北の運河の弧を歩く

風に流されていく雲。

窓ガラスに映った空が、

スクリーンに写し出された映像のようだった。

久々に、4月中旬に行ったオランダの北東部の街、Groningen フローニンゲンの旅話の続きでも。

朝は、ゆったりと過ごしたい。 特に旅先ではね。　　

2日目の朝、朝食ブッフェを1時間ほどかけて楽しみ、10時前に宿を出た。

通りを北に少し歩いて出てきたのは、旧市街をぐるりと取り囲む運河。

雲は多いものの、青い空も見えるまずまずの日。　

橋の脇の階段から下りて、南岸の煉瓦畳を東へと歩いていこう。　運河に沿って弧を描くように。

ハウスボートも見ながらね。

対岸に見える家を撮っていたら、美しく軽やかな音色が聞こえてきた。

時計の両側についた小さな鐘がメロディーを奏でているよう。　

時計の下の方のLege Opslag レーヘ・オプスラーハは直訳すると、空っぽの貯蔵。

屋根の上の風見鶏ならぬ風見船もオシャレな。

正面玄関のドアの上には、MDCXXXIVとあり、1634の年号のことらしい。　古いんだなぁ。

一つ目の橋の階段を上がって、橋から歩いて来た方を見る。

4月中旬だけど、街路樹はまだまだ葉っぱがなく、枝が丸見え状態。

我が家の近所ではその頃マロニエが葉っぱを広げていたので、ちょっぴり気温の差を感じた。

ちなみにこの日は最高気温で11℃。

橋のそばには、こんな煉瓦と石の建物。　1622と年号が入ってた。

窓の上の半円部分は、貝殻のような装飾に。　それと交互に並ぶような鉄飾りもキレイ。

現在は、煙草、新聞＆雑誌、カード類、宝くじなどを売るチェーン店が入ってた。

その隣の家も窓の上の貝殻風装飾が、お隣の建物と似てる。

でも、煉瓦色に白が映えて、上階に並ぶ17個の細い窓の数だけ貝殻装飾があるのが圧巻。

再び橋の下へと階段を降り、今度は北岸の煉瓦畳を進む。　船やマガモの親子を見ながら。

ピーピーと高い声で鳴きながら、母ガモの後に続くヒナたち。

中には、マイペースでふらふらと船に寄り道してるものもいる。

で、置いていかれる、と、ヒナとは思えぬ高速で水上を走り、追いつくのだった。

そして、2つ目の橋を上がって、やってきたのは・・・

・・・直訳すると王子たちの庭となるPrinsentuin プリンセンタウン。　

キレイに刈られて整えられてはいるものの、まだ芽が出たばかり。　若い緑の葉っぱだけ。

入ってきた煉瓦と石の門には赤茶色の扉。　シャッター押す時に曇ってしまった。

扉の上には立派な日時計が。　待ってたけど、なかなか日が差さないので断念。

で、離れると、晴れて明るくなるんだな・・・なんてタイミング悪いんだろう、私って。

コロコロと変わる空の下、庭を散策。　まだ苔の緑だけでスカスカ。　

葉っぱが生い茂るとフサフサな緑のトンネンルになるのかも。

その時に庭に咲いていたのは、ヒヤシンスとパンジー。

ピンクと青の組み合わせの他に、紫と黄色があった。

向こうの煉瓦の建物の方へ行ってみよう。

小さな扉に階段。　脇にはテーブル。　でも誰もいない。　記事の最初に載せたのと同じ建物。

この煉瓦の建物は現在、ホテルとして使われているらしい。

ドアよりも大きな窓。　いや、窓よりも小さなドア？

いずれにせよ、大きめな窓に、小さめなドア。

背の高いオランダ人、身をかがめて入るのかしら・・・。

ふと、茶室のにじり口が頭に浮かんだ。

アイビーにも緑の若葉。　冬の間は待機して、暖かくなると動き出す。

白い花は、Viburnum tinus ビバーナム・ティヌスかな。　

