ここで会えるなんて・・・ [ミュージアム]
白くおぼろげに見えるのは、激しい雨のせい。
お城のような塔は、ミュージアムの裏にある平和宮。 展示室の窓から見えた。
10月中旬、アムステルダムの南西にある、北海に面した街、Den Haag デン・ハーグに行った日の続き。
ミュージアムのDe Mesdag Collectie デ・メスダハ・コレクシーにて。
ミュージアムのDe Mesdag Collectie デ・メスダハ・コレクシーにて。
※ 前回の日本のものが展示されてた話は、こちら。
今回は、日本のもの以外の常設展の絵画で特に気になったものだけを。
このミュージアムを作ったのは、ハーグ派の画家であり美術品収集家でもある、
Hendrik Willem Mesdag ヘンドリック・ウィレム・メスダハ(1831-1915)。
Hendrik Willem Mesdag ヘンドリック・ウィレム・メスダハ(1831-1915)。
中央にある大きなのが、その画家の絵。
海や海岸の作品が多い。ほぼ毎日海辺へスケッチに出かけていたそうな。
海や海岸の作品が多い。ほぼ毎日海辺へスケッチに出かけていたそうな。
この絵のタイトルは、"Ondergaande zon met woelige zee" 1895-1900年頃
意味は「沈みゆく陽と乱流の海」かな。
意味は「沈みゆく陽と乱流の海」かな。
同じくメスダハの絵画 "De nieuwe havenwerken te Enkhuizen" 1831-1915
「エンクハウゼンの新しい港湾工事」
「エンクハウゼンの新しい港湾工事」
エンクハウゼンは、アムステルダムより北にある、かつては海に面していた街。
大きな湾の入り口にできた締め切り大堤防(1933年完成)により外海と仕切られ、今は湖に面している。
大きな湾の入り口にできた締め切り大堤防(1933年完成)により外海と仕切られ、今は湖に面している。
この絵はすごく横長で、サイズは縦が90.5cmで、横が274cm。 中央部分を撮ってみたら・・・
・・・蒸気機関車で何やら作業してるのが分かる。
まだ海に面していた頃、こんなに海岸線ギリギリに線路を敷いて大丈夫なのかしらね。
強風や嵐で、線路に海水が押し寄せて来るし、すぐに錆びる気がするけれど・・・。
強風や嵐で、線路に海水が押し寄せて来るし、すぐに錆びる気がするけれど・・・。
そんなメスダハの師匠でもあるWillem Roelofs ウィレム・ルーロフス(1822-1897)の
"Plassen bij Kortenhoef"「コルテンフフ近くの池」 1880年頃
"Plassen bij Kortenhoef"「コルテンフフ近くの池」 1880年頃
コルテンフフは、アムステルダムの南東にある街で、この絵に描かれてるのは、
現在、Kortenhoefse Plassen という自然保護区になっているところかも。
現在、Kortenhoefse Plassen という自然保護区になっているところかも。
「ミレーとハーグ派」の企画展で展示されてた「虹」の絵を描いていた画家。
ハーグ派の画家 Jacob Maris ヤコブ・マリス(1837-1899)の"Molen"「風車」 1879
入り口には、袋に入った荷を積んだ青い荷車を引く馬が一頭いる。 製粉用の風車だったのかな。
入り口には、袋に入った荷を積んだ青い荷車を引く馬が一頭いる。 製粉用の風車だったのかな。
帰りにショップでポストカードを買って、父に送った一枚。
ヤコブ・マリスには弟がいて、同じく画家で・・・
・・・名はMatthijs Maris マタイス・マリス(1839-1917)。
"De keukenprinses" 1872 訳すと「キッチンプリンセス」。
"De keukenprinses" 1872 訳すと「キッチンプリンセス」。
壁の一部と調理焜炉の台に白地に青のタイルが貼られているのが分かる。
伏し目がち、ぼんやりと何をみてるんだろうなぁ。
伏し目がち、ぼんやりと何をみてるんだろうなぁ。
マタイス・マリスは最初はハーグ派だったけれど、のち、ラファエル前派の影響を受けたそう。
上から自然光が入る展示室。 中央に背中合わせにソファーが置かれて。 その間に暖房がありそうだ。
ソファーの左奥に見えてる小さな額縁の一つが・・・
・・・フランスの画家の絵。
Jules Bastien-Lepage ジュール・バスティアン=ルパージュ(1848-1884)の
"Schets voor het hooien"「干し草 のためのスケッチ」 1876
"Schets voor het hooien"「干し草 のためのスケッチ」 1876
一目で分かった、この「干し草」(1877) だって。 この絵はパリのオルセー美術館にある。
