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海嵐の去ったあと [ミュージアム]

いざという時、

どうすればいいのか

あらかじめ考えておいたほうがいいよね。

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5月初めにに向かって列車に乗って出かけた街 Enkhuizen エンクハウゼンのお話の続き。

フェリーに乗って着いた場所は、Zuiderzeemuseum ザウダーゼーミュージアム
 ミュージアムカード(オランダ国内のミュージアムの年間パスポート的なもの)を持っているので、入場無料。
 送迎のフェリー(ミュージアムボート)も無料だった。

駅から徒歩で街の中を抜けて行くこともできるけど、やっぱり、がいいよね、天気もいいし。
しかも、道に迷うこともない。

船着き場の横、空にそびえるように建つ、煉瓦造りの煙突を持つのは・・・

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・・・Kalkoven 石灰窯(いしばいがま)。 これで貝殻を焼いて石灰を作っていたそう。 

右にあるのが山積みになった貝殻
この窯は昔、Akersloot アーカースロートという町にあったのを、ここに移築した。
 アムステルダムの北西、エンクハウゼンから見ると南西にある町。

ザウダーゼーミュージアム屋外ミュージアムは、
そんなオランダ各地からを使って運んできて再建されたものが見られる場所。
 屋内ミュージアムもあるけど、時間切れで見られず・・・。

日本だと江戸東京たてもの園とか博物館明治村みたいな感じかな。

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壁に1774と年号の鉄の装飾がある家。 その家の中には入れなかったが・・・

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・・・お隣さんの家の中は見ることができた。 薄暗かったけどね。

そこの玄関扉。 下についてるのは、ひょっとして用の出入り口?

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少し先に進んで入った他の家には、アートな作品の展示が。 

よく見るとWeckの瓶。 形は違うけど、我が家でもジャム作りをしたときに使っている。

Jos Kranen ヨス・クラーネン(1977)と Johannes Gille ヨハネス・ギレ(1979)という
デュオのデザイナーによるもの。
タイトルは、"Jutterskabinet"・・・海からの漂流物を拾う人の保存キャビネット・・・らしい。

ランプ付きで、なかなかいいかも。

さらに歩いて行くと・・・

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・・・泥だらけになった通り。 家の壁には土嚢が積まれて、道はぬかるんでる。

鍋、乳母車、やかん、椅子、人形などが散乱。 これは高潮による洪水の後・・・・・・を再現したもの。

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泥に半分埋まって倒れてる電柱と、それに絡まる敷物。 

そんな中で、電柱のガラス製の碍子(がいし)の青が妙に美しく見えた。

同じ並びにある一軒のに入ってみたら、足元には物が転がったりして散らかってるけど・・・

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・・・テーブルの上だけは、食事の用意の途中なのか、きれいに整っていた。

オランダに面した低地ゆえに水害もすごく多い。
外の地面と床に段差がない、つまり床下がないので、すぐに部屋の中まで水が来る。

ミュージアムの名にもあるザウダーゼーで、北海から大きく入り組んだ状。 今はもうない。
1932年のAfsluitdijk 締め切り大堤防の完成によりが閉ざされ、そこはとなり、名前も変更。

締め切り大堤防を作ることになった大きな出来事の一つが、1916年大洪水
北海で起こったによる高潮が、ザウダーゼーへと押し寄せ、一帯の街を襲った。

その災害から今年でちょうど100年になる。

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よくできた再現現場で、すごくリアル。 怖くなってくるほど。 一応、見学のための道が敷いてあった。

メイキング映像をチラッと見たら、この通りにシートを敷いて、こんなぬかるんだ状態を作っていた。
奥に見えるも高速道路を走ってこの地に運ばれてきて、斜めに設置された。

屋外ミュージアムは冬期(10月中旬過ぎからイースターの前までだったか)クローズするから、
その間に準備されたみたい。

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魚の干物がある家。 漁師さんの家のよう。 干物、食べてたんだ・・・。

その近くの家の扉が開いていたので、中を見学。

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ここは、1925年に海老漁師Ties Bos ティース・ボスさんが妻と娘と共に住んでいたお宅。 

オランダ北部フローニンゲン州のZoutkamp ザウトカンプから移築されたもの。

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当時のザウトカンプに住む女性たちのほとんどは、海老の殻をむく仕事をしていたそうな。

大変手間のかかる作業なのに儲けは少なく、殻をむいた海老1kgで、0.07ユーロ(約8円)。
3kgの海老の殻をむいて、やっとその1kgになるらしい。

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海老が広げられたテーブルのそばには、調理器ストーブ。 燃料は石炭か薪かな。

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その隣の部屋にあった小ぶりなピッチャーが可愛かった。


建物の玄関横には、たいてい解説プレートが付いていて、
もともとあった場所、いつ頃、誰が住んでいたかなど、当時の暮らしの様子がわかるようになっている。

家の中は、入れる部屋もあれば、出入り口にバーがあって廊下から見るだけのところも。

今いるのは、屋外ミュージアムのVissersdorp フィッサースドルプ・・・漁村のエリア。
まだまだ先がいっぱい。


実は、このザウダーザーミュージアムへは9年前に一度来たことがある。 しかも同じ時期に。
それでも、今回、閉園間際までたっぷりと満喫。 写真もいっぱい。

なので、しばらく続きます^^;。


こんなタイプのミュージアム、好き?

