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ミュージアムで繋がる [フローニンゲン 2016 春]

遠いよね・・・

海の向こうどころか、

大陸超えてだもの。

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Siert Dallinga シールト・ダリンハ(1954- ) "Huiswaarts" 「家へ」1988

フローニンゲン生まれの画家の絵。
オランダ語Huiswaarts ハウスヴァールツとは、「家(故郷、祖国)へ」という意味らしい。

典型的なオランダ曇天の下、強い風に吹かれて、遠くを見る
ちょっと古めかしい言葉のタイトルが、郷愁感を漂わす・・・みたいなことが解説に書いてあった。

4月中旬に行ったオランダの北東部の街、フローニンゲンの旅話、
Groninger Museum フローニンゲル・ミュージアムの続き。

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Anno Smith アンノ・スミス(1915-1990)は、オランダ人陶芸家。 

フローニンゲン生まれで、タイルのパネルや壁の装飾で活躍してたよう。

展示の中で気に入ったのが・・・

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"Drie gedenkstenen bij de opening 
 van de Gereformeerde Kerk (Vrijgemaakt) in Rouveen" 1965 の一部。

オランダ東部のオーファーアイセル州の街ラウフェーン
そこにある改革派教会のオープニングのための3つのメモリアル・ストーン。 その中の一つを撮った。

時期的に、水仙を思わせるような星型の花が気に入って。

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"Minerva de godin van de wetenschap" 「知識の神、ミネルヴァ」1958

ミネルヴァは、ここでは、本棚の前に立っている女性像として表現されている。
足元には薬の原料となる自然、手には分子を持ち、それに稲妻が当たってる・・・らしい。

というのも、フローニンゲン大学の薬学・分析化学の教授に贈られたものなのだそうな。

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ミュージアムの中のインフォメーションセンター

スペインのアーティスト・デザイナーのJaime Hayon ハイメ・アジョン(1974- )によるもの。

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天井や壁に円い鏡があって、それに映った世界もカッコイイのだった。

この部屋の窓から見ると、運河水面が近い。 半地下にある。

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RANJA ランニャ は19世紀の終わり頃にフローニンゲンのメーカーが作ったオレンジエード

グッズが可愛い。
先史時代からのフローニンゲンの歴史をすごく簡単にまとめたコーナーに展示してあった。

フローニンゲンは19世紀の終わりから20世紀にかけて、
栄養食品、既製服、自転車の工場も多かったそうな。

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Postmodernisme ポストモダニズムの展示室。 
  ↑ 近代主義の行き詰まりを打開する動向・・・らしい。

他に、写真作品の展示のコーナーもあった。

なんていうのか、フローニンゲル・ミュージアムは、居酒屋さんっぽい。
ちょっとした量のお料理が、多種類楽しめる。 そんな感じの展示なのだ。

一番上の階には陶磁器の展示があった。

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"Kaststel met het wapen van Sichterman" 中国陶器
「シヒターマンの紋章の入ったキャビネットセット」・・・って感じかな。

シヒターマンフローニンゲンの一族。

中でも、Jan Albert Sichterman ヤン・アルバート・シヒターマン(1692-1764)は、商人で、
オランダ東インド会社で働いていたよう。

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気になったのは、やっぱり、ここ。 葉っぱをかじるEekhoorn キタリス

これがシヒターマン家紋章に使われてる動物らしい。

動物絡みでインパクトがあったのが・・・

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・・・ニンマリ笑った白い象。 思わぬところで出会った日本製。

Olifant Kakiemon (Japans porselein), Tweede helft 17de eeuw 27 x 16 cm
柿右衛門の象(日本の陶磁器)17世紀後半、1670-1690年頃のものらしい。

見た瞬間に思い出したのが、伊藤若冲「象と鯨図屏風」の右隻のの方。
調べたら1797年とあったので、柿右衛門の象の方が古いんだな。

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Japans porselein Arita 日本の磁器 有田焼

その中で、いいな、欲しいな、と思ったのが・・・

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・・・葉っぱの形のこちら。 

サイトで所蔵品の検索をかけたらBlakerとあったので、燭台、手燭。 
桜の花、モミの葉の木立、下手な動物(シカやウサギ?)・・・と解説が。
1785-1800年頃のものだそうな。

江戸時代のものなのに、モダン。
キャンドル立てて火を灯したら、いい感じだろうな。

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展示を観るために降りてきた階段。 

階段上に係りの人がいてチケットを見せるとこの階段を降りてこられる。
預けておいた荷物をクロークで受け取って、上の階へ。

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エントランスを入って左側にあるショップ。 壁には、デヴィッド・ボウイの顔。

