雨水、燻製 [ミュージアム]

何気なく、そこにあるものでも

バックグラウンドがあるんだな。

enk16jb31.jpg
5月初旬、列車で北上して訪れた街、Enkhuizen エンクハウゼンにある、
Zuiderzeemuseum ザウダーゼーミュージアムの続き。

洗濯物がなびく漁村のエリア。 昔はUrk ウルクの街にあった家々の並ぶ辺り。

前記事の洗濯のおばさまも、ニシンを焼いてたおばさまも、漁の網を編んでいたおじさまも住人ではなく、
昔の暮らしぶりを実演して見せてくれるミュージアムで働く人たち。

定時になれば、ミュージアムは終了。 本当の家に帰っていく。

enk16jb32.jpg
次に入った家は作業場みたいなところ。 壁にノコギリが並んでいた。 かなり錆び付いてしまってる。

日本とは異なるノコギリの形。 木製の取っ手の部分、凝ってるなぁ。

enk16jb33.jpg
反対側の壁に取り付けてあった、引き出し棚。 サイズ様々な大きさの引き出し

棚の左側にあった作業台には、かんな、のみ、金槌など並んでいたから、大工さんだったのかな。

enk16jb34.jpg
大工さんの家の前からは、風車が見えた。 その土手の向こうに、もともとはだったがある。

enk16jb35.jpg
通りがかった家の窓、ふと気になって覗いてみた。

無造作に積まれた青い縁取りの白い琺瑯マグカップ。 琺瑯の計量カップもいいなぁ。

enk16jb36.jpg
壁紙がバラのモチーフだ。 この部屋はミュージアムのあるエンクハウゼンの古い家。 

街の北部のVissersdijk フィッサースダイク(直訳:漁師堤防)に建っていたのを移築。 
そこは1361年にできたエンクハウゼンで一番古い漁港だったところ。

ニシン漁が盛んで、かつてはニシン水産業の中心の一つだったエンクハウゼン
それゆえ、街の紋章にも3匹のニシンがいる。

裕福なニシン商人は、ニシンを積んだ船を南欧バルト海へと送り、
帰りは穀物を積んでオランダへと戻っていった・・・と解説プレートに。

あれ、壁にかかる額・・・知ってるような・・・と思ったら、オランダの画家レンブラントの作品だ。
「ガニュメデスの誘拐」1635。 飾ってあるのは、そのモノクロのポスターかも。

enk16jb37.jpg
さらに行った先の煉瓦の家の壁際に大きな樽(たる)が2つ。 その上にが。 しかも木製雨樋だ。

なんだか、素麺でも流れてきそうな感じ。

enk16jb38.jpg
でも、そうではなくて、雨水を貯めていたよう。

軒下のを流れるが、から落ち、手前に向かって突き出てるへと進んで、の中へ入る仕組み。

このは、regenton レーヘントン。 日本語だと天水桶(てんすいおけ)

日本の古い天水桶はTVや映画の時代劇でもたまに見かける。 
大きな桶の上に、手桶がピラミッド状に積まれて三角屋根になってるもの。

enk16jb39.jpg
そろそろ漁村から離れて、ポルダー(干拓地)のエリアへ向かおう。

次に入ったのは、写真の左端にちらっと見えている

enk16jb40.jpg
一番気になるのは、やはりキッチン。 

暗くなった時の灯りは、壁にかかっているランプだったんだな。 ホヤが細い。

enk16jb41.jpg
ここにも古い調理器具のPetroleumstel ペトロレウムステルが。 芯が2つあるタイプだ。

淡い緑色のは、Petroleum ペトロレウムと読めたから、燃料の灯油入れ。 2リットル入るよう。

enk16jb42.jpg
青い琺瑯のコランダーの下には、大小のフライパン、木靴・・・ 

・・・そして細い口のついた青い容器も。 先の淡い緑のと同様に灯油を入れるもの。
どちらもPetroleum kannetje ペトロレウム・カネチェというらしい。

enk16jb43.jpg
こちらが居間のよう。 興味深いものがあちこちに。

中央にヤカンののった暖房用のストーブ。 その煙突が伸びる壁の方には調理用のストーブも。

糸車のようなものや、編みかけの漁網、編んだ座面の椅子
テーブルの下には、四角い箱のVoetenstoof フッテンストーフ
熾火(おきび)の入った陶器の器を、上面に穴の空いた木箱に入れて使う、足元のストーブ。