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コメント 10

だいず

ぬかるんだ道といい 再現リアルですね。
干物の干し方が なんてお洒落なんでしょ(*´ω`*)!
by だいず (2016-09-04 19:29) 

ぴーすけ君

ミュージアム、すごい昔の再現力ですね。
その時代にタイムスリップしたみたい。
by ぴーすけ君 (2016-09-04 20:48) 

めぎ

オランダと地続きのドイツ北部の一部も同じ運命を負っていて、高潮の被害や対策はよく話題になります。
ちょうど義妹が住んでいる地域がかなり危なくて、生きている間に被害がないといいけど、なんて話しているほど。
個人ではどうしようもないことも多いし、自然が相手では国や町が出来ることも限りがあるかも知れませんね。
by めぎ (2016-09-04 21:14) 

mitu

小ぶりのピッチャー、かわいいですね♪

by mitu (2016-09-05 08:07) 

luces

漂流物とか洪水の再現とか
海と戦って暮らしていた歴史を強く感じます。
by luces (2016-09-05 08:42) 

ハリネズミ

玄関ドアにねこ専用ドア^^。
こんなのを見つけてしまうとは目の付け所が違いますね~。
生活雑貨もレトロでかわいい♪。
by ハリネズミ (2016-09-05 10:07) 

miffy

建物だけでなく暮らしまでも再現しているんですね。
猫ドア、猫ちゃん自身では重くて開けられないかな~
飼い主さんが開けてあげるのかな?
こういうミュージアム大好きです♪
続きも楽しみです。
by miffy (2016-09-05 21:33) 

テリー

オランダは、低地なのに、床下が無いとは、不思議ですね。
南アフリカ旅行から昨日戻ってきました。
by テリー (2016-09-05 22:33) 

engrid

まるで干物がアートですね
此方なら、串刺し?ふうなのに、、
屋外ミュージアムも、興味深いですね、、
災害から学ぶものが、たくさんあります、
またわすれてはいけないこともね
by engrid (2016-09-06 18:09) 

Inatimy

→皆さま「海嵐の去ったあと」のお話にnice!やコメントをありがとうございました。今でも暴風雨の日はあるし、3〜4日それが続くことも。TVでオランダの町や村の浸水の様子が流れるも、若者がゴムボートで遊んでたりと和やかな一面も・・・。それほど甚大な被害ではないのは今までの経験を生かしたオランダ人の治水の努力の賜物なんだろうなと感じます。

→だいずさま
水が大地に染み込まないよう、シートを広げてその上に泥土を作業車で広げていって・・・とかなり手の込んだこだわりよう。昔来た時はこの通りすごく綺麗なところだったので、その変わりようにもびっくりでした^^;。干物を干してる輪っか、なんだかドリームキャッチャーみたいですよね〜。

→ぴーすけ君さま
今でも古いレンガの家はあちこちの街にはあるけれど、それでもこうして集められると昔ながらのいい雰囲気に^^。中にある生活雑貨なども懐かしさの漂うものばかり。なんだろう?って思うものもあって、後で検索しまくってます。

→めぎさま
北ドイツも高潮の被害は問題ですよね。北極・南極の氷が解けて水の量が増えたからなのか、オランダも昔に作り上げた締め切り大堤防では防げない可能性もあると、さらに高さを加えるよう工事するみたいで。さらに湖の内側にもう一つ堰が。南西のゼーラント州でも東スヘルデ防潮水門、ロッテルダムの近くの河口には必要な時に閉まる可動式の障壁・・・と大規模な対策は色々してるようですが、それでも万全じゃないですものねぇ・・・。

→mituさま
この青い模様のピッチャー、可愛かったです、小さくて^^。ミルクピッチャーなのかな。

→lucesさま
海からの高潮の他に、大雨での川の氾濫もあるオランダ、水害と戦ってきた歴史ですよね・・・。山がないから、近所の道路工事でも土じゃなく貝殻の混じった砂だったり、大変なようです。

→ハリネズミさま
猫専用ドア、気になってしまいました、この部分。以前、ちょこっと住んでた家の庭に面した扉にプラスチックの猫ドアついてたんですよ^^。それ思い出しちゃって。でもあれって、冬、隙間風がすごくて、足元寒かったなぁ・・・・。生活雑貨、レトロ過ぎて、異国から来た私には見たことないものも多く、検索して調べまくりです^^;。

→miffyさま
建物だけでなく、中の暮らしの様子も再現されてます^^。そして、そこでどんな風に生活していたのかを見せてくれるおじさま・おばさまがいるところもあったり。猫ドア、必要な時に上に扉を上げておくんでしょうね。猫ちゃんだけでなく、鶏とかも入ってきそう・・・^^;。

→テリーさま
床下がないの、私も不思議です^^。湿気もそれなりに多いのに。スペインでも割と湿気のある北西部のガリシア地方では石造り高床式倉庫みたいなのもあったのに。南アフリカに旅されてたんですね〜、おかえりなさい♪

→engridさま
干物の干し方、アートしてますよね^^。尻尾の部分を結んで繋げてるのが主流なのかしら。たくさんの家々が移築された屋外ミュージアム、昔の暮らしを見られるというのはとても興味深いですよね。限られたものしかない時代に人々がどんな工夫をしてしのいできたのか、モノの溢れる時代にいる今、色々考えることもありました^^;。
by Inatimy (2016-09-07 18:03) 

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