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とんとん拍子で商人港 [コペンハーゲン 2013 冬]

雲の隙間からようやく見えた海。 船が小さく見える。

目を凝らしてみていると、ブクブクと気泡が浮かんできているのが分かった。 

海の泡になって消えてしまったのは、本当なのかもしれない。

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それは12月のこと。 パリから引越し後、私は初めてオランダの外に出た。 そう、海外へ。 
耳にするまったく知らない言語の響きが、とても新鮮で心地よい。

事の始まりは11月半ばのKamoさんの一言 : 「どこのクリスマスマーケットを見に行きたい?」

オランダでは最近ドルドレヒトの街のが人気らしいが開催は3日間だけ。 
あとはほぼ無いに等しい。 あっても有料だったり。
ゆえ、今までのパターンから行くとドイツが多かった。 でもベルギーにもあるそうな。
さらに足を伸ばして、またパリ?なんて冗談も混じる中、どうせオランダから出るなら・・・と・・・

・・・ふと私の口から出た一言 : 「北欧、まだ行ったことがないなぁ。」

北欧4カ国で一番近いのはデンマーク。 首都はコペンハーゲン
気温もオランダとさほど変わらないから服装も楽だし荷物も増えない。

まさかとは思ったが、私がせっせとクリスマスカードを準備する背後で、
KamoさんはPCでフライト予約し、ホテルまで押さえてしまった。 

話が出てから手配が済むまで、ほんの1時間弱。 思わぬ展開。 
Kamoさんとふたりで日帰りじゃない旅をするなんて、何年ぶりだろう。
一時帰国ですら、片方ずつと時期をずらしていたのに。 
・・・トラチからの贈り物だな。

時は満ちていたんだ。

そう感じたのは、後になってから。 
夏にデン・ハーグロザリウムデンマーク作出のバラを見ていたし、
年明けに読み始めた本、パリを離れる時に買ったジュール・ヴェルヌ『地底探検』にも、
デンマークコペンハーゲンが登場するのだった。

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というわけで、12月コペンハーゲン にやって来ていた。

寒くて薄暗い冬の季節、多くの人の行き先は太陽を求めての南の国。 

そんな中、やはり北に向かう人は少ないのか、スキポール国際空港の出発ゲートも地上階。
バスで移動して向かった飛行機は小さく、扉を開けると、それがタラップになるものだった。  

泊ったホテルは、写真の赤っぽい煉瓦造りと地上階でつながったその左にある建物。
元・海運倉庫だったよう。 エントランスには赤に白十字のデンマークの国旗。 

コペンハーゲン・カストロップ国際空港からはメトロで15分ほど。 
下車した駅から徒歩で10分もかからず、予定より早くホテル到着。

チェックイン開始時間にはあと30分ほどもあったけど、
レセプションの係の人が別の部屋なら今すぐにでも・・・と勧めてくれたのが、
予約した部屋よりワンランク上で少しバスルームが広め。 窓からの景色がいい部屋らしい。 
差額は発生したけど、せっかくだからと、お願いした。 

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このホテル、口コミでは部屋がとても狭いという感想が多かったところ。 
でも、我が家としては狭くても落ち着ける空間であればそれでいい。

海に近く、天井の梁が見える部屋の雰囲気、甘すぎない家具が気に入ったのだ。 
写ってないけど写真の右側にも窓が2つあり、そこから商人港らしき埠頭が見える。 

荷物を置いて、さっそく街の散策に出かけた。 

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ホテルの前の建物から、もう興味津々。 

ここには昔、サルベージ会社Svitzer の本社があったそうな。 
簡単に言うと、沈没した船などの積荷を引き上げ回収して依頼者に引き渡すお仕事。

だから、潜水服姿の胸像に、入り口横にはのマークが。
その反対側の脇には、靴底の泥などをこそぎ落とす鉄製のヘラみたいなのもあった。

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運河に面した通りを歩くと、ティンパヌム(扉の上の半円部分)に色鮮やかな彫刻。

船の旗とか羅針盤を作る会社のよう。 

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ホテルがあるのは、Nyhavn ニューハウンと呼ばれるエリア。
街の中心からほんの少しだけ離れた辺り。 でも活気はある。

運河沿いにカラフルな家屋が並ぶ、昔は船乗りたちの集まる居酒屋街だったところ。 

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左手に十字架のある球を持つこのお方は、もしやサルバトール・ムンディ(救世主)
夏にユトレヒトで上ったドム塔の鐘のひとつにもあった。 