天井からぶら下がるランプも燃料は灯油かな。

enk16jb44.jpg
その家には小屋が付いていた。 植物の亜麻を加工したり、釣り道具をしまっていたらしい。

この家の主は、日雇い労働者であり漁師でもあったJan Heeringa ヤン・ヘーリンハ
1898年から妻と7人の子供と共に暮らしていた。

もともとはオランダ北部フリースラント州にあるKoehool クーホールのという街にあった。
ワッデン海に面したZeedijkゼーダイク(直訳:海堤防)という地に建っていたけれど、
堤防強化のため、家が取り壊されることになり、1970年にミュージアムに移築されたよう。

enk16jb45.jpg
こちらは小屋のそばにあったVlasoven・・・訳は、亜麻オーブン

亜麻は、種は亜麻仁油に、茎は繊維にと使われる。 
その加工にはかなりの時間と手間がかかるので、近隣の漁師が一時的に雇われたんだとか。

亜麻オーブンは、茎から繊維を加工するその過程で、茎の乾燥に使われた。

enk16jb46.jpg
ミュージアムに移された今、亜麻オーブンの中には、意外なものが。

亜麻オーブン燻製に利用され、訪れた人々にニシンの燻製が販売されていたのだ。
他に新しい燻製機も2台ほど稼働中。

この日も、大盛況で買う人の行列。 周りで昼食にと美味しそうに頬張る人々がたくさんいた。

enk16jb39b.jpg
我が家は、この辺りで持ってきたおやつを食べた。 やっと3分の1くらいまできたところかな。

ザウダーゼー沿岸に暮らしていたオランダの人々の暮らし、
見慣れぬもの、知らないこともいっぱいだ。



普段の暮らしでも、ただ目に映るものとして、眺めて終わってしまってる事が多いのかもしれない。

何をどんな風に見るのかで、<見えてくるもの>が違ってくるような気がする。
もっともっと注意深く気にかけるようにしないとなぁ・・・^^;。


みなさん、楽しい週末を♪

nice!(41)  コメント(14) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 41

コメント 14

だいず

調理器具も ちょっとした所が かわいいなぁ
ストーブ…エアコンとは違った暖かみがありますね(*´ω`*)
by だいず (2016-09-09 21:37) 

めぎ

ああ、やっぱり実演だったのですね。
村がミュージアムに移転したとどこかに書かれていたんでしたね。
しかし、ずいぶん本当の暮らしっぽい実演で、凝ってますね~
手作りっぽい引き出し棚、いい味出してますね!隙間があるところがナイス♪
by めぎ (2016-09-10 04:45) 

よしころん

その国、その土地での暮らしが垣間見えるよう♪
木製の雨樋、確かに流しそうめんできそう(笑)
by よしころん (2016-09-10 07:11) 

mitu

樽に雨水貯めるのは、こちらでも見たことがあります!
クラインガルテンという、農園付コテージを見学した時でしたか?
植物の水やりなどに利用する仕組みのようです、なかなかエコですよね^^。

by mitu (2016-09-10 08:03) 

(。・_・。)2k

壁の色とかお洒落ですよねぇ
ペンキを自分で塗りました的な出来が
なんとも素敵(^^)

by (。・_・。)2k (2016-09-10 11:32) 

ナツパパ

生活感が素敵だなあ。
実際すぐ前まで暮らしていたようです。
白く青線の入ったマグ、良いなあ。
by ナツパパ (2016-09-10 15:35) 

luces

キッチンのたたずまいがまるで絵のようです
by luces (2016-09-10 21:36) 

miffy

そういえば、北欧の博物館でも同じように住人役の人がいました。
薔薇の壁紙のお家のキャビネット素敵ですね。
青い壁のお家の家具も良いな~
古い物を大切に保存していくのって素晴らしいですね。
by miffy (2016-09-10 21:39) 

ハリネズミ

古いお家の登場人物として働くスタッフさんたちがいるの、いいですね。
「箱もの」だけよりそういう演出があるほうが当時の暮らしを実感できて。
ホウロウの計量カップ、ふたつ所有してます。
そのひとつが写真のと同じタイプ。
いつも観葉植物の水やりに使ってます^^。
by ハリネズミ (2016-09-11 07:15) 

アールグレイ

ミュージアムの実演、まるでそこで本当に生活しているような雰囲気を漂わされていて、さすがですね^^
木靴や風車、オランダらしい光景、いいですね。
青い空のもと、緑の野っぱらに、風車がゆっくり回る様子、和みます^^


by アールグレイ (2016-09-11 07:35) 