高いところに咲いていたので、腕を伸ばして撮ったけど、プルプル・・・。

リンゴか何かの花のツボミもほころびかけていた。

その木々の下にはテーブルと椅子。　ティーハウスのテラス席。

たらふく朝食を食べたばかりだしね・・・と通り過ぎ・・・。

で、庭の主役のバラは、ようやく赤い葉っぱが広がり始めてきたところだった。　

緑が出始めたばかりの庭。　

寂しげだけれど、午前中の散歩は静かでちょうど良かったかな。

6月の今頃だったら、バラやラベンダーの花が咲いてて賑やかかもしれない。

テラス席で過ごすお茶の時間も、快適で。

のんびり気分で、庭を出た。

「慌てなさんな。」

子供の頃、母が私によく言っていた言葉だ。

当時の私自身は、バタバタしてるつもりは全くなかったのだけれど、

今思い返してみると、興味あることがたくさんありすぎて、多少落ち着きがなかったかもしれない。

余裕を持って行動すること、時間にも、心にも。

今でも、時折、自分に言い聞かせてる。

いつもと違う場所は、いろんな記憶が蘇る＾＾。

タグ：フローニンゲン

コメント 21

古い建物を修理しながら使っているのでしょう。
きれいにされた建物がとても魅力的です。
街並みにとってつけたような違和感が無く、
それもまた落ち着いた雰囲気を出していて素敵です。
by ナツパパ (2016-06-21 19:57) 

おひさですー
早々にありがとうございました。
新芽の季節もあっという間に過ぎちゃいましたけど、
こうして眺めると新品の葉っぱは、やっぱり初々しい春って感じでいいな。
Inatimyさんは、落ち着いてるオトナなイメージなんだけど、
ホントは私が思ってるよりずっと熱いハートを持ってるのかも、ですね。
by nicolas (2016-06-21 20:53) 

水に映る空の景色、きれいですね～。
by ぴーすけ君 (2016-06-21 21:37) 

こんばんは。こんな世界に住む事が出来ればいいなぁと本当に思っています。憧れです。＼(^o^)／
by ソニックマイヅル (2016-06-21 22:07) 

街並みに　運河も写り込みと
美しいですね、、散歩はゆっくり楽しみながら
でも、アチラコチラと寄り道して覗き込んで、そこがいいのかな
by engrid (2016-06-22 01:09) 

ホントです！
窓に映る雲がとても綺麗です！
そして水面に映る景色も。
行ったことはないのに落ち着く景色です。
どの写真もステキだなぁ～。
ツマ。
by 竹口要 (2016-06-22 02:00) 

窓に映る雲などの空の景色も、いいですよね＾＾
運河の水路の映りこんだ景色も素敵です。
リンゴの花、かわいくて大好きです。
果物のお花もとても可憐ですよね＾＾
by アールグレイ (2016-06-22 09:34) 

手入れの行き届いた植栽、盛りはまだでも見ていて気持ちいいですね。
剪定マニアの私は、道行くときもよそのお宅の生垣がボサボサだと
「あ～、刈り込みたい」って思ってしまうほど＾＾；。
ムダ毛っぽい徒長した小枝もなく、きっちり直角のシェイプを保つ生垣を
見るとうれしくなるのでした♪。
by ハリネズミ (2016-06-22 10:05) 

慌てんぼさんだったんですね（笑）

by (。・_・。)２ｋ (2016-06-22 12:02) 

大きな窓と　小さなドアと　部屋には・・・暖炉があるのよって歌がありましたね～、・・・が思い出せません(?_?)
ビバーナム・ティナスの実を収穫したくて庭植えにして４年目、いまだにあまり花が咲きません。。。
by mitu (2016-06-22 15:26) 