そう、このミュージアムデヴィッド・ボウイの展覧会があったのだ。
行った時には既に会期が終わった後だったけど。

 巡回展は2013年にロンドンで始まり、トロント、サンパウロ、シカゴ、パリ、メルボルンを経て、
 フローニンゲンへ。 日本では2017年春に開催されるらしい。


1月、ニュースでの訃報を聞いた時に、フローニンゲンでちょうど展覧会開催中だと言っていた。
その話をした際に、Kamoさんの頭に「フローニンゲン」がインプットされたようだ。


私はデヴィッド・ボウイに関しては、
映画「戦場のメリークリスマス」に出演していたことくらいしか知らなくて。

 同じデヴィッドでも、デヴィッド・シルヴィアンは気に入って、
 その後、アルバム"Brilliant Trees"を買っていたのだけれどね・・・。

 その映画のテーマ曲のヴォーカル版
 "Forbidden Colours"(禁じられた色彩)を歌ってたミュージシャン。


・・・と、デヴィッド・ボウイとこの旅は、
こんな繋がりだったのでした^^;。

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shino*

柿右衛門の朱と青が印象的
そういえば若冲展行かないと
D・ボウイの曲はディスコで良くかかってたな^^
by shino* (2016-05-11 00:16) 

ハリネズミ

メモリアルストーンのデザイン、すてきですね。
太陽、月、スイセン、そしてツバメ^^。
いまツバメモチーフの壁飾りが欲しいなぁって思ってるところなので、
反応してしまいました。3羽フルセットのアンティークを捜索中です♪。
by ハリネズミ (2016-05-11 08:35) 

ナツパパ

長い期間を掛けて蓄積されてきたものを、こうやって展示して、
皆が愉しめるのは、本当にありがたいと思います。
なので、わたしも博物館や美術館大好き!
黒田清輝展、あと数日なんだった...たいへんだ!
by ナツパパ (2016-05-11 09:07) 

mitu

 葉っぱをかじるEekhoorn キタリス、どことなく愛嬌があり可愛いですね
若冲展連休に行ってきました!驚きの自然観察眼に感動でした!!!
by mitu (2016-05-11 09:35) 

(。・_・。)2k

全部がお洒落に見えます
デビットボーイは別として(笑)

by (。・_・。)2k (2016-05-11 11:14) 

akko

リス・・・の顔がカンガルーに見えるのは私だけかな(笑)
いろんな文化が混じってる感じがします。
by akko (2016-05-11 15:51) 

めぎ

陶磁器って今の新作といわれてもそうですかと思うほど飽きが来ないと言いますけど、ホントこちらのは斬新ですね!
オランダとは直接の通商もあったし、他の国より色々ありそう。
by めぎ (2016-05-11 16:24) 

engrid

インフォメーションセンター、いいな、見上げてしまうわね
陶磁器は、ほんと素晴らしい
コレクションされて、展示されてるのは嬉しい
ニンマリな象、いいですよね
by engrid (2016-05-11 17:36) 

けん

こんなランプみちゃうとずっと撮ってたいですW
先日、絵画系の美術館にいきましたが、絵って難しいよね。
やっぱ立体ものがわかりやすくてよい!
by けん (2016-05-11 21:12) 

yk2

こんな柿右衛門の象があるんだ~。ちょっと欲しいかも(^^;。
この感じのフォルムの象って、若冲以前で知られたとこだと、杉戸に描かれた俵屋宗達の象もあるよね。お手本(=元絵)があるのかな?。
by yk2 (2016-05-12 01:49) 

yk2

追記。
それが柿右衛門だとは思ってもみなかったんだけど、丁度一年前に東京都美術館で開催された大英博物館展のチラシ(青カバいないから観には行かなかったんだけどね^^ゞ)に、陶製の象が載せられてたかも・・・なんて薄い記憶を辿ったら、まだ展覧会のサイトが残ってたよ。もうちょっと、リアルな柿右衛門の象さん(^^がいるから見てみて。
http://www.history100.jp/point/index8.html
by yk2 (2016-05-12 12:07) 

竹口要

私もゾウを見て若冲を思い出しました!!(笑)
まぁ若冲くらいしか私は知らないからなんですが・・・♪
知識の女神、好きです。
それにしても充実したミュージアムなんですねぇ。
一日中でも居れそうな・・・
ツマ。
by 竹口要 (2016-05-12 16:48) 

miffy

インフォメーションセンターのたくさんのライト、未来世界みたいですね~
中国陶器の上に載っているリス、遠目に見るとカンガルーに見えちゃいました^^;
柿右衛門の象、違うパターンのを見たことがあります。
私は東照宮の象に似てると思いました。
デヴィッド・ボウイとフローニンゲンってどんな繋がりが?って思っていたら
そういう事だったんですね~
by miffy (2016-05-12 23:18) 