スケッチの方をコレクションするのも、制作過程を見たいメスダハの好みらしいな。
他にもどこかで見たような絵がある・・・と観ていくと・・・
フランスの画家Charles-François Daubigny シャルル=フランソワ・ドービニー(1817-1878)だ。
"Rotsen bij Villerville-sur-Mer"「ヴィレルヴィル・シュル・メール近くの崖」1864-1872
"Rotsen bij Villerville-sur-Mer"「ヴィレルヴィル・シュル・メール近くの崖」1864-1872
ヴィレルヴィルはフランスのノルマンディー地域圏にある海に面した地。
ドービニーはゴッホが敬愛していた画家。
ゴッホが描いた「ドービニーの庭」の絵を見て、この画家のことを知った。
ゴッホが描いた「ドービニーの庭」の絵を見て、この画家のことを知った。
その3年後くらい2016年だったかに、ゴッホ・ミュージアム(ゴッホ美術館)で開催された企画展、
「ドービニー、モネ、ファン・ゴッホ:風景の印象」も観に行ったという。
「ドービニー、モネ、ファン・ゴッホ:風景の印象」も観に行ったという。
同じくドービニーの作品で、"De oevers van de Oise"「オワーズ川の土手」1872
その画家が住んでいたのはAuvers-sur-Oise オーヴェル=シュル=オワーズ。
パリから北北西へ30kmほど行ったところにある村で、その横をオワーズ川が流れている。
パリから北北西へ30kmほど行ったところにある村で、その横をオワーズ川が流れている。
この絵、ここにあったんだ。 先に述べた企画展の図録の表紙にもなっていた作品。
ドービニーの"Ondergaande zon bij Villerville"「ヴィレルヴィル近くの日没」1876年頃。
他にも、こんな横長のノルマンディーの海辺の風景をたくさん描いている。 2つ前の崖の絵とかね。
他にも、こんな横長のノルマンディーの海辺の風景をたくさん描いている。 2つ前の崖の絵とかね。
そして、ここでこんなに観られるなんて、と思ったのが・・・
・・・Laurens Alma-Tadema ローレンス・アルマ=タデマ(1836-1912)の絵。
"Spelevaren"「舟遊びをする」1868
"Spelevaren"「舟遊びをする」1868
天使が描かれてる舟。 その舟の向こうに咲いてるセイヨウコウホネらしき黄色い花も可愛い。
ローレンス・アルマ=タデマはオランダ生まれで、のち1873年に英国に帰化した画家。
このミュージアムを作ったメスダハとは親戚らしい。 甥だったかな、意外な繋がり。
このミュージアムを作ったメスダハとは親戚らしい。 甥だったかな、意外な繋がり。
同じくローレンス・アルマ=タデマの"Romeins park" 「ローマ公園」1877
制作した年を見ると、英国に帰化した後。
1863〜1864年にイタリアを旅行してから、イタリアに魅了されていたよう。
1863〜1864年にイタリアを旅行してから、イタリアに魅了されていたよう。
Laura Theresa Alma-Tadema-Epps ローラ・テレサ・アルマ・タデマ=エップス(1852-1909)の
"Stilleven"「静物画」1872
"Stilleven"「静物画」1872
活けられてるのは、クロッカスと、他の植物の葉っぱと思われる。
この絵を描いたのは、アルマ・タデマの2番目の妻。 英国の画家だった。
もう一枚展示されてた絵画"De spiegel"「鏡」1872 にも植物が描かれていて、チューリップと水仙。
クロッカスと共に、夫の生まれた国オランダを意識してるようで面白かった。
クロッカスと共に、夫の生まれた国オランダを意識してるようで面白かった。
ミュージアムのDe Mesdag Collectie デ・メスダハ・コレクシー、企画展はもちろん、
メスダハの住居だった建物も展示作品も思ってたよりかなり楽しめて、大満足で後にした。
メスダハの住居だった建物も展示作品も思ってたよりかなり楽しめて、大満足で後にした。
この日の話、あと1回続きます。
オランダ、日の出が8時半過ぎとだいぶ遅くなってきた。
しかも今日は雨で、より薄暗く、なかなかスキッと目が覚めない^^;。
しかも今日は雨で、より薄暗く、なかなかスキッと目が覚めない^^;。
落ち着いた渋い色合いの絵に魅せられます。まじかにじっくり鑑賞したいです。
by JUNKO (2019-12-06 17:10)
こんばんは^^
「風車」素敵な絵画ですね。
私もハガキがあれば多分買ってしまいそう^^
中央に置かれているソファーがお洒落ですね♪
「ヴィレルヴィル近くの日没」も好きです。
by いろは (2019-12-06 17:25)
海外は展示物も撮影禁止じゃない所が多いですね!