しばらく行くと、お腹が減ってきたKamoさんから何か食べようとのサイン。 時間は15:20頃。

アムステルダムコペンハーゲン 間は1時間半もかからないフライトだったので、
機内では軽いものしか出なかった。 私は紅茶とクッキーをいただいただけ。 

ちなみにフライト時間1時間半ほどは、日本国内でいうと東京釧路間ほどかな。
そう聞くと、デンマークがより身近に感じる。 

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ということで、ホテルからほんのちょっと歩いただけで、レストランへ。

表の看板の料理に魅かれて入ったお店は、階段を数段下りるやや半地下。  

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オーダーしたのはロブスターのスープ。 上には白いサワークリーム。 
ロブスターの身も入ってた。 これにパンとバターがつく。 

なんて濃厚な海の幸の味。 白ワインかな、なにやらアルコールも入ってたよう。 
敏感なKamoさんの顔が薄ら赤い。 

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スープとパンだけで軽くすませて、散歩の続き。 

外はもう、段々と店の灯りが目立つような薄暗さに。  
SONYくんは明るく撮れるので、実際はもう少し暗め。 でもまだ16:00頃。

しかし、その頃のコペンハーゲンの日没時間は、15:30くらいだったのだ。
オランダより1時間も早い。 

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魚の看板のパブにも魅かれたけれど、先へと進む。 

クリスマス前だから店の壁もモミの木の枝で装飾。
通りには、クリスマスマーケットの屋台がぽつぽつ並んでいた。  

ニューハウン通りを真っ直ぐ歩いて出てきたところは、
王様の新広場という意味の広場 Kongens Nytorv コンゲンス・ニュートーゥ
なにやら高い壁ができていて、階段を上っていく人たちがいたので付いていくと・・・

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・・・工事現場の見学展望台があった。 顔出し記念撮影のパネルもある。 

バルコニーの低いところにも窓があり、子供も覗ける。 

壁の内側では本当にこんな黄色い作業服を着た人たちが働いていた。 
あ、でも長袖だけどね。

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正面のイルミネーションで縁どられた建物は、デパート。 Magasin du Nord マガザン・デュ・ノール
空港から乗ってきたメトロの駅は、その建物の下にある。

そのデパートの左にあるのは、Det Kongelige Teater 王宮劇場のよう。 

写真の右の方へと視点をずらしてみると・・・

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・・・板塀に囲まれた騎馬像が。  その後ろ姿はクリスチャン5世像らしい。 
Chriatian V クリスチャン5世(1646-1699)は、デンマーク=ノルウェーの王様だった人。

これから行くところは、その像の向こう側の通り。 工事でなければ広場を突っ切って近道だったのにな。

 

・・・と、しばらく、コペンハーゲン旅物語が続くのだった。

 

空の上から見えた海の中からの気泡。 

ブクブクを見て思い出していたのは人魚姫のお話。 
デンマークは、童話作家アンデルセンの国でもあるからね。 

※ 写真はSONY。 


nice!(39)  コメント(15) 
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コメント 15

angie17

北欧・・・て響きだけで、憧れちゃうな~。
なんだろ、(ヨーロッパ)とは違う感じがする(笑)
by angie17 (2014-01-25 00:03) 

めぎ

あら~素敵♪ デンマークのクリスマス市、楽しみです!
日没が15時半か・・・北欧の人たちはそれに耐えているんですねえ。
by めぎ (2014-01-25 05:49) 

ハリネズミ

話が出てからフライト・ホテルの予約完了まで1時間弱とは
ダンナさま、ものすごーく行動力がおありですね~。
クリスマス市を見物に旅に出る・・・・いいなぁ。
たしかにねこさんと暮らしていると、なかなか旅には出られませんね。
キャットシッターさんにお願いして旅に出ようと、いろいろ間取りに
工夫を凝らしてみましたが、すべてムダになってますよ、うち。
国を越えての通勤、お買い物が当たり前のヨーロッパですが、
ドイツからスイス、ドイツからイギリスって旅したときには
短時間で「外国」についてしまうことに激しくカルチャーショックを
受けました。やっぱり私って島国・日本の人間だわって実感^^;。
by ハリネズミ (2014-01-25 08:00) 

yk2

いなちゃんは、世界中どこまで行ってもエビ狙いなんだよね(笑)。

デンマークって、僕が聴くジャンルの音楽では、結構素敵な女性歌手が幾人かはいるんだけど、それ以外の事ではあんまり馴染みがない国。スーパーで買う乳製品(チーズ)くらい?かな。ほとんど何も知らない(^^;。だからこの続き、とっても楽しみにしてます。
by yk2 (2014-01-25 10:54) 

