ふたりが見てるもの [森・野]
「ちょっと戻って写真撮って来るから。」
その言葉に「一緒に行くー。」と、慌てて自転車を方向転換し、ついて行った。
年が明けて初めてのAsterdamse Bos アムステルダムス・ボス(アムステルダムの森)。
ほとんど風のない穏やかな日で、水路が鏡のようだった。
背の高い枯れ草ばかりが広がる野。 冬の終わりはまだまだ見えそうにない。
Kamoさんが選んだ撮影ポイントで、私は地面にしゃがみ込む。
足元はやわらかい。 湿った腐葉土が堆積したその上には、朽ち果て、透けたレース状になった枯れ葉。
網のように残った葉脈。 葉の隅々にまで張り巡らされていた繊細な小路。
その時、ふと目に入った鮮やかな緑。 周りの地面のあちこちから、小さな小さな新芽が。
さまざまな形の葉っぱ。 たくさんの植物が足の下で春に向かって動き始めてる。
水際ぎりぎりに転がっていた倒木。
湿って崩れかけた樹皮は緑の苔に覆われていた。 目を凝らしてみると何やらぽつぽつ。
灰色の空に向かって伸びつつある茶色い芽らしきもの。
でもこれは芽ではなく、朔(さく)というものらしい。 中に胞子が入ってるのだそう。
一見何も変わらない風景の中。 見えていないところで静かに進む春への準備。
自転車を置いたそばの木々も、枝からあふれ出るかのように若い緑が。
この日、しゃがみ込んで子供のようにじーっと地面を見つめる私の横で、
Kamoさんはモノクロで風景を撮っていた。
似てるけど微妙に違う。
一緒に過ごす時間でも、興味の矛先はふたり、それぞれ。
だから面白いのだ。
ふたつの視点は、そんなふうに広がっていく。
※ 写真はSONY。
タグ:自転車散歩
まだまだ寒いですが、足元には新芽たちが春を待っているんですよね。
ふたりが別々に見ていたものを、あとでお互いが報告しあえば、世界が広がりますね。
我が家の庭にもコケが生えていますが、この寒空に青々としていて、芝生のようです。
コケの茶色いのは胞子が入っているとは知っていましたが、名前は知りませんでした。「朔」というのですね。勉強になりました。
by ねこの手 (2014-01-21 19:44)
そろそろ春の足音が...まだまだ遠くですけれど...。
こうやって楽しみが見つかると嬉しいですね。
by ナツパパ (2014-01-21 20:38)
しゃがんでみると見えなかった景色が見えてきますね
命の息吹を感じます
by luces (2014-01-21 21:37)
春がすぐそこまで、来ているんですね。
by テリー (2014-01-22 00:36)
見ているものも違えば、印象に残ることも違いますよねえ。
そういう違いがあるからこそ二人の良さがあるんでしょうね。
by めぎ (2014-01-22 04:24)
ダンナさまは雄大な風景を、Inatmyさんはしゃがみこんで
地際に広がる小さな世界を、おふたりが見ているものは違っても
同じ時空を共有ってしあわせな安堵感に包まれますよね♪。
瑞々しい苔、最近ちょっと気になるグリーンです。
盆栽のコーナーでそっと触れてみて、ベルベットのような感触を
楽しんでみたり^^。蕊のようなものは「朔」っていうんですね。
その名前、私も初耳です。
by ハリネズミ (2014-01-22 07:29)
同じ場所でも違う視点での撮影だったのですね。
茶色い世界の中にも春の息吹が芽生えてるのですね。
by miffy (2014-01-23 20:03)
何気ない自然のしかもこんな小さな世界をにピントを合わせて
それぞれに感じるものが大きくて、共有できる時間を持てる・・
贅沢で大切な時間ですね☆.。.:*・
by あげぱん (2014-01-23 20:06)
枯れ草を見ると、冬の寒々しさを感じちゃいます。でもその中で発見した春の気配は気分がほっこりして、うれしいものですね(^^)
by 母ちゃん (2014-01-23 20:06)
1枚目の写真、エッシャーの絵(水面下に魚がいるやつね)を思い出すなぁ。水面に映る木はくっきり。手前と背後は程良くボケていい写真。
by yk2 (2014-01-25 10:40)
3枚とも素敵な写真ですね♪
あえて1枚選ぶとするなら、最後の写真が気になります。
色鮮やかな苔と茶色い朔の対比が可愛くて面白いです。
なるほど~、苔ってこうやって胞子で増えるのか~ヾ( ̄ー ̄)ゞ
私も小さいものを撮るのが好きなんです、マクロレンズが欲しいーーー
by りゅう (2014-01-26 23:35)
→皆さま
『ふたりが見てるもの』のお話に、nice! & コメントありがとうございます。 好みは似てるけど、やはりそれぞれ興味があるものが微妙に違ってるので、焦点を合わせるものが違うのが面白く。 ふたりともが見てるもの、どちらかが見てるものもあれば、ふたりともが見ていないものもまだまだあるんだなぁ・・・。