フラッシュ使わなければOKになっていますね。
by ma2ma2 (2019-12-06 18:32)
こんなに素晴らしい絵画を心の記憶だけでなく
鳥納めることができるとは うらやましいです。
天井からの自然光 絵画を鑑賞するには最高のコンディションですね。
by ゆうみ (2019-12-06 22:00)
私も最近、旅先で美術館に行くようになりました。
偶然見つけた美術館が多いです。
絵画の知識はほとんどありませんが、感じる事が多いです。
これからも、美術館を見つけたら入ると思います^^
by riverwalk (2019-12-06 22:13)
こんにちは。
「エンクハウゼン・・・」変形?横長サイズでパノラマ感あり新鮮です。
「干し草 のためのスケッチ」比較すると面白いですね。
構図の違いで寛ぎ感?長閑感?の差が出ている感じです。
右上の「人形のペーパーウェイト?」が素敵です(笑)
「日の出が8時半過ぎ」は考えられないです・・・
日照時間も夏に比べ短いみたいですね!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2019-12-06 22:41)
ホント朝暗くて、雨だといつまでたっても夜が明けてない感じですよね。
何もしないで美術館でのんびり絵を見るとかして過ごしたいな~
でもヨーロッパの絵ってどれも薄暗い感じで、さらに鬱々としてしまうかも。
by めぎ (2019-12-07 02:13)
「ヴィレルヴィル近くの日没」に心惹かれるものがありました。
干し草のためのスケッチと完成品 同じ構図でその製作過程が観れるのは面白いですね。 NYのコスモポリタン美術館で見たゴッホの絵も
キャンバスの表と裏に描かれていてとっても不思議でした。
お金がなくて新しいキャンバスを買えなかったのかなぁ?とかいろいろ思いをはせてしまったw 裏も見えるようにアクリルガラスのキューブの中に展示されていました。
by marimo (2019-12-07 10:18)
前回のメスダハ美術館の記事も面白かったけれど、今回も読みでがあり、興味深々。あとで、ゆっくりコメントします。
by TaekoLovesParis (2019-12-07 12:13)
平和宮、塔だけ見たら魔法使いのお城みたい(笑)
メスダハ美術館ってこんなコレクションもあるんですね~
前に拝見したパノラマの絵がとても印象的でした。
好みの絵ばかりなのでソファに座ってずっと眺めていたいな~
by miffy (2019-12-07 17:42)
少し憂いを感じる作品が多い印象を受けました。
時代背景とかかな?
by YAP (2019-12-07 17:49)
8時半に日の出ですか
遅いと起きれないでしょうね
by (。・_・。)2k (2019-12-07 20:58)
こんばんは、今までそんなには美術館へは行ってはいませんが、
日本の美術館とは雰囲気が違いますね。
by Yamamoto (2019-12-08 01:39)
この建物の一枚目の天井と壁と床の色合いがものすごく好みです。
日本では庭園美術館や原美術館が好きなので、また行ってみたくなりました!
