芸術と食欲、どっちもの秋 [ミュージアム]
リアルな切り口に、思わずゴックン。
なんて美味しそうなチーズなんでしょ。
これぞ、オランダ。
これぞ、オランダ。

11月初旬にふらっと行ったRijksmuseum Amsterdam アムステルダム国立ミュージアムの続き。
上の写真は絵画の一部を撮ったもの。 本当は他に林檎、ブドウ、梨なども描かれている。
オランダの画家、
Floris Claesz van Dijck フロリス・クラースゾーン・ファン・ダイク(1575-1651)の、
"Stilleven met kazen" 『チーズのある静物』1615
Floris Claesz van Dijck フロリス・クラースゾーン・ファン・ダイク(1575-1651)の、
"Stilleven met kazen" 『チーズのある静物』1615
静物画は美味しそうなものが描かれているのが好きだ。

これはオランダ語でPastei パスタイと呼ばれていたもの。 富裕層のお祝い料理。
パイと訳されることが多いものの、ペーストリー(パイやタルトなどの焼き菓子)が近いのかも。
パイと訳されることが多いものの、ペーストリー(パイやタルトなどの焼き菓子)が近いのかも。
何層にもなったあのサクサク生地のパイではなく、パンっぽいようなハードタイプ。
生地の感じは、スペインのエンパナーダとかオルナソに似てそう。
生地の感じは、スペインのエンパナーダとかオルナソに似てそう。
中には、肉、レーズン、ナッツ、栗、ジンジャー、クローブやナツメグなどいろいろ。
この写真も一部撮りしたもので・・・

・・・本来の全体像はこのサイズ。
オランダの画家、Pieter Claesz ピーテル・クラースゾーン(1597-166) の
"Stilleven met kalkoenpastei" 『七面鳥のパイのある静物』1627
"Stilleven met kalkoenpastei" 『七面鳥のパイのある静物』1627
主役は中央左寄りにあるさっきのパイではなく、
その右やや上にある七面鳥のパーツの下にある方のパイ。
その右やや上にある七面鳥のパーツの下にある方のパイ。
七面鳥がくわえてるのはオレンジの花。
オレンジの実は多産、オレンジの白い花は純潔の象徴で、結婚のお祝いの絵であるらしい。
オレンジの実は多産、オレンジの白い花は純潔の象徴で、結婚のお祝いの絵であるらしい。
そんな七面鳥のパイは・・・

・・・別の場所にあった展示にも発見。
これはギルド(商工業者の職業別の組合)のメダル。
いわば、ギルドの身分証明のようなもの。 会合の時にこのメダルで会員確認したらしい。
いわば、ギルドの身分証明のようなもの。 会合の時にこのメダルで会員確認したらしい。
左から、ワイン&ビールをサーブする人、ペーストリー焼き職人、パン焼き職人。
こんなメダルが展示されていたところは・・・

・・・ミュージアムの中の図書館。 高い天井。

下を見ると、本がずらりと取り囲み、図書館利用者が見える。
静物画を見た後、ミュージアムのフロアガイドのマップを開く。
多くが画家の名前、テーマ、芸術分野で表示されてるのに対し、
「飲み比べ、オランダ絵画」とあり、飲み比べ?有名なのかな?と気になり直行。
「飲み比べ、オランダ絵画」とあり、飲み比べ?有名なのかな?と気になり直行。

そこには彫刻があった。
南ネーデルラントの彫刻家で建築家の
Jan Pieter van Baurscheit ヤン・ピーテル・ファン・バウルスハイト(1669-1728)の作品。
Jan Pieter van Baurscheit ヤン・ピーテル・ファン・バウルスハイト(1669-1728)の作品。
オランダ語ではDrinkebroers と飲み兄弟、英語ではTopers と大酒飲み、
そして日本語では飲み比べ・・・タイトルって不思議だ。
そして日本語では飲み比べ・・・タイトルって不思議だ。

