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「船」という名の・・・ [ミュージアム]

曲線は、美しい。

まっすぐ、きちっとしてない、動きある遊び心。

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途中まで紹介して、まだ残っていた9月下旬のアムステルダム散歩のお話。


Westerpark ウェスターパークから鉄道線路の下を抜けて、
住宅街をぷらぷら歩いてやってきたのは・・・

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・・・この日の本命の目的地、波々の曲線がある建物のところ。 

ここは、Museum Het Schip ミュージアム・ヘット・スヒップ
直訳すると「博物館・船」で、まるで船舶関連の展示館のようだけれど、そうではない。

左下のアーチのところが、エントランス。 その上の方には・・・

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・・・こんなに小さなもあったり。 

煉瓦が違うのは、もともとあった建物を改造して作ってあるからなんだそう。
色の暗いほうが、古いもの。

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建物の全体図。 中庭を囲むように二等辺三角形に建ち、区画を成している。 
この形からHet Schip(船)の愛称がついた。

オランダAmsterdamse School アムステルダム派の有名建築家、
Michel de Klerk ミシェル・デ・クレーク(1884-1923)が1914~1921年にかけて建てたもの。

現在、一部がアムステルダム派のミュージアムになっていて、ガイドツアーに参加したのだ。

 アムステルダム派は、建築デザインの分野での、オランダ独自の表現主義スタイル。
  アール・ヌーボーの後に起こって、アール・デコに相関している。

 ※ 以前、アムステルダム市立ミュージアムで観たアムステルダム派企画展は、こちら


今いるところは、手前の一辺の真ん中、茶色いところの凹んだところ。
まずは、図の左の方、二等辺三角形の一番尖った部分(青っぽい屋根の部分)に向かって歩いていく。

次のちょこっと凹んだところは・・・

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・・・アーチになってて、奥の小さな中庭につながり、幾つかドアがあった。 現在も住んでるんだなぁ。

建物の一番尖った部分から少し離れたところに、箱型の小屋があり・・・

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・・・1900年代当時の労働者の家族の暮らしを紹介。

これだけの狭い空間に、キッチン寝室トイレも一緒。

左のストーブの手前にトイレがあるのだけれど、バケツの上に腰掛の木の台があるのみ。
このバケツの回収も頻繁にあるわけでなく、悪臭に悩まされたよう。

ということで、Het Schip ヘット・スヒップ(船)は、生活改善のために、
労働者のための公共集合住宅として建てらてた3つの建物群のうちの1つらしい。
(あと2つもすぐ近所にある。)

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これが、建物の二等辺三角形の頂点あたり。 

みたいな元にがある。

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ちょっと欠けてたりするんだな・・・。

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の中には、赤い郵便ポストが。 昔は、オランダも赤だったんだ・・・。

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さらに中へ入ると、郵便局だった。 カウンターに窓口が並ぶ。 金網扉までついてる。

この郵便局の内装も、建築家ミシェル・デ・クレークのデザイン。 できたのは1921年だそう。

右のほうに視線をずらすと・・・

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・・・上に握りこぶしのデザイン付きの鉄の扉に、腰掛け付きの青いタイル壁。 そして小さなブース

そのも可愛くてね。

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マッシュルームみたいだけど、これは電柱に昔あった陶磁器でできた碍子(がいし)の模様。

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その横には、電線にとまるスズメをモチーフにしてある。 

音が遮断されるよう二重になった扉の向こうには、壁に電話があった。
なんて凝ったデザインの電話ボックスなんだろう。

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もアーチ型。 格子の取り方もお洒落だった。

上の方しか撮れてないのは、同じガイドツアーの人たちが並んでたもので・・・。
実は、我が家ふたり以外に25名ほどいた。 北欧からの若者の団体さんだったかな。

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カウンター近くの壁を見ると、青いタイルの間に模様入り。 これは切手をモチーフにしてるんだそうな。