アールグレイ

鶏が海の向こうを眺めている姿が、郷愁を感じます。
ちょっと切なくなるような・・・
稲妻のあたった女性の作品は、蛇の苦手な私はちょっとドキッとしました(^-^;
柿右衛門の象の作品、ユニークなお顔で、存在感がありますね。
by アールグレイ (2016-05-13 00:34) 

moz

デヴィッド・ボウイつながりのフローニンゲル・ミュージアムなのですね。デヴィッド・ボウイの展覧会をミュージアムでやるってどんな感じなのでしょう? 2017年に日本なのですね、興味津々です。
アンノ・スミスの作品いいですね。スイセンのもミネルヴァのも。
スイセンの作品の三日月の上にかぶっているのは?ツバメかな?
なんだか気になります。
インフォメーションセンターの照明も気になるな ^^ 何んだか植物を思い出します。 ヨーロッパの美術館は一味違いますね。
by moz (2016-05-13 06:18) 

TaekoLovesParis

フローニンゲン・ミュージアム、良さそうですね。いつか行けたらと思ってメモしました。駅前なら行くのも便利そうだし。
前の記事のことになるけど、
ゴッホの「春の庭、牧師館」、ゴッホは晩年になって、昔過ごしたこの地が懐かしくて訪ね、住んでいた牧師館を描いたのかしら。
デ・プルーフのコーナーもフォーブそのものの色彩の強さというより、形が単純化されてかわいいエッケ・アルベル・クライスの「ブレーデの教会」が気に入りました。玉ねぎ坊主が上に乗ってて、ロシアの教会みたいね。
見ていくうち、キルヒナーっぽい!と思ったら、ヤン・ヴィーヘルス、やはり、キルヒナーのお友達でしたか。

この記事では、私も、「若冲の象」と思いました。yk2さんのリンクで柿右衛門の埴輪のような青い象も見ました。やっぱり、この「いななき象」の方が面白いなぁ。
by TaekoLovesParis (2016-05-15 18:25) 

Inatimy

→皆さま「ミュージアムで繋がる」のお話にnice!やコメントをありがとうございました。子供の頃行ったミュージアムは科学系の博物館。それは父の好みだった気がする。美術館に行ったのはかなり後。パウル・クレー展が初めてだったかもしれない。しかも、それが誰だかも知らずに^^;。

→shino*さま
柿右衛門の朱と青の象・・・表情もオンパクトあるけど色も美しいですよね^^。若冲展してるんですね〜。あと1週間で会期が終わり?早い。若冲は、昨年一時帰国した時に「伊藤若冲と琳派の世界」を見て、生家跡にも寄ってきました♪ D・ボウイの曲がディスコで・・・そうなんだ・・・もしかしたら耳にしていたのかも^^;。

→ハリネズミさま
メモリアルストーン、なかなかいいですよね、これ^^。波波とうねってるのは海か、湖か、池かしらね〜。ツバメのモチーフの壁飾りもカッコ良さそう。大中小で3羽もいいかもしれない♪

→ナツパパさま
以前行ったミュージアムでは、タイプライター、固定電話機、MDプレイヤーなども展示されてて、時代の流れの速さを感じました。身近にあったものが既に展示物になるなんて、と^^;。黒田清輝展、見に行かれたかしら♪ 若冲展ももう少しのようですよ^^。

→mituさま
動物好きなので、ミュージアムでもその関連についつい注目^^。キタリス、公園でもたまに見かけたりします♪ 若冲展、羨ましいなぁ・・・いいなぁ・・・。

→(。・_・。)2kさま
ふふ、デヴィッド・ボウイは別にしても、お気に召した部分があってよかったです^^。

→akkoさま
普通にイメージするリスはふっくら系なんですが、キタリスは耳がフサフサ長くって、まさにこんな色^^。そういえばカンガルーにも見えてきますね〜。

→めぎさま
おっしゃる通り、飽きがこないですよね〜。撮った以外にも他の国の珍しい陶磁器がいろいろで、奇抜なデザインのものもありました。今、お店で売ってても違和感ないような。オランダに渡った日本のものが大事に残されてるのも嬉しいですね^^。

→engridさま
外観も新しい美術館、中の構成も面白いものでした。インフォメーションセンターもカッコよくって。絵画もフラッシュなしなら撮影可というのもありがたく。私が気にいる作品って、滅多にカードになってなくって^^;。ニンマリな象、これ、いいですよね、色も美しくて。