移動しつつ、気になる絵をつまみ食い。 帆船のお尻にあるゾウと三日月が可愛くて。
炎を上げる船、ボロボロになった帆、水面に浮かぶ残骸、
海から船へ引き上げられる人たち、逆に小舟へと飛び降りる人・・・と詳細も見事な表現。
海から船へ引き上げられる人たち、逆に小舟へと飛び降りる人・・・と詳細も見事な表現。
これも絵画の一部撮り。 こんな風に自分の好きなところだけを切り取るのが好き。
オランダの画家、
Willem van de Velde I ウィレム・ファン・デ・フェルデ(父) (1611-1693)の
"De Zeeslag bij Livorno" 『リヴォルノでの海戦』1659年頃 キャンバスにインクで描かれてる。
Willem van de Velde I ウィレム・ファン・デ・フェルデ(父) (1611-1693)の
"De Zeeslag bij Livorno" 『リヴォルノでの海戦』1659年頃 キャンバスにインクで描かれてる。
同名の息子も画家だそうな。

マヨリカ焼き。 聖母マリアの膝の上に幼子イエス。
そこへ東方の三博士が贈り物を持って訪ねてきてるところ。
そこへ東方の三博士が贈り物を持って訪ねてきてるところ。
Kamoさんのお目当のフラ・アンジェリコなどの宗教画を観て、終了。
ランチも含め4時間ほど軽くミュージアム内を散歩したって感じ。
ランチも含め4時間ほど軽くミュージアム内を散歩したって感じ。

灯りがついてるところがショップで、その上がお昼を食べたカフェ。
10年がかりの改修工事後、2013年春に再オープンした時は、1日では回りきれず、
結局別の日に再び来て、2日間、計11時間かけて大体の展示を観て回った。 それほど広いのだ。
結局別の日に再び来て、2日間、計11時間かけて大体の展示を観て回った。 それほど広いのだ。

これを見て、どこかで見たような・・・と、ピンと来た人、いるかしら。

オランダの画家、Johannes Vermeer ヨハネス・フェルメール(1632-1675)の
"Het melkmeisje"『牛乳を注ぐ女』1660年頃。
"Het melkmeisje"『牛乳を注ぐ女』1660年頃。
そのプレイモービルをショップで見つけて買ってもらったのだった。
他にレンブラントの『夜警』もあったけれど、中央にいたあの二人だけのだったので寂しく・・・。
他にレンブラントの『夜警』もあったけれど、中央にいたあの二人だけのだったので寂しく・・・。