フローニンゲンの青い空と白い雲、窓にも運河にも。
素敵な光景ですね。　^^
赤レンガのお家たちととてもよく似合っています。
慌てずに・・・確かにゆっくりといいものは味わいたいですが、良いものほど慌ててしまいます。良い景色に会った時ほど慌ててカメラ向けてたり・・・。もっとゆっくり楽しめばいいのですよね ^^;
by moz (2016-06-22 16:35) 

風見船すごくツボ 欲しいなぁ～
ウチは父がせっかちだったので
いつも煽られて失敗して
叱られての悪循環
今でも急かされるのは苦手です＾＾
by shino* (2016-06-22 20:37) 

レンガの建物、階段と赤い扉がいい感じですね～♡
心と時間に余裕持って・・・・響きます・・；；ホント、心がけてないと
すぐ忘れてしまう（＾＾；）
by momo (2016-06-22 21:15) 

窓でも水面でも映り込みは別の世界を覗いているみたいで
言葉では言い表せない感覚に陥りません？ ＾＾
覗くアイビーも可愛い。
緑が生い茂った後のトンネル楽しそうだなぁ～♪
大丈夫よん。歳と共に段々バタバタしなくなっていくから（笑）
by MIKUKO. (2016-06-22 21:50) 

お散歩にぴったりな町ですね。
時間も忘れそうです
by luces (2016-06-22 22:09) 

私は、早くしなさいって言われる方が多かったかな・・・
のんびりしてていつも自分のテンポだったのでしょうか。
それは今も変わらず。
by めぎ (2016-06-23 07:21) 

きれいな街並みですねぇ＾＾
グリーンいっぱいのトンネルも素敵だけど
こんな苔のトンネルも幻想的だなぁ＾＾
by akko (2016-06-23 23:28) 

→皆さま「北の運河の弧を歩く」のお話にnice!やコメントをありがとうございました。ほんの一泊二日の旅だけれど、話が長々続いてます＾＾；。あれから２ヶ月ほど経って木々はすっかり濃い緑。時の流れは早いな・・・夏至も過ぎちゃったし。ということは、今年、もうあと残り半分ほどしかない？！

→ナツパパさま
外観を保ちながら大事に修復して使っているのってすごいことですよね。中はモダンなところもあるけど、建物って時代に応じて進化してるんですね＾＾。もっと郊外へ行けば建物も現代風な感じで、それもまた面白く。

→nicolasさま
お久しぶりです〜。お元気そうで何より。こちらこそ寄って下さってありがとうございます。新芽の季節、あっという間ですよね。ある一点から急に春が駆け足になって、気がつくと初夏。＜落ち着いてるオトナなイメージ＞・・・イメージが一人歩きしてて恐縮です＾＾；。散歩してても気になるものがあちこちにあって、子供みたいにじーっと見てるから、なかなか進まなかったりも・・・。Kamoさんからは動作がでかい、って言われてるし＾＾；。

→ぴーすけ君さま
風が弱くて、反射がとってもくっきりめ＾＾。風が強いことが多いオランダで、珍しく♪

→ソニックマイヅルさま
煉瓦造りに運河、オランダっていい風景がありますよね〜。昔からの建物を大事に残して景観を守る姿勢はすごいです＾＾。

→engridさま
この日の目的地へは遠回りになってしまうんですが、こんな散歩も楽しく。庭に花が咲いていたら、もっとゆっくりだったかも。ハーブなどもあったんですが、まだまだ芽が出てなかったりもして＾＾；。

→竹口要さまのツマさま
オランダの家や建物、大きな窓が多いです＾＾。やっぱり太陽の光が大事なんだろうな・・・緯度が高いし。窓に映るもの、水面に映るもの、いいですよね〜。初めての街なのに、妙に落ち着くところでした♪

→アールグレイさま
この日はコロコロと変わる空模様。青空があるうちに水面への反射や窓ガラスの写り込みが撮れてよかったです＾＾。リンゴの花もうっすらとピンクが入るところが愛らしいですよね〜。