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昔の郵便局を出た後、時計回りに外側を見て回る。 

すぐの角には、詰んだ煉瓦をそのまま彫っていったかのような像。
オランダの彫刻家Hildo Krop ヒルド・クロップ(1884-1970)によるもの。

モチーフは、コウノトリ科のアフリカハゲコウ。 でも、像は、なんとなくキョロちゃんに似てる・・・。

さっき、ミュージアムエントランスの上にあった彫刻小さな像ヒルド・クロップの作品だとか。

 ※ 以前、街で見かけた、この彫刻家の作品のある記事は、こちら、そして、こちら

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行った時は、一部改修工事中で幕がかかってたりして、完全な姿は見られなかったのが残念。 

波打つ壁、変形の、いいなぁ。

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長い一辺の終わりの角には、カプセルみたいな部分もあり。

De Sigaar 葉巻タバコとか、De Boei ブイ(浮標)と言われてるんだそうな。

こういうところ、大好き。 かっこいい^^。



さらに見学は続く。


ほどよく取り入れられた曲線って、心地いいよね^^。

nice!(49)  コメント(15) 
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コメント 15

ぴーすけ君

とてもアートな形の建物。
オランダの昔のポストもお洒落
どこもかしこも 細かな芸術品ですね。
by ぴーすけ君 (2017-03-03 20:09) 

mitu

いいねいいね、曲線って
スズメのモチーフの、トッテモ好いですね
by mitu (2017-03-03 20:31) 

chiho

Inatimyさんが綴られるオランダの素敵なページ
楽しみに拝見しております☆彡
昨年6月オランダに行った折
ミュージアム・ヘット・シップも見学したので
再訪した気持ちに浸ることができました♬


by chiho (2017-03-03 20:45) 

めぎ

住んでいる町のガイドツアーってなかなか参加することがないから、参加してみると面白い発見がありますよね。
私はまっすぐも曲線も同様に好きですが、自分が立っている地面がまっすぐのようで実は曲線だから、ひょっとするとまっすぐへの憧れの方が強いかも。
まっすぐにあることって、実はホントしんどいですしね~それなのにあまり人に好かれなくて。
by めぎ (2017-03-03 20:50) 

kinaco

柔らかい曲線がゆったりした気分にさせてくれてる
カーブを手でなぞってみたくなります
最後のカプセルの部屋いいなぁ^^♪
by kinaco (2017-03-03 21:48) 

アールグレイ

二等辺三角形の船という名前を持つ建造物
目をやるあちこちに、いろいろな工夫、面白みがあって
見て回るのも楽しそうです^^
曲線の窓など、いいですね。
赤いポストもおしゃれです。
レンガの壁って角ばっている感じで思っていましたが
意識が変わります。

by アールグレイ (2017-03-03 21:54) 

テリー

面白い形の建物ですね。
by テリー (2017-03-03 23:25) 

engrid

かたいレンガのイメージが、曲線で優雅に
遊び心が、街の雰囲気を柔らかに
碍子とすずめの演出 楽しい、、センスいいな
by engrid (2017-03-04 01:10) 

竹口要

写真を拝見した時に、子供のパネル?が目に入り
「ちょっとオモロい」
と思っていたのに、労働者の暮らしを読み切なくなりました・・・ぐすん
ツマ。
by 竹口要 (2017-03-04 03:10) 

oko

レンガって独特の暖かみがありますね♪
私は横浜在住ですが、時々赤れんが倉庫に行きます♪
by oko (2017-03-04 07:53) 

(。・_・。)2k

丸いレンガなんてあるんですねぇ
初めて見ましたよ

by (。・_・。)2k (2017-03-04 08:32) 

ナツパパ

手が込んでますねえ。
時間と手間を惜しまずに建てた、という印象です。
こういう建物が街の財産になっていくのだろうなあ。
by ナツパパ (2017-03-04 10:06) 

miffy

面白い建物ですね。
普通なら見過ごしてしまいそうな場所もガイドツアーなら見逃さないかな。
でも、人と一緒だと好きな所に長い間いられないかな?
曲線ってなんとなく好きです。
直線ばかりでは面白くないですし。
by miffy (2017-03-04 23:13) 

momo

あらためて記事をマジマジと読み返して写真じっくり見て・・
悶絶*・・(笑) 建物可愛すぎる・・・*
電線にとまったスズメとか・・何それ♡可愛すぎる♡。
ここ、行ってみたいなぁー♪

by momo (2017-03-06 09:46) 