テリー

北欧のクリスマスって、どういうのだろう。楽しみですね。
by テリー (2014-01-25 13:43) 

atori

北欧、フィンランドとスウェーデンは行ったのですが
デンマークはまだ。。。
行きたいですね!寒さを覚悟して冬に♪
クリスマス時期は特に楽しいでしょうねー。
by atori (2014-01-25 17:28) 

ami

続きのお話が楽しみです。
潜水服の銅像?直ぐ目がいきました。
海と共に栄えた町?
でも、窯元もありましたか?
by ami (2014-01-25 17:50) 

母ちゃん

街の雰囲気って違うものなんですね。薄暮に灯りが映えて美しいな~♪
by 母ちゃん (2014-01-26 10:04) 

ナツパパ

コペンハーゲンの空港は利用したことがあります。
でも、街はまだ行ったことがないんです。
行きたいねえ、と夫婦で言い合っているのですが...なかなか。
記事、楽しみです。
by ナツパパ (2014-01-26 17:13) 

luces

夜のコペンハーゲンは美しいですね
クリスマスマーケットが楽しみです。

by luces (2014-01-26 22:53) 

miffy

コペンハーゲンに行ったのはもうずいぶん昔の事です。
町の様子はずいぶん変わったでしょうね。
ロブスターのスープ美味しそうですね~
Inatimyさんがどんな場所を訪れるのか楽しみです。
by miffy (2014-01-27 21:10) 

カエル

うん。もう道は決まっていたね。
甘すぎない家具。この表現使わせてもらう。かっこいー。
人魚姫はどこかな?って思ってみてた。
世界三大がっかりらしいけど、でもinatimyさんならそうは思わない何かを
残してくれそうで期待してるね。
しかし、ロブスターのスープは絶品?魚のバルに入らない勇気私にも分けてほしい。たぶん私はいっぱい飲んでから目的地に向かうから。
by カエル (2014-01-28 15:46) 

ねこの手

やっぱり人魚姫でしたね、ブクブク。
私の中でのデンマークはアンデルセンでしたから、すぐにピンときました。
寒いのは苦手ですが、クリスマスマーケットは見てみたいですね。昨年はバタバタで余裕がなかったけど、今年は行きたいなぁ。inatimyさんの旦那様みたいにさくっと決めてくれれば楽なんだけど。
by ねこの手 (2014-01-28 21:55) 

moz

本当に機が熟していたんですね。一時間で旅行の準備完了って、Kamoさんすごーい ^^
1時間半でデンマーク、近いけれど、流石北欧、港町の風情も良い感じですね。ホテル差額は出るけれどせっかくです、とんとん拍子の旅には、流れに乗るのも必要ですね。
きっと楽しい旅だったんだろうなと。この後も楽しみ。 ^^
by moz (2014-01-29 05:30) 

Inatimy

→皆さま 
『とんとん拍子で商人港』のお話に、nice! & コメントありがとうございます。 ふたりで日帰りじゃない旅をするのって10年近くしてなかったかも。 並んで飛行機に乗るのも久しぶりのことだったし嬉しくて。 Kamoさんは出張でいろんな国に行くけれど、いつも留守番の私にはデンマーク旅は新鮮だったなぁ。

→angie17さま 
ずっと雑誌の特集でしか見てなかった北欧(笑)。 私にはクールなイメージがあったのは、優れたデザインものが多いからかな。 でもコペンハーゲンにある古い建物もすごく味わいがあり、散歩が楽しくて。 アンティークのお店も多そうでした。

→めぎさま 
クリスマス市がメインだったのがすっかり街歩きとウィンドーショッピングに。冬は早く暗くなりますが、夏は明るい時間が長いんでしょうね~。 それも体験してみたいな。

→ハリネズミさま 
ふと何気なく言った言葉、行ってみたいなとか、いいな、にすごく敏感に反応してくれて、あっという間に現地にいるんですよねぇ・・・いつも。 一番最初はゴッホの「夜のカフェテラス」の絵が好き、って言ったら、その絵があるミュージアムへ。 日本にいた頃は私の実家に預けてたんですが、こっちでは信頼して猫のお世話を頼める人なかなか見つからなくて日帰りばかり続いてました。 欧州の旅って、列車で国境越えると車内アナウンスの言語も自然と変わっていって、それも印象的だったなぁ。 今ではEU圏でかなり国境の存在も薄い気がしますが、大陸続きで外国って日本人にはスゴイことですよね^^。