→ねこの手さま
我が家はふたりがカメラを持ってて好きなものを撮影。 あとでPCに取り込んだ写真で、こんなの見てたんだ、と楽しむことが多いです♪ いつも気になるものを撮り、ネットで検索・・・この苔の朔も後調べで、へぇ~そうだったんだ、と。 ブログは私自身のメモ代わりでもあるんですよ~。
→ナツパパさま
遠くのほうでかすかに聞こえそうな足音ですよね。 ほぼ毎日曇り空で小雨が降ったりのこの冬。まったく変わらないと思ってた風景だけど、気付かないところで微妙に変化してるようです。 球根植物も芽が。
→lucesさま
うっかり踏んじゃった芽も・・・でも、きっとたくましく育ってくれるはず・・・だといいな。
→テリー さま
まだまだ春は遠そうですが、確実に来そうな気配がぼちぼちと。 植物は敏感ですね。
→めぎさま
同じ場所へ行った思い出でも、あの時はこうだったね、と一番覚えてるシーンが違うんですよね~。 私ひとりで見てるより、ふたりで見たほうが確実に視野が広いです♪ 特に私は数字に弱いので、あれいくらだったっけ・・・って時に、~って書いてあったよって教えてもらえたり。
→ハリネズミさま
まったく、べったり、ぴったりで行動でなく、同じ場所でふたりが好きなことに没頭できるのって心地いいですよね。 買い物にいっても同じ売り場で、お互いの存在を近くに感じながらそれぞれが気になるものを見たり。 そして、こんなのあったよ、って教え合ったり。 私も買ったガラス鉢のヒヤシンスが苔に植えられてたので、それ以来、苔が気になってます。 で、外でじーっと苔を見てたら何やら茶色いものが見えて、気になるので記録で数枚撮影して、ネットで後調べ。 便利な世の中に感謝です♪
→miffyさま
色の乏しい冬の風景をわざわざまたモノクロで撮ってたKamoさんの写真もなかなかシブくて、時間が止まったようで面白かったです。 その傍らで、私は小さな色の世界を。 ぼちぼちと球根植物の芽も地面から現れてきました♪
→あげぱんさま
冬の自転車は風が冷たくて。 でも休みの日は出かけちゃう。 たま~に自然に囲まれた環境に身を置いて、ボーっと時間を忘れて遊ぶのが日頃の忙しい生活からのリセットになってます♪ まだこの冬は寒さがマシなんですが、ついつい口に出ちゃいますね、寒い!って。 日本のほうが遥かに寒そうだけど。
→母ちゃんさま
森の中は、こんな枯れ野が広がる場所もあれば、羊や牛がいる緑の野もあったり。 我が家の近所の公園にも緑の芝生が生き生き。 お花屋さんでは水仙やムスカリなど球根植物がたくさん店先に並んで華やかになってきてます♪
→yk2さま
エッシャーの絵・・・ふふ、『Three Worlds』ですね。 落っこちないようにギリギリまで近づいてのぞき込んでもこの時は魚は見えず。 これ、SONYくんのミニチュア効果で撮ってます。 そうは見えないんですが、こんな風に一部だけに焦点を当ててくれるので、カメラ操作に詳しくない私にはお手軽(笑)。
→りゅうさま
子供の頃に庭にたくさん生えてたゼニゴケは雄株と雌株があって胞子で増えるって知ってたものの、今回写真で撮ったこのタイプのはまったく分からず、茶色いアリの角のようなのは何だろう?って思わず記録用に撮って、ネットで後調べ。 へぇ~、ほぉ~・・・と知らなかった世界に驚きいっぱいでした♪ 面倒臭がり屋の私はレンズ交換なんて無理ゆえ、モードを選んでシャッター押すだけ、コンデジのSONYくんにお任せです~。
by Inatimy (2014-01-27 18:29)
inatimyさんにしては短めな記事じゃないですかぁ?
こんな感じも素敵んぐ。
オランダならではの記事だなぁってまた思っちゃった。
by カエル (2014-01-28 15:39)
素敵ですね、お二人でカメラを持って写真を撮りに行かれるなんて、いいなぁ~ ^^
それぞれの視点もおもしろい。一人は足元、もう一人は風景 笑
あとで色々なお話も盛り上がりますよね、えっ、あそこにそんなものもあったの~? なんて 笑
by moz (2014-01-29 05:35)
→カエルさま
コペンハーゲンのお話に手間取っちゃって、短め記事になったのでした~。 でもいつもこれくらいの短さを目指してるんだけどね。 長いと読むのが大変だろうなぁ・・・って^^。
→mozさま
ふたりともが撮るから、パソコンに取り入れる画像の量も膨大で・・・。 昔はふたりがフィルムカメラだったから、現像プリント代が恐ろしかったけれど、良い時代になりました(笑)。
by Inatimy (2014-01-31 08:53)