→ハリネズミさま
ここ、上から見るとまさに庭園って感じの刈り込みなんですよ。王冠になってたり、AとWのアルファベットだったり、車輪みたいだったり＾＾。日常生活で、前庭の木がボサボサなの、よく見かけますよ。枝が豪勢にはみ出てて、歩道の半分しか通れないの＾＾；。

→(。・_・。)２ｋさま
そうなんです、子供の頃、よく転んだりもしてました＾＾；。生傷絶えなくって。

→mituさま
その歌は、ひょっとすると「あなた」？ ピアノ弾きながら歌ってた女性かな・・・？ビバーナム・ティナスの実・・・紫色のでしたっけ。あれも渋くていいですよね＾＾。

→mozさま
これもあれもと興味あるものが次から次へ目に入ると、ついつい夢中になって追いかけてバタバタ。欲張ってはダメですよね＾＾；。旅に出ても、事前に見たいものはできるだけ厳選して、現地での寄り道も大事にするようになりました＾＾。

→shino*さま
風見船、かっこいいですよね〜。オランダ、結構多いです。アムステルダムのダム広場にある王宮にも風見船。ちなみに、プリンセンタウンの庭から見えてる塔のてっぺんには、風見馬＾＾。煽られて慌てて失敗・・・それで怒られちゃうのは・・・。家族でもペースの差が大きいと大変かも＾＾；。

→momoさま
煉瓦の建物に赤いペイントの扉、似合いますよね〜♪ しかもアーチの入り口＾＾。心と時間に余裕を、って私も常に気にかけるように＾＾；。子供の頃何度も言われた言葉って、当時は何でまたそんなこと言われるんだろう、と思ってたけど、大人になって冷静に省みると案外図星でした〜。

→MIKUKO.さま
水たまりの世界って、子供の頃、私にとっては別世界への入り口でした＾＾。不思議な感じになりますよね〜。まだまだ春が始まったばかりの庭、その時期って一瞬ですよね。あっという間に生い茂って＾＾。かえって貴重だったかも。年齢ともに落ち着き・・・出てくるかしら＾＾；。

→lucesさま
ふらっと散歩できる場所が沢山ある街でした＾＾。知らない街、散歩がワクワクです♪

→めぎさま
自分のペースってありますよね＾＾。私もバタバタしてるかと思えば、何でもないことに時間をかけてたり。欧州に来て、ちょっとはゆったりペースになったかも。一時帰国すると日本のペースの速さにびっくりですもの。めまぐるしい中にいたんだな・・・って思いました＾＾；。

→akkoさま
トンネルの枠にも木の幹にも細かい苔が＾＾。今頃は葉っぱが茂って、濃い緑のトンネルになってるはず♪　ヒヤシンスの写真にもあるように、4月はスカスカで人が通ってるのが見えてました〜。
by Inatimy (2016-06-24 22:26) 

運河に映った街並みが美しいです～
緑のトンネル、今頃は太陽を遮る木陰になっているかしら。
時間に制約されずにのんびり過ごすのは良いですね～
どうしても欲張りすぎてゆっくりと休暇を楽しめないです＾＾；
by miffy (2016-06-26 15:42) 

風見船・・・。
台風がきてもだいじょぶなのでしょうか＾＾；
気になります。
by けん (2016-06-26 15:53) 

→miffyさま
この庭、上から見ると車輪のようなデザインやアルファベットの文字になってるそうです。緑のトンネルは、車輪の部分＾＾。旅ってついつい欲張ってあっちもこっちもとなってしまうので、どうしても行きたい、見たいところ、最近は事前に絞っておくのも手かしら、と思うように＾＾。あとはその時の成り行きで。

→けんさま
台風は来ないけど、台風のような暴風が２〜３日続くことも多いオランダなので風見船、大丈夫です＾＾。あ・・・それか潔く新しいのに交換しちゃうのかも＾＾；。スペア、たくさん持ってたりして。
by Inatimy (2016-06-28 21:09)