肝心の絵はさっぱり詳しくないけれど見るのが好きなので、今回ご紹介してくださっている全て、グラデーションや細部をじっくりと見てみたくなって画面に顔を近づけるものの・・・そういう問題じゃないですね・・・( ;∀;)
by 竹口要(だいたい妻) (2019-12-17 16:11)
→皆さま「ここで会えるなんて・・・」のお話にnice!やコメントをありがとうございました。オランダには国立ミュージアムとかマウリッツハイスとか有名なミュージアムもいろいろあるけど、ガイドブックにあまり載ってないミュージアムにもいい絵画がたくさん^^。あまり貸し出されることがない絵もあるから意外な出会いがあったりする。
→JUNKOさま
ハーグ派の画家の絵、今回初めてちゃんと意識してみたんですが、なかなかシブくて良かったです^^。オランダらしい風景もあって。雲の形とか、空の様子とか。
→いろはさま
ミレーの絵画のポストカードを買うつもりだったんですが、それよりもこの風車の方に手が伸びたという^^。昔、メスダハが住んでいた邸宅、ソファーもその部屋に似合うオシャレなもので♪「ヴィレルヴィル近くの日没」はイエローとブルーの鮮やかさがいい感じ。
→ma2ma2さま
美術館のサイトや受付で撮影可能か確認してから撮ってますが、フラッシュなしなら撮影可能なところがほとんどです^^。いつも気に入った絵のポストカードがないことが多いので嬉しい♪
→ゆうみさま
絵画の細部を撮ったり、お気に入りの範囲を部分撮りできるのでありがたいです^^。自然光で鑑賞する美術館、季節によって光の加減がかなり異なるので面白く。冬場は斜めからしか日が差さないし、早い日没だし・・・。
→riverwalkさま
旅先で我が家が訪れることが多いのは、美術館、動物園、水族館^^。その地の特色みたいなのもあって面白いですよね。私も絵画の知識はほとんどないです。気になったものを調べるってだけで・・・。
→Boss365さま
エンクハウゼンのタイトルの絵、すごく横長ですよね。このパノラマ感、当時は斬新だったでしょうね^^。図録のページに置いた人形は、元はキーホルダーだったんですよ。オランダの民族衣装を身にまとった姿、愛らしくて♪冬のオランダ、日の出がかなり遅い上、昼間でも太陽の高さが低くて横から照らされてるかのようなんですよ。おかげで部屋の奥の方まで日が入りますけどね^^;。
→めぎさま
なかなかすっきりと目覚めないですよね、暗いし、雨の日は余計にどんよりで。でも冬らしくって割と好きです^^。美術館の絵も、細部を見ると、何かしら気になるものがいろいろ。ここに置いてあるのはなんだろう?とか。風景画の空も、日本で見てた時は、こんな雲あるわけない、誇張しすぎ、って思ってたのが、実際にオランダに来てみたらそのままだったとかありましたよ^^;。
→marimoさま
ゴッホは、そんなにリッチじゃなくて弟に支援してもらいながら絵を描き続けてたりしてたみたいで。キャンバスの裏表の他に、キッチンのお皿拭きの布を張って描いたりもしてたんですよ^^。時期によって、厚く盛られたような絵の具の使い方の絵もあれば、薄く塗ったような絵もあり、絵の具代も大変だったろうな・・・・と。
→TaekoLovesParisさま
コメント、楽しみに待ってます♪ 私もTaekoさんの記事、途中まで読んでコメント書けなかったのがあるので^^;。
→miffyさま
美術館デ・メスダハ・コレクシーから離れたところにあるのがパノラマ・メスダハ。場所が異なるんですよ。ガイドブックによく乗ってるのがパノラマの方なので、私としては両方、同じように紹介して欲しいところです^^。
→YAPさま
ハーグ派の絵ってくすんだ感じの色合いが多いですよね^^。オランダって天気の悪い日ってこんな感じだったり。フランスの画家の絵も憂いを含んだ作品だし、おっしゃる通り、時代背景なのかもしれませんね。
→ (。・_・。)2kさま
冬至の頃には8時45分だったか8時50分ごろに日の出となります^^;。暗いから、活動するのになかなかしゃきっとしなくって。
→Yamamotoさま
美術館もいろんなタイプがありますね。邸宅を利用したものもあれば、最初から美術館として建てられた立派なものもあったり、近代的なモダンな外観のものもあったり^^。
→竹口要(だいたい妻)さま
こういう個人宅だったところを美術館にしてあるのって、建物や室内自体がすごく興味深く^^。床の模様とか壁紙とかも。私も絵画には詳しくないので、観に行って気になるものを調べたりするくらいです^^;。知らないから、知ることが面白く。
by Inatimy (2019-12-20 18:57)