竹口要

川と芝生と風車の風景・・・大好きです。癒されます。
確かに、日常のふとした光景に沢山のことが詰まっているのに
何気なく見過ごしたり忙しさに流されたり・・・
目の前のことを一つ一つ大切にできたら人生の輝き方も
まるで違ってきそうな気がします~!!
ツマ。
by 竹口要 (2016-09-12 12:43) 

Inatimy

→皆さま「ノコギリ、雨水、燻製」のお話にnice!やコメントをありがとうございました。家の壁に解説版はオランダ語、英語、ドイツ語の3カ国。それだけでは分からない、異国から来た私には見慣れぬものもいろいろで、とりあえず撮って、後で調べたというものも多いです・・・^^;。亜麻の繊維の工程なんかも、最近はネットで調べられるから便利。

→だいずさま
学校のストーブを思い出しましたよ^^。高校は二日に1度の給油だったので、初日に使いすぎると二日目に寒い思いをしたり・・・。周りに座ると、ほっぺがほんのり赤くなってくるストーブ、こんなのもいいですよね♪

→めぎさま
そうなんです、実演でした^^。村丸ごとじゃなく、あっちこっちのザウダーゼー沿岸の町からの魅力的な家々の寄せ集め。実演でもリアルですよね〜。まさか、そこで昼食の料理もしてるなんて。引き出しいっぱいの棚、ドイツ人さんだったら、もっと凝ったすごいのができそう♪

→よしころんさま
江戸時代に鎖国中でも交流があった国、オランダ。教科書では習っても、その後のオランダって知らなかったので、不思議な感じです。こんな生活してたんだ、と^^。雨樋を見て流しそうめんを思う私に共感してくださって嬉しいです♪

→mituさま
樽に雨水をためるのって、なかなかいいですよね。長く雨が降らない時期の備えでのことのようですが、狭いベランダ小庭なのに夏の水やりの量が半端なかったので、こんなの欲しいと思いました^^;。

→(。・_・。)2kさま
そうそう、色使いもまたオシャレなんですよね〜♪ それに今みたいに、コンプレッサーで吹き付けるような塗り方じゃなくって、味わいがあって^^。完璧じゃない、それでもいいんだって思えます♪

→ナツパパさま
ミュージアムの家々の中に琺瑯の食器や鍋、いろいろありました♪ そんな風に琺瑯のものって私が子供の頃にはもっと暮らしの中にあったのに、プラスチックが増えましたよねぇ。私自身はそそっかしいので、琺瑯のものってきっとすぐに欠けさせてしまうだろうな^^;。

→lucesさま
オシャレなキッチンですよね〜^^。灯油が燃料の調理器具、線もホースもないので、どこでもキッチンになるのも便利そう♪

→miffyさま
古い家具って味わいありますよね。大事に使って色まで深みが出てきて。私も祖父が使ってた書棚など、お気に入りで、実家に預かってもらってます^^。

→ハリネズミさま
目の前で生の暮らしを見てる錯覚に陥りますね^^。誰もいないと思って入ったら奥のキッチンに人がいて、思わず遠慮ちゃったりも。琺瑯の計量カップ、お持ちなんですね、いいなぁ。私の持ってるのは、プラスチック。なんせそそっかしいもので、耐熱ガラスの計量カップですら買ってないという・・・。琺瑯もすぐに欠けさせてしまうかも^^;。

→アールグレイさま
実演、本当にリアルな暮らしを見せてもらえて、道具の使い方もよくわかりました^^。廊下から見るだけの部屋の展示ですら、今にも住人が帰ってきそうな気配で、自然な感じ♪ 風車のある緑の野のそばでは、羊さんもいました。暑い日だったので、柵の日陰に隠れてましたけどね^^。

→竹口要さまのツマさま
のどかな風景、和みますよね〜^^。風車があるとまた格別。先ほどツマさまの昼食のお話を読んで、ますます、丁寧に暮らさねばと改心の気持ちを抱いたという。ご飯、もっと炊いてみよ♪
by Inatimy (2016-09-12 19:38) 

momo

へーーーーーー!!(@@)ミュージアムで働いてる人たちだったのですね。
すごい面白いミュージアムですね!
あ・・・日本で言うと、日光江戸村とか!?(笑)そんな感じかな??
by momo (2016-09-16 09:03) 

Inatimy

→momoさま
そうなんです、ちゃんと時間になると本当のお家に帰って行かれます♪日光江戸村ってところ、あるんですね〜。検索して写真見てみました^^。面白そう〜。藍染体験とかしてみたいなぁ。
by Inatimy (2016-09-16 18:22) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。