他、本を一冊。 「芸術における食べ物と宴」って感じのタイトル。
絵画に登場する食べものなどの解説が載ってる。
絵画に登場する食べものなどの解説が載ってる。
右下にあるポストカードが、冒頭に登場するチーズのある写真の静物画の全体。
これは実家に宛てて送った。
これは実家に宛てて送った。
カメラがまだなかった時代の暮らしの様子が、絵でわかるというのも面白く。
いかに精密に物を描くかを追求した画家もいたり。
いかに精密に物を描くかを追求した画家もいたり。
一つ一つの絵が、その作者の心をつかんだもの、残しておきたい情景だと思うと、
難しいことがわからなくても、楽しめる^^。
難しいことがわからなくても、楽しめる^^。
たまにはミュージアム散歩もいいよね。
え 画?
最初のチーズ
メッチャ美味そうに見えたのに
by (。・_・。)2k (2017-12-12 19:51)
美味しそうな絵
きっと 食いしん坊さんだったんでしょうね(笑)
by ぴーすけ君 (2017-12-12 20:12)
まるで写真見たいですね!!
どうしたらこんなに美味しそうに描けるんでしょうか??
by そら (2017-12-12 21:11)
いつも思うのですけど、大きい図書館って、建築の強度たいへんそう。
by KOME (2017-12-12 21:23)
チーズもパイもなんて美味しそうに描かれているのでしょー^^
by よしころん (2017-12-12 21:30)
チーズの切り口が、本物みたいで美味しそう!
絵の中のグラス、前記事のミュージアムショップにあったグラスと似ていませんか・・・^^
ミュージアム散歩、いいですね~♪
by mitu (2017-12-12 21:34)
格好良い図書館!
近所の美術館がずっと改修中なんですが、
こんな風に恰好良く変身したら、毎週行っちゃうんだけどなぁ。。。
by みち (2017-12-12 23:13)
最初の2枚、絵?嘘でしょ〜?!
とっても美味しそうですね^^
by kyon (2017-12-13 01:32)
チーズおいしそうだし、図書館も圧巻です!
でも、図書館ちょっと怖い(^^♪
by yokotee (2017-12-13 06:28)
写真だと思いました。
素晴らしいですね〜
by oko (2017-12-13 08:07)
僕も写真だと思った
絵画の一部をクローズアップしちゃうのがスゴイ
そこまでしっかり見ないもの
観察力 スゴーイって毎度驚いちゃう
間違い探しとか得意じゃないですか?
by snow (2017-12-14 08:32)
静物画、リアル感がありますね^^
食べかけの様子、一つ一つが丁寧に描かれていますね。
部屋全体が吹き抜けのような図書館も、開放的で良いですね。
こういうところで、じっくりと本に親しみたいです^^
by アールグレイ (2017-12-14 09:13)
チーズもパイも美味しそうですね。
オランダの静物画はどれもリアルですよね。
図書館、素敵ですね~
フェルメールのプレイモービル良いですね。
欲しいです。
by miffy (2017-12-14 17:44)
ああいう図書館はめっちゃ憧れですぅ~♪
本を探して回りたい、そしてそこで静かに読んでみたい!
色とりどりの本がズラリっていうのが最高ですよね。
頂いたコメントにお返事を追加し、
もうちょっと踏み込んだ説明を記しておきましたので。
分からないことがあれば、ご遠慮なくどうぞ~ ^^♪
by MIKUKO. (2017-12-15 00:35)
静物画の質感がすごいですね。
美味しさまで描かれているみたいです。
by nachic (2017-12-15 00:41)
ピーテル・クラースゾーンの静物画は、マウリッツハイス美術館展で見て記事にしたら、クラースゾーンは2人いる、ってInatimyさんに教わりましたね。パスタイというパイ、クリスマスに食べるドイツのシュトーレンに似てるかしら?これ、実物大くらいの大きさね、きっと。それにしても、ホンモノそっくりに描かれて、すごい。
「牛乳を注ぐ女」、来年、日本に来るんですよ。
by TaekoLovesParis (2017-12-17 00:34)
playmobilって侮れないですよね~おお!というのが色々ありますよね。
絵画の中に細かく描かれているものから分かる当時の風習や景色、楽しいですね。
by めぎ (2017-12-17 05:25)