→けんさま
けんさんなら、このインフォメーションのランプ、もっとカッコよく撮影なさってたでしょうね〜^^。なんせお昼時で空腹抱えてたので、1時間あまりでサクッと見て回りました。絵画、私、好き勝手に解釈してみてますよ。動物だけに注目したり^^;。

→yk2さま
この柿右衛門の象、レプリカあったら買ってるところ^^。いいですよね、ほしい♪ 俵屋宗達の象、検索しました〜。なるほど、雰囲気が似てる。お手本ですが、私が思うに、仏教の涅槃図ではないかしら。以前、パリでギメ美術館に行った時に、私の好みで象ばかり撮ってたんですが、仏教では白い象は神聖なるものらしく。ニンマリ象もいましたよ。(その時の記事http://inatimy.blog.so-net.ne.jp/2012-06-06-1)若冲の名をつけたのも相国寺の僧だったし、そのお寺で目にしていたのかも。<涅槃図 動物>で検索かけるとニンマリ系で鼻を高く上げた象さん、ヒットしますよ♪ yk2さんのリンク先のリアルな柿右衛門の象さんも拝見しました〜。なんだか勇しそう・・・雰囲気全く異なりますね^^;。もらえるなら、やっぱりニンマリ象さんがいいなぁ。色合いも美しいし♪

→竹口要さまのツマさま
若冲、今年は生誕300年なんですってね。昨年一時帰国した時に京都の相国寺に行っていろんな作品を見てきました^^。そこの美術館、静かで、靴脱いで上がるので、絨毯というのかカーペットというのか、新鮮に感じます。フローニンゲル・ミュージアムは、あれこれ詰め合わせセットのようでもあり、面白かったですよ〜。

→miffyさま
リスと言っても種類が違うと外観も異なりますね〜。キタリス、まさにこんな感じです。耳がフサフサで細長く見えて、色も赤茶色。ふんわりぽっちゃり系のよくイメージされるリスとはまた違ってて。キタリス、巨大化させたら、カンガルーに似てるかも^^。東照宮の象、検索しました〜。金の牙で色黒ですね。毛深そうだ♪ デヴィッド・ボウイとフローニンゲン、そんな関係なのでした^^;。

→アールグレイさま
郷愁を感じる鶏の後ろ姿・・・切ないけれど、周りの壁が明るいのがオランダだな、って感じです^^。稲妻の女性、蛇は医療や医学の象徴でもあったから、薬学の教授に贈られる作品にも登場させたのかも。私も、あまり得意ではないです、ヘビ・・・^^;。柿右衛門の象、意外なところで日本の作品にも会えて嬉しかったです♪

→momさま
デヴィッド・ボウイの展示、会期が終わった後だったので見られなかったんですが、どんな感じなんでしょうね。日本で開催される来年、TVでも宣伝するかしら^^。水仙の花のある作品、ツバメでしょうね。水仙の咲く時期から、すごく飛び回ってます♪インフォメーションセンターのランプや鏡の効果もとっても素晴らしく、カッコイイ〜と撮影。オランダのミュージアム、侮れませんね。九州ほどのサイズの国土なのに、そこに1000以上のミュージアムがあるんですって^^;。

→TaekoLovesParisさま
オランダの北部もなかなかいいところがいっぱいです。フローニンゲンの西にあるレーワルデンの陶磁器博物館プリンセスホフも見ごたえあり。デルフト焼きと同時に有名なマッカム焼きのMakkum マックムや、トールペイントのように草花を家具や小物に塗る工芸のあるヒンデローペンの町ものどかです♪ 
ゴッホの「春の庭、牧師館」の絵ですが、あれはリアルタイムかも。ゴッホの父親がそこで仕事を始めたのが1882年で、翌年からゴッホはそこに2年ほど滞在。絵のタイトルに1884年5月とも入ってるから、その時に描いたものなんでしょうね。私の中ではジャガイモを食べてる人の絵と同じくらいの時代だと、絵の暗さから思ってました。アントワープからパリに出てからかな、明るい色調が変わったのは^^;。
デ・プルーフのコーナーで、キルヒナーとオランダ、こんな繋がりがあったとは知らなかったので、意外でした。私も、柔らかくてのどかそうな「ブレーデの教会」お気に入りです^^。他にもたくさん絵が並んでたんですが、まず撮ったのがこれで。
ニンマリの象、色合いも美しく、この小さなレプリカがあったら、買ってたかも^^。yk2さんのリンクしてくださった先の柿右衛門の象、全く違うタイプですよね・・・牙が強調されてて勇ましく・・・当時の世の中ではどっちが人気あったのかしらねぇ^^。
by Inatimy (2016-05-17 18:43) 

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