Inatimy

→皆さま「「船」という名の・・・」のお話にnice!やコメントをありがとうございました。市立ミュージアムで見たアムステルダム派の企画展で買った図録にも掲載されてた建物で、Kamoさんから行ってみようとのお誘いを受け、じゃ、帰りに煉瓦のあるエリアにも寄ろうと提案したのでした^^。ミュージアムの中の展示も面白く、いずれ紹介しますね。

→ぴーすけ君さま
100年くらい前の時代のもの、今見ても十分おしゃれですよね^^。ポストも、郵便局のインテリアも、こだわりのあるデザイン♪

→mituさま
スズメのモチーフの、かわいいですよね〜、電線に止まってるところなんて、目のつけどころ、いいですよね〜^^。

→chihoさま
このミュージアムも見学されたんですね〜。間違いがあれば、どんどん指摘してくださいね^^。英語のガイドさんのお話、聞き取り、自信がなくって^^;。

→めぎさま
まだまだ知らないことが多い街です^^;。ガイドツアーって実は苦手で。というのも聞くのと見るの、一度に両方できないんですよ・・・どっちかに集中すると、どっちかがおろそかに。あとでKamoさんになんて言ってた?なんて確認したり。まっすぐにあるってこと、難しいし、しんどいですよね。ずーっとまっすぐに頑張ってきたのに、曲線だらけの後にまっすぐになった方が評価されたりもして・・・あれ?なんで?ってなることも。

→kinacoさま
カクカクしてるより、ちょっぴり曲線もあった方がふっと気が楽になるのってありますよね^^。カプセルみたいな部屋、いいですよね、いいですよね〜。

→アールグレイさま
煉瓦で表現できる装飾、これほどまでに幅広いのかと驚きました。角ばったものをずらして積んで滑らかさを出す、不思議ですよね^^。ガイドツアー、なかなか楽しかったです♪ まだ続きます。

→テリーさま
面白い形の建物でした^^。

→engridさま
四角や直線から外れて装飾を施すと、それなりにコストもアップするんでしょうけれど、どうせ長く使っていくなら、楽しく暮らせる方がいいですものね^^。こだわりやセンスの良さ、ありますよね。

→竹口要さまのツマさま
昔の労働者の過酷な暮らし、この建物で改善されっていったのは本当に良かったですよね^^。部屋の中も入りましたよ。

→okoさま
オランダって山がないから、木材も石も限られてるので、建材に煉瓦が多く使われるそうです^^。横浜の赤れんが倉庫、写真でしか見たことがなくって。雰囲気いいですよね〜、一度行ってみたい場所なんですよ。

→(。・_・。)2kさま
私も、あ、まるい、と^^。レゴが好きなので、こういうパーツっていいなと思います♪

→ナツパパさま
労働者の暮らしの改善のために造られた建物、とってもお洒落ですよね〜。簡素なものではなく、ちゃんと手をかけ、こだわりを持って長く使えるもの、長く残るものを生み出したのは、偉業だと思います^^。

→miffyさま
確かに限られた時間で見て回らないとけないけれど、ガイドツアーでしか見られない場所(郵便局とか部屋の中など)も含まれてるので、参加してとっても良かったです^^。暮らしの中に丸みがあるって、心も丸くなる感じがしますよね。

→momoさま
建物、かわいいでしょ^^。よく見れば、あっちこっちに萌えポイントが多いんですよ。アムステルダム中央駅から、散歩がてらにぶらぶらショッピング通りを歩いて、公園を抜けて・・・と、休日散歩にはうってつけです♪
by Inatimy (2017-03-06 19:48) 

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