→皆さま「芸術と食欲、どっちもの秋」のお話にnice!やコメントをありがとうございました。衣食住の中で一番自分に馴染みがあるのは食だから、街を歩いてても、絵画を見てもそのテーマに目がいってしまいます^^。昔の人が、しかも異国の人々が、何を食べていたのかっていうのもすごく気になるところだし♪
→(。・_・。)2kさま
絵を撮ったものなんです、記事冒頭のチーズ。すごくリアルですよね。私この絵のチーズの部分が大好きで^^。見るたびにチーズの匂いがよみがえるという。
→ぴーすけ君さま
世の中に食いしん坊さんの画家がいて本当によかった。こうやって何百年経った後でも楽しませてくれますもんね^^。
→そらさま
今の時代だったらエアーブラシでスーパーリアリズムの絵が描けるようだけど、当時は筆ですもんねぇ・・・観察力と根気の賜物なのかしら^^。
→KOMEさま
この大きな図書館も、おさらに大きな博物館の建物の一部で、しかもアムステルダム国立博物館は煉瓦造りなんですよ。いったい何個詰んだんだろうという煉瓦の数で。強度、大変そうですよね^^。
→よしころんさま
食べ物が美味しそうに描かれてる絵は魅力的ですよね〜^^。昔も今も、食べ物が人を惹きつける力は同じってことでしょうか。一緒に描かれてた生牡蠣もリアルでしたよ。
→mituさま
絵の中のグラス、そうです、前記事のレーマー杯。それについて書こうかどうしようか迷ってたんですが、すごい、気がついてくださったとは^^。ミュージアム散歩、描かれた食べ物ばかり追うのも面白いですよ。
→みちさま
賢くなった気分に浸れそうで、私、この図書館の雰囲気が好きです^^。最近のミュージアムって近代的な直線でシンプルなものばかりだから、ちょっと凝った造りだといいですよね〜。
→kyonさま
最初の2枚、絵画を撮ったものなんですよ、リアルに描かれてすごいですよね^^。何度も何度もチーズを見つめて描いたんだろうなぁ・・・と想像。食欲そそられるチーズです♪
→yokoteeさま
天窓からの光が心地よい図書館でした。図書館の上の階、けっこうな高さあります。あまり近づいてした覗き込んだりは怖くて無理^^;。
→okoさま
描かれたチーズ、リアルですよね^^。絵の具の筆で、ここまで再現出来るなんて、恐ろしい腕前・・・。
→snowさま
絵画と言ってもすごく幅広くなるし、ミュージアムにはものすごい数の枚数があるので、時間がないときは流し見もしてますよ。でも自分の好きな分野だと、おぉ♪となって部分撮り^^。間違い探し、するの好き。
→アールグレイさま
生牡蠣、貴重な塩胡椒、むきかけたレモン、どれもすごくしっかりとリアルに再現された絵でした^^。どんな風に描いてあるのか筆の跡を目で追うのも楽しく。図書館、天窓からの明かりがとても心地よい空間でした。
→miffyさま
静物画、特に食べ物の静物画は、その国の食文化まで表れますよね。オランダではチーズが有名だし、牡蠣もゼーラント州でたくさんとれるし、当時貴重だった塩胡椒も、東インド会社の貿易で得たものかしら、なんて想像^^。フェルメールのプレイモービル、子供向けだけど、私も楽しめました♪
→MIKUKO.さま
図書館、こういう雰囲気はいいですよね〜。天窓からの明かりってところも、薄暗くなりがちな空間を明るくしてくれるし^^。これが全部読めたらいいなぁ・・・と叶わぬ夢・・・オランダ語は難しい・・・。説明、詳しくしてくださって本当にありがとうございました。すごく助かりました^^。これで不安が一つ消えた♪
→nachicさま
描かれたとは思えないほどのリアルさで、すごいなぁと見てるうちにお腹がなってくるという^^;。昔の人が作っていたお菓子というのも魅力的です♪
→TaekoLovesParisさま
クラースゾーン、そうなんですよねぇ・・・ややこしくって^^;。ピーテル・クラースゾーンと、ウィレム・クラースゾーン・ヘダ。パスタイはシュトレンとはまた別物ですねぇ。生地はスペインのエンパナーダとかオルナソのような硬めのパン生地って感じでしたよ、以前、昔のパスタイを実際に再現して作ってた人の写真を見たことがあるんですが。すごく美味しそうでした♪ 「牛乳を注ぐ女」も日本に旅するんですね〜。プレイモービルも日本で発売されるかしら^^。
→めぎさま
プレイモービル、レゴ、未だに私の心をくすぐる玩具です^^。絵画からわかる当時の暮らし、私の場合は特に食文化に興味津々。「牛乳を注ぐ女」の絵にあるパンも、どんなだったのかしら、と見入ってしまいました。それに、牛乳を入れてる器とか、これで何するんだろう?とか、火にかけて温めるのかしら、とか^^。
by Inatimy (2017-12-19 19:01)