→yk2さま 
NO 海老、NO LIFE・・・は言い過ぎ?(笑)。 外で食べる、となると基本は海老でしょ^^。 異国の街でもいつものごとく、ふらふら散歩で、張り切って観光って感じではないので旅の記事に見どころがあるかどうか・・・へへ。 デンマークもオランダも、子供の頃に行きたいと思ってた国だから、ひとつまら夢がかないました♪ 言葉は分からないけどどこの国に行っても、好きな音楽があるっていいですよね。 デンマーク、チーズも有名? 今度行くことがあったら、チーズ屋さん寄ってみようっと。 

→テリーさま 
北欧のクリスマスのオーナメントはまたちょっと変わってて、可愛いのがありますよ~。 ハート形とか。

→atoriさま 
北欧っていうとデンマークの存在はなんとなく控えめな立ち位置ですよね。 オーロラ、フィヨルドを走る鉄道、カモメ食堂、サンタクロースの住む国、デザインで他の3カ国のほうが前に出ちゃってるし。 でも凄く楽しい旅でした。 そんなに観光ポイントは見てないんですが^^;。 

→amiさま 
潜水服、レトロっぽい胸像で、吸いこまれるように近づいてしまいました。 コペンハーゲンは商人の多い港町、って感じでした。なんとなくアムステルダムっぽい匂いもして馴染めますね。 窯元・・・ロイヤルコペンハーゲンですね~。 

→母ちゃんさま 
なんとなくオランダっぽい雰囲気もあり、それでいて微妙に違う、不思議な感覚でした。 こぢんまりした国は濃縮された面白さがありますね~。

→ナツパパさま 
空港は利用しても街は知らないって言うの、私にもあります。 ドイツのフランクフルトがそうです。 いつもそのままレンタカーで他の街に行っちゃって・・・。 12月の慌ただしい時期だから、北欧の中でもさっと行ける一番近いところでコペンハーゲンへ。 クリスマス時期なので、あれこれウィンドーショッピングも楽しめました♪ 抑え気味にと自分に言い聞かせて買ってみたりも^^。

→lucesさま 
到着した時からもう本来の目的だったクリスマスマーケットが霞んじゃってたんですけどね・・・へへ。 ふらふらと歩く街の中、それだけでも満足な旅でした。

→miffyさま 
ほとんど何もスケジュールも決めず、その日その時の天気次第で行くところを決めてたので、気付けばあまり観光ポイントも見てないような・・・。 でもクリスマス時期のデパートはおもしろかったなぁ。

→カエルさま 
私の中で「甘すぎない」っていうのがいろんな基準になってるかもしれないと最近気付いた~。 花柄のタイルなど可愛いのも好きだけど甘すぎないのが大事、とかね。 ふふ、人魚姫・・・はたしてどこに登場するでしょうか。 魚のバルもなかなか魅力的だったけど、街が私を呼んでいた(笑)。 散歩好きだからねぇ。 飲んだらきっとすぐ眠くなってたかもなぁ・・・出発する日まで睡眠不足の連続だったし。

→ねこの手さま 
アンデルセン、昔アニメで見たくらいでしっかり読んだことがなくて・・・。 コペンハーゲンに訪れたのをきっかけに、あれこれ読んでみたくなりました♪ 人魚っていうと、日本だと小川未明の「赤い蝋燭と人魚」もありますね~。 いつも何かしようとすると引っ越しになって、やっとこの12月は落ち着いて旅に出かけられました~。 1年前はパリで引っ越し準備してたし・・・。 我が家はいつも決まる時はすごく早さで、自分たちでもびっくりするくらい(笑)。 

→mozさま 
何年もずっと日帰りばかりだったので、久々だからとその場の流れに乗りまくってました(笑)。 節約と投資はバランス良くがいいですよね~。 アムステルダムにも似てるようなまた違うような雰囲気を持つ港町、ただ並んで街を歩くだけでも楽しく嬉しくて。 クリスマス時期の商品にウィンドーショッピングして、あまり観光ポイント出て来ないかもしれない(笑)。
by Inatimy (2014-01-31 